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「 140文字の物語 」
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神剣・神楽は同胞殺しの妖刀だ。
伝えられた剣だ。
普通の物で刃物すぐ治る傷も深手を負わせることができる。
その使い手に選ばれて、もうだいぶ前になる。
遠い目で神剣・神楽を眺めてしまう。
選ばれなかったらどんな人生を歩んでいたのだろうか。
過去に思いを馳せる。
『もしも』はないと知って。
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「初めまして」小さな女の子はたどたどしく言った。
恥ずかしそうに、僕の両手に触れる。
紅葉のように小さな手だ。
僕は握り返す。
「初めまして」これから兄妹になる小さな女の子に挨拶した。
シングルマザーで育ててくれた母には感謝している。
それでも、寄りかかる相手がいれば、と思っていた。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

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今までくりかえしてきたように。
愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
愛を語った口で囁いた嘘は最低だ。
「全部忘れていいよ」と笑顔を作り言った。
君とはこれでお別れだ。
こんなことしか言えないなんて、自分でも呆れ返る。
本当は全部覚えていてほしい。
優しい愛を自覚した時から今まで。
雨の日の約束は、大きな傘を一本だけ持ってくること。
相合傘で帰る。
それがお隣さんこと彼氏との決まり事だった。
幼稚園に入る頃から、ずっとそうしてきた。
あの頃と比べると、傘は大きくなった。
それでも一本だけの傘は狭い。
身を寄せ合って、囁き声で会話をする。
晴れの日にはない楽しみだ。
大人になると味覚が変わるという。
絶対、仲良くなれないと思ったピーマンが美味しく感じるようになった。
野菜炒めに入っていても除けやしない。
それどころか入っていないと物足りない。
大人の舌になったのだろうか。
子ども時代の終わりに寂しい感じがしたが食べられる物が増えるのはいいこと。
夜の間中、うずくまっていた。
細い月は早々と沈んで、星たちの合唱を聞いていた。
いつまでもこうしているわけにはいかない。
世界は朝の準備をし始めた。
東の空が白んできた。
また今日がやってきた。
消えたい気持ちでたくさんだったのに、朝日を見ると頑張ろうという気持ちになる。
立ちあがる。
少女の心臓はドキドキと奏でていた。
ぎこちなく、エスコート役の父の腕に指を絡める。
一番初めは父と一曲踊る。
次からは順番に紳士たちの間を渡っていく。
ステップを間違えないか。
頭の中は不安でぐるぐると回っている。
それこそ、今日踊る円舞曲のように。
少女は勇気をもって、顔を上げる。
昨今なんでもリサイクルの文字が躍る。
無駄な物は何ひとつない。
この万年筆もそうだ。
父が若い頃に使っていた物を譲り受けた。
書き心地は滑らかで執筆速度が加速した。
そんな大切な物を母は「古ぼけたゴミでしょう」とリサイクルショップに持っていこうとする。
私は必死に抵抗した。
-
いつだって寄り添いあっていた。
「サヨナラ」と共に過ごしてきた。
涙は零れない。
そんなものは、とっくのとうに枯れ果ててしまったから。
乾いた目で今日も一日過ごしていた。
諦めた物事は星の数だけ。
もしかして手を伸ばせば手に入ったのだろうか。
そんな夢物語は朽葉のように散ってしまった。
『好きって言って』

君は笑顔で「好きって言って」と言った。
欲しがるばかりの恋なのだろうか。
こういうのはフィフティフィフティでなければ。
「言ったら、何かしてくれるの?」僕は尋ねる。
すると君は「大好きって言ってあげる」と笑顔のまま言った。
本当に、君には敵わない。
僕の負けだ。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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自分の気持ちを偽って嘘をつくのは得意だった。
まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
今までの関係を変えるために嘘だった。
「君が幸せなら、幸せだよ」と告げると君の目から涙を零れた。
「嘘つき」君が言った。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだった。
「私だけじゃダメ。二人で幸せになろう」
放課後の教室に二人きりになった。
今、言わなければ後悔する。
そんな予感がした。
「あなたが好きなの」私は気持ちを伝えた。
「答えは分かってるから何も言わないで」私は彼の目を真っ直ぐに見つめた。
「ずるいなー」彼は笑った。
「本当は僕の方から言おうと思っていたのに」意外な返事だった。
「ねぇねぇ、遊んでよ」幼馴染のこの言葉に弱い。
けれどもここは心を鬼にする。
「次のテスト、赤点を取ったらお小遣いを減らされるんだろう?」僕は言った。
「だって勉強に飽きたよ」幼馴染は寝転がる。
「ゲームしようよ」むくりと起き上がって幼馴染は言う。
「課題が終わったらな」僕は言う。
僕の彼女は、いわゆるツンデレだ。
いつでも素直じゃない。
そんなところも可愛いと僕は、思ってしまうのだけれど。
彼女の前で僕は指先をさする。
「あっためてくれないかい?」と言う。
「しょうがないわね」彼女は遠慮がちに、両手を触れ合わせる。
「あったかいじゃない」彼女にバレてしまった。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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これから幸福になる君へ言った。
内緒話をするように声を潜めて最後の嘘だ。
「君にもらったものは全部返す」と言うと君はきょとんとした。
「何か貸していたっけ?」君は尋ねる。
僕は君からたくさんの幸せをもらった。
さり気のないものかもしれないけれど。
それを返す。
もう、覚悟は決めたんだ。
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