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「 140文字の物語 」
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少女は何気ない仕草で青年の背をポンと叩いた。
それが労わるようで、慰めるようで、青年の心があたたかくなった。
これから向かう戦いの場であっても、このお守りがあれば大丈夫のような気がした。
青年は神剣・神楽の鞘を握り締める。
一秒でも早く、少女の元に帰ってくる。
そう決心した。
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深夜のファミレスでメニュー表をパラパラとめくる。
ドリンクバーをつけるか、無料の水ですますか、悩む。
独りきりなのだから、そう長居はしないだろう。
かつて訪れた時は独りではなかった。
君と朝まで語り合った。
追憶してしまった。
思い出さないようにと思っていたのに。
君を想って目が潤む。
こんなにも愛おしい存在はいなかった。
それなのに愛の言葉が思い浮かばない。
惹かれるほど惹かれるほど。
強く思えば思うほど。
ありきたりな言葉では表せないほど愛しいい。
胸に湧きあがる感情を素直に伝えたい。
できれば、その手を取りたい。
もどかしい思いでいっぱいだった。
どうすればいい。
鼓動を重ね合ってひとつになった。
隙間ひとつなく、ぴったりと。
この瞬間をずっと待っていた。
積み重ねてきた想い出たちは裏切らない。
肌と肌がふれあって、息が弾む。
今まで、どうして経験してこなかったのだろう。
快楽に落ちていこうとしていた。
もっと一緒に感じあいたいと願ってしまう。
壁面には生命樹が描かれていた。
鮮やかに描かれたそれを仰ぐ。
枝分かれしていくそれを視線でなぞる。
生命樹の天辺を君臨するのは人類だ。
樹の根元には植物が描かれていた。
太古に描かれたものだとは思えない知識量だった。
近代になってから描かれた偽造品だろうか。
それにしては時代を感じる。
「手を貸して」唐突に少女は言った。
どんな悪ふざけを思いついたのだろうか。
振り回される少年は心の中でためいきをついた。
少年は無言で手を差し出した。
少女はぎこちなく、少年の手のひらを握る。
何かを載せて手を離す。
少年の手のひらの上には、綺麗な石があった。
「あげる」少女は言った。
-
どうして先に謝るの?
悪いのは私の方なのに。
我が儘を言って困らせているのは私。
それなのに、あなたが困ったように微笑んで謝るから、これ以上言えなくなるじゃない。
これ以上泣けなくなるじゃない。
どうして、そんなに優しくしてくれるの?
あなたに甘えてしまう自分が嫌になるじゃない。
-
欲しいものはたくさんありました。
どれもキラキラと星のように輝いていました。
数え上げるのが馬鹿々々しいほどの数です。
まるでプラネタリウム。
満天の星空を見上げるようなものでした。
欲しい欲しい、と欲は増えていきます。
それに一つ一つ名前を付けていったら、あなたにも届くでしょうか。
-
私は不器用ですから『サヨナラ』の一つも上手く言えないのです。
別れ道に来ると立ち止まって、俯いてしまうのです。
あなたとの別れは一際、辛いものです。
また明日への補償が欲しいと思っても、言い出せずにいます。
今日もあなたの方から『サヨナラ』を言わせてしまいました。
私は頷きました。
あなたは鈍感よ。
女の子のこと知らな過ぎるのあなた、上手にエスコートをしてほしいと思っているの。
雑誌に載っていたデートコースをなぞるだけじゃなくて、私の気持ちを優先してほしいの。
女の子の機嫌はすぐに変わるんだから。
それを上手に察してほしいの。
あなたならできると思っているの。
心の中にぽっかりと隙間が空いたようだった。
埋めようとしても埋められない。
神剣・神楽を手にすればするほど、人間らしい感情が喪われていくような気がする。
初めは同胞を斬りつけることすら怖かったのに、今は平気になってしまった。
この戦いを終結させると決めたのだからそれまで努力する。
彼が和やかに自分以外の人物を笑いあっていた。
自分の前では見たことのない表情だった。
その事実に、手にしていた財布を落とす。
早くこの場から去らなければ、胸が警鐘を鳴らしていた。
どうして私の前では笑ってくれないのに、その女の前では笑ってるの?と問い詰めたくなる。
最悪な白昼夢だ。
なんだってこんな逃走劇に付き合っているのだろう。
青年は少女と共に路地裏に身を隠す。
先客がいたのか、不快そうな鳴き声を上げて猫は去っていった。
「まるで駆け落ちみたいね」少女は言う。
嬉しそうに、青年の指先にしがみつく。
「どこまでも一緒に逃げましょう」夢物語のようなことを言う。
虫が良い話かもしれない。
何度、季節を見送っても、君と一緒にいた夏以上の幸せはないんだ。
歳を重ね、いくつかの恋を経ても、輝く夏を思い出してしまう。
だから、もう一度、あの夏で君に会いたい。
もし、君の中に僕の欠片が一片でもあるのなら頷いてほしい。
君以上に、大切な人はいないんだ。
お母さん、私だって人間だよ。
いつでも百点のテストをとってこれない。
確かに確認不足のケアレスミスだったけど、どうしてそこまで怒るの。
私が可愛くないから?
百点をとってきても褒めてくれないじゃない。
とても辛いよ。
私はお母さんの子だよね。
子どもが可愛くない親はいないってホント?
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