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「 140文字の物語 」
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「ずるい。そっちのアイスの方が美味しそう」と幼馴染が言う。
暖房が利いた部屋で食べるアイスには、背徳感があって、美味しさが倍増するような気がする。
「一口ちょうだい」幼馴染は言った。
言うが早いや、スプーンに載ったアイスを口に入れる。
ずるいのはどっちだ。
心臓が落ち着かなくなる。
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お父さんはお母さんが死んでから、お酒の量が増えた。
食後に350ml缶を1本呑むのがやっとだったのに、今は500ml缶を呑む。
酔いが回ると写真立てを抱えて、眠りをつく。
写真立ての中の写真は、最後の家族写真だ。
笑っているお母さんが映っている。
寝息を立てたお父さんに毛布をかける。
幼い恋だった。
松の木の下で別れたのは、『松』が『待つ』に繋がるからだ。
君は泣く。
僕まで泣いてしまったらいけないような気がした。
だから、唇をかみしめた。
「また会えるよね」君は嗚咽の合間に尋ねた。
「ああ、二人が望めば邂逅するだろう」僕は力強く断言した。
信じることしかできない。
夕焼けで二人きりの教室は染まった。
君の輪郭が黒く長く伸びる。
それを踏んでしまったようで、君を捕まえたような気がした。
僕は勇気を奮って、恋の告白というものをした。
君は満面の笑みを浮かべながら、僕の手のひらを握り締める。
「今日から恋人同士だ。よろしくお願いします」と君は言う。
国の人口すべてに統計を取った。
その中で、いわゆる天使シンドロームにかかっているのは1割という大きな数字を叩き出した。
ある日、肩甲骨の辺りに白い翼が生えてくる。
不治の病で、翼が生えてきた患者は1週間生きられない。
文字通り天使になるのだ。
政府はその真実を隠していた。
言い訳が多い人生だった。
風に揺れる花のように無心に咲いてみたかった。
懸命に生きる花たちは踏まれても、文句を言ったりはしない。
それで散ることになっても泣くことはない。
回り道遠回りが多い人生に疲れはててしまった。
もう一歩も歩きたくない。
次に生まれ変わることが出来るのなら花になりたい。
空を見上げれば灰色の空。
冷たい雨が降りしきる。
神剣・神楽の柄が滑るのは雨のせいか。
それとも同胞の血だろうか。
もう迷わないと決めたのに刃が鈍る。
死にたくない。
けれども同じ血を分けた兄弟のような同胞を殺すのは痛々しい。
殺さなければ殺されると分かっている。
青年は柄を握り直した。
ひとひらの花弁が風に舞っていた。
ひらひらと降る様子は波を思い起こさせる。
僕は下を向いて涙を滲ませる。
君と最後に海に行ったのはいつのことだろうか。
童心に帰って波打ち際を裸足で歩いた。
口の中は塩の味がした。
どちらともなく手を繋いで、とりとめのない話をした。
想い出は哀しかった。
酔いが回ってくれば、恒例の罰ゲーム。
幹事の準備が良く王様ゲームをすることとなった。
「2番の人が9番の人に、手を握る」王様になった同級生が言う。
眼鏡をかけた大人しそうな同級生が2番の帽を見せる。
飲み会なのに一言も言葉を交わしていない。
恥ずかしそうに、両手のひらを両手で包む。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
君は何も知らないままでいて。」

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たったひとつの嘘で君が笑顔になるのなら、僕は内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
これから煌めく未来へと進むための嘘だった。
「君が幸せなら、幸せだよ」と囁いた。
君は何も知れないままでいて。
苦しみも、悲しみも、僕が全部引き受けるから。
だから、君は笑っていてと願う。
夢の君は、笑っていたのに、現実の君は涙を零している。
理由を訊いたけれども、教えてはくれなかった。
君の笑顔が見たいのに、どうすれば涙が止まるのだろうか。
僕は君を不安にさせてしまったのだろうか。
好きと思えるのは君だけだよ、と何度告げても君は不安げだった。
それが涙の元だろうか。
ハロウィン一色の大通りを二人は歩く。
君は僕をどう思っているのだろうか。
友だち?気になる存在?
夜も眠れないほど知りたい。
ふれそうでふれない手のように、二人の関係は曖昧だった。
思い切って告白をすれば、君は頷いてくれるのだろうか。
僕は今日も言い出せずに最寄り駅についてしまった。
国の破滅を免れたくないのなら、植民地として隷属するしかない。
国の未来を考えれば、全面降伏をした方が良い。
最後の一兵になってまで戦うよりも、庇護を受けた方が良いに決まっている。
女王は一人きりの部屋で涙を滲ませる。
父から受け継いだ国が属国になる。
もう少し強ければ良かったのに。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

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大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせながら、君へ最後の嘘をついた。
心についた傷をいやすための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と言った。
こんなことしか言えない自分が情けない。
これで君とはお別れだ。
「それが答えなの?」君は縋るように尋ねる。
僕と一緒だと君はダメになる。
「なんでこの手を離してくれないの?」君は言った。
学校の屋上で。
白い封書が風に飛ばされないように置かれていた。
「離したら、飛び降りそうだから」僕は言った。
「あなたとは初対面よね。あなたに私の何がわかるというの?」泣き出しそうな悲痛な声を君はあげる。
本当は止めてほしいのだ。
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