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「 140文字の物語 」
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風変わりなテストを出す先生で有名だった。
今回も頭を悩ませる問題が出た。
『I love youを訳しなさい』という問いに手が止まる。
『愛している』と思うほどの相手に会ったことはない。
それに単純に『愛している』と回答したらバツを貰うような気がする。
国語のテストじゃあるまいし溜息をつく。
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青年が新聞を読んでいると美味しい匂いが漂ってきた。
「お待たせしました」と少女は笑った。
テーブルに朝食を並べていく。
独りきりで食べていたものと全く違うメニューだ。
「いただきます」と味噌汁をすする。
「美味しいな」率直に言うと「ハートがこもっていますから」と少女は照れる。
目には見えないけれども確かにそれはあった。
木々を揺らして香りを届ける。
君の長い髪をさらさらとさらっていく。
ささやかな変化をもたらすもの。
僕は思わず深呼吸をしてしまった。
そんな僕の頬を撫でていった。
昨日よりも少しだけ冷たい風に季節の移り変わりを感じた。
僕は目を細めてそれを見送った。
-
君がいなくても、自分のことぐらい自分でできるよ。
君は心配性だな。
それとも僕には不安にさせる何かがあるのかな。
君はいつも僕のことばかり心配する。
たまには自分の心配をしたらどうだい。
僕から離れて君は君自身のことを思うのは大切な時間だよ。
だから安心して君は自分を大切にするんだ。
夜空の下、欲望の限り唇をむさぼりあった。
それはもう過去のことだ。
君と僕の間には冷え切った空気があった。
毎夜、同じ夜空がないように、同じ時間はない。
もう過去のように戻れないのだろうか。
沈黙に花を咲かせる足音を聞きながら、僕の胸が痛む。
赤く塗られた唇がまるで誘惑するようだ。
「初めまして」と少年は手を差し出した。
少女は恥ずかしそうに、少年の指を指先をつつく。
その様子を見た少年は心の中で呆れる。
挨拶ひとつできない少女が婚約者とは。
家格はバランスがいいのかもしれないけれども、この先やっていけるのだろうか。
少年は少女の手を取り、手の甲にキスをした。
-
空はどこまでも繋がっているという。
だから僕は信じて遠い空から君の幸せを願っている。
君は痛みがあっても、それを我慢して『大丈夫』と微笑む。
そんな君だから、余計に心配になる。
君の涙を拭うこともできない。
君を抱きしめることもできない。
僕は祈ることしかできないから、空を見上げる。
僕には君の誕生日を祝う資格があるのだろうか。
君の好きな洋菓子を買って、君の家に向かう。
自然と車の速度が増す。
ただ君の笑顔が見たいから。
『おめでとう』を告げたい。
この地球上で君に会えたことが幸運だと思っている。
君は喜んでくれるだろうか。
僕の心臓がドキドキと奏でる。
君と一緒にいると鼓動が早くなる。
君と僕はただの友だち同士だいうのに。
知られたら気持ち悪いと思われるだろう。
だから僕は必死に想いを隠した。
君の仕草一つ一つが胸をドキドキさせる。
どうすればこの感情を抑えることができるのだろうか。
今の距離を崩したくない、と思っているのに。
婚約指輪の石をガーネットにするか、ダイヤモンドをするか悩んでいたところだった。
誕生石がいいとは聞くが、ガーネットは安すぎる。
家に戻りながら歩いていたら、学生時代の友人と邂逅した。
昔話に花が咲く。
悩み事を相談するのはいいのではとハッとする。
『心がこもっていればいい』と言う。
君に出逢わなければ幸せだった。
君を想って眠れぬ夜を過ごすことはなかった。
君が他の男の名を呼ぶ様子を見て胸が痛むこともなかった。
けれども、君が僕を見て微笑むのを見て嬉しくなることもなかった。
君と手を繋いで帰る喜びを知らなかった。
幸せと不幸せは、まるでコインの裏表のようだ。
障子を開く。
涼しい風が滑りこむ。
星が輝く。
月のない明け方を彩っていた。
まだ起きるには早い時間だ。
それなのに目が覚めてしまった。
ここ最近の傾向だった。
『大丈夫?』君の声を心の中でなぞる。
夢見が悪いわけではない。
僕は静かに布団に戻る。
夢の中まで僕を心配してくれる君を思い出す。
青年は無我夢中に神剣・神楽を振り回す。
同胞たちの血を浴びる手が滑る。
すべての根源である統領が笑っていた。
総領の首を跳ねればこの長い戦いは終わる。
けれども、それを同胞たちが阻む。
生命を賭けて、統領を守ろうとする。
神剣・神楽の刃は届かない。
その様子に青年は打ちのめされる。
「あなたのことが好きなの」私は意を決して告白をした。
するとあなたは平然な顔をした。
そして「うん、知ってる」と言った。
「どうして!」私は赤面をした。
「だって、見てれば分かるよ」あなたはあっさりと言った。
「私のこと好き?」私は尋ねた。
「『見てれば分かる』って言った。だろう?」
体が月に支配される年頃になった。
しくしく痛む腹痛は知りたくない。
男の子とは違うのだ、それを教えられた。
これから毎月くる痛みに耐えていかなければならない。
そう思うと男の子がずるいと思ってしまった。
神様は絶対、不公平だ。
どうして女の子ばかりに痛みや危険を与えるのだろうか。
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