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「 140文字の物語 」
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あなたは今、どこで何をしていますか?
雨音が想い出を呼び起こします。
傘を忘れた私のために、傘を差しだしてくれましたね。
置き傘がある、とあなたは言っていましたがそれは優しい嘘でしたね。
次の日、あなたは風邪で休みました。
借りた傘と課題のプリントを届けにあなたの家に行きました。
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『指切りしよう』

「あなたの言うことなんて信じられない!」何度目かの約束破りに、とうとう君を怒らせてしまった。
『ごめん』と何度、謝っても許してくれなさそうだ。
「指切りしよう」と僕は提案した。
「破ったら針を飲んでもらうわよ」君は真剣な眼差しで言う。
「もちろん」僕は頷いた。
『91日目、君は星になった。』

余命は半年だと医者から告げられた。
本人に伝えるかどうか、尋ねられた。
その時、頭の中が真っ白になった。
これから婚約指輪を買おうと決めたばかりの矢先だった。
ここでのやりとりは記憶にない。
半年が過ぎ、楽観していた。
けれども91日目、君は星になった。
『拝啓、空の貴方へ』

貴方に手紙を書くのは、初めてですね。
今まで手紙なんて書いたことなんてないので、ルールに則ってなくても見逃してくださいね。
とりあえず拝啓から始めればいいのですね。
空の貴方はお元気ですか?
貴方へと届かせるためにはどのポストに入れればいいのでしょうか?
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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ポロポロと君の涙が零れる。
僕はとても幸福な夢を見ている気分だった。
「ずっと君と一緒だよ」僕は言った。
君にはいつでもキラキラと輝く前を進んでいてほしい。
これが最後の嘘だと君は気がついているのかもしれない。
それでも、君には未来を見続けてほしい。
・・・僕は君にうまく笑えたかな?
休日の午前中。お茶を淹れるために薬缶に火をかけていた。
インターフォンが鳴った。
「はーい!」と返事をしてドアを開ける。
郵便屋さんが「お届け物です」と小箱を取り出した。
「サインをいただけますか?」と言う問いに、名字を書く。
小箱の中身は色鉛筆のセットだ。
薬缶が鳴る。
ことん。
肩にあたたかい重みが乗った。
眠ってしまったのだろうか。
起こすのは悪いので、視線だけ動かす。
目は開いていて、どこか遠くを見ているようだ。
「君の世界を僕にもわけて」と呟くように言う。
意味を取りかねて無言でいると「無理だよね」と自嘲気味に唇が形を作る。
すっと離れていく。
今日から普通に温かいご飯を食べられて、学校にも通える。
生まれてからずっと普通じゃなかったから、そんなささやかなことが嬉しい。
お父さんが酒に酔って、殴ることもない。
お母さんのヒステリックな声を聞くこともない。
お姉ちゃんが手紙一通を残して、家を出て行くこともない。
普通だ。
君を守ることが正義だと胸を弾ませる。
それはすでに過去のことになってしまった。
君は今頃どうしているだろうか。
追憶はほろ苦かった。
僕は正義を貫けなかった。
君を守りきることができなかった。
君の最後の表情は、何もかも達観した顔だった。
そんな顔をさせるために行動したわけじゃない。
行き場所がなく、結局真夜中のファミレスに落ち着いた。
逃げるように家を出てきたものの、居場所が見つからない。
「この後、どうする?」君は軽々しく、僕の指を指先でなぞる。
「君次第かな?」僕は溜息をついたみせた。
少しは深刻な状況だということに気がついてほしい。
「かけおち楽しいね」
うとうとと睡魔がやってくるが、深く落ち込むことはない。
起きるか、寝るか。
何度目かの逡巡の後に、重たい瞼を開けた。
蛍光灯が燦然と部屋を照らしていた。
帰ってきて布団の上に倒れるように寝落ちをしたのだ。
スーツがしわになっちゃう。
そう思いながら、瞼と瞼がくっつきそうになる。
お嬢様の瞳が霞む。
感情を読み取らせないように、ベールがかかる。
「ひまわりが見たいわ」
秋も中旬、夏の花を入手するのは難しい。
以前のお嬢様なら、そんな我が儘を言うことはなかった。
花屋に電話してみようか。
ビニールハウスで育てられていてるひまわりがあるかもしれない。
笑顔が見たい。
「ねぇ、どっか遊びに行こうよ」静かな図書室で少女は言った。
「その前にテスト勉強、だろう?赤点を取ったら、どこにも行けなくなるぞ」少年はたしなめる。
「勉強なんて社会に出たら関係なくなっちゃうよ」少女は頬を膨らます。
「拗ねている君も可愛いよ」少年は苦笑しながら言う。
「本当?」
ほどよく背中を揺らされた。
このまま安眠していたいと思った。
小さな声で名字を呼ばれて、居眠りから目覚めた。
隣の席のクラスメイトが目を丸くして、こちらを見つめていた。
「これ、さっきの授業の板書」とノートを差し出してくれた。
「ありがとう」と感謝の礼を言う。
「お疲れ様」と笑った。
楽観主義者の幼馴染がタイトルだけで、映画のDVDを借りてきた。
どうやら洋画のようだ。
字幕ものは眠くなるから、寝落ちしないように気をつけないと思った。
それは杞憂だった。
幼馴染の選んだ映画はホラーだった。
開始5分で一人目が死んだ。
苦手なジャンルだったが、これは造り物だと耐える。
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