忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

彼女の誕生日に貴石のついたブレスレットを贈った。
それ以来、彼女の手首を確認する癖がついてしまった。
今日も彼女の手首は空席だった。
一生懸命に考えて店員さんとも話し合ってプレゼントしたものだ。
できれば身につけてほしい。
僕は気持ちを伝えた。
「なくしやすいから外でつけたくないの」
PR
『お花見一緒にしようね』と君は蕾の桜を見上げて言った。
春もまだ浅い頃のことだった。
少しずつ良くなっている君の体調。
このまま退院できそうだった。
だから、僕も『いいね』と笑った。
君は上目遣いで、僕の両手を握る。
ひんやりしていて、生命が燃え尽きているような温度だった。
『約束よ』
「iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
・・・どうしようもないな。」

------

無言でぎゅっと手を握りしめて二人は歩いていた。
国境沿いで手を離して、最後の嘘をついた。
輝く未来があると思っての嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と少女に告げた。
この国を守るための生命がけの嘘だった。
・・・どうしようもないな、と思った。
少女は何も言わずに見送ってくれた。
切羽詰まった様子で少女がやってきた。
こんな夜遅く、どうしたのだろうか。
青年は本を閉じる。
「無理やり奪って、今すぐに」少女は詰めよってきた。
「何事にも順番があると思うのですが」青年はだじだじになる。
「お父様が嫁げと言ってきたの。だから、既成事実を作ってしまえばいいと思って」
生まれて初めて「好きだ」と言ってくれた彼女が自分以外の男と歩いていた。
その光景を見て僕は茫然とした。
好きとはそんな軽い気持ちなのだろうか。
とっても嬉しかったのに、そんな気持ちはしぼんでしまった。
自分から好きを伝えたことがなかったと気がつく。
彼女の心変わりを責められない。
-
「春」のあなたに、初めまして。
「夏」のあなたに、こんにちは。
「秋」のあなたに、さようなら。
「冬」のあなたに、お元気ですか?
巡りくる季節の中で私とあなたは出会って、別れました。
また会うことができるのでしょうか。
そればかり気になるようになりました。
きっと寂しいからでしょうね。
「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
本当に、ごめんね。」

------

好きという言葉では足りない君。
そんな君に対して疑いの心は晴れない。
せめてもと無理に笑顔を作った。
「他に好きな人ができたんだ」たぶん最低な嘘だ。
「君もだろう?」と続ける。
君は悲しそうな顔をした。
「君を、信じきることができなくてごめん」と謝った。
本当に、ごめんね。
心で呟く。
最寄り駅についてしまった。
貴方の下車駅ではないのに、一緒に降りてくれた。
離れ離れになるのが寂しく感じたのは私だけではなかった。
心と心が繋がっているようで嬉しくなる。
「サヨナラにくちづけをしてもいい?」貴方は尋ねた。
付き合っているのだから自然だろう。
返事を待たずに額にキス。
少女は気を張るのに疲れてしまった。
万年2位の座も自分らしくていいじゃないか。
白金色の頭髪の少年が特別なのだ。
どんなに努力しても、勝つことはできない。
それでいいじゃないか。
そんなことを思い始めていた。
そんな矢先だった。
「おめでとう」少年は言う。
心に沈んでいたものが目覚める。
雷鳴の間隔が狭くなってきた。
雨が降っていないから、まだましなのだろうか。
ピカッと視界を純白に染めて、遅れて轟音。
怖くて、先ほどから母に電話をしているのだが気づかないようだ。
携帯電話は携帯しなければ意味がない。
何度も言っているのに、母はのらりくらりとかわすばかりだった。
街灯もまばら夜道。
かさっと音がして黒い影が横切っていく。
少女は小さく悲鳴を上げた。
「可愛い黒猫だね」少年はのんびりと言った。
少女は「べ、別に驚いていませんわ」と早口で言う。
次は林の方から鳴き声がした。
少女はさりげなく、両手にしがみつく。
「貴方が怖くないように繋ぐだけです」
書類が山のようにデスクに載っている。
てっきり文学的表現だと思いこんでいた。
実際に見ると壮観だった。
諦めの境地でためいきをついた。
どうやら、今日は帰れそうにない。
山を崩す作業を再開する。
地道にこなしていけば、やがてデスクは平らになるだろう。
今は、信じるしかない。
「それなぁに?」ほどほどの酔っぱらいに絡まれる。
「さつまいもの焼酎の水割り」呑んでいた酒を答える。
「美味しい?」どうやら絡み酒のようだ。
「職人が魂をこめて作った酒だ。美味しいに決まっている」
「じゃあ、次はそれにしようかな」見ればグラスの半分も飲み切っていない。
『空はこんなに青いのに』

空はこんなに青いのに君の瞳は雨模様。
空を見上げるほどの余裕もないらしい。
アスファルトには間断なく滴が落ちていく。
慰める言葉も思いつかず、青空に浮かぶ雲のように自由になれたら楽なのかもしれない、とぼんやりと考え事に耽ってしまう。
雨音を聞きながら。
『片割れる』

生まれる前から、人生の伴侶は決まっているらしい。
らしいというところがお伽話のようで胡散臭い。
決まっているのなら何故、離婚があるのだろう。
それとも本当の伴侶ではなかったということだろうか。
君に会うまで与太話は信じていなかった。
君を喪って片割れる痛みを知った。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH