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「 140文字の物語 」
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紅茶と一言に言っても、様々な農園が摘み取るものがある。
ダージリンが有名だろう。
選考を重ねて、今年一番の紅茶を選ぶのは難儀なことだった。
生粋の茶葉をを好む紳士淑女にとっては、フレーバ―の紅茶はノイズだろう。
意外に知られていないがアールグレーもフレーバ―の一種だ。
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「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。」

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自分の幸せを信じるために最後の嘘をついた。
馬鹿みたいだと自分に呆れる。
「永遠を信じている」と、君に告げた。
その言葉に安心したのか、君は微笑んだ。
本当の願いは、どうせ叶わないから。
口先だけの嘘でごまかす。
それだけで幸せな気分に浸れるなら、安いものだ。
虚しさが胸に去来する。
「新婚旅行は国内?それとも長く有給が取れるから海外に行く?」もうすぐ花嫁になる女性は尋ねた。
「君と一緒なら何だっていい」パートナーになる男性は、いまいち熱を感じられない。
まるでどうでもいいような気がして、不安になる。
もう少しは男らしく、決断力を見せて欲しいと思ってしまう。
「もう何度も聞かないでよ。大丈夫だから」妹が言う。
そうはいっても心配になるのが兄というものだろう。
「そう何度も聞かれると、逆に不安になる」妹は願書を抱えて言った。
「行ってきます」といつものように笑顔を浮かべると、玄関から出て行った。
見送りながら、受験が成功することを祈る。
二人で海へ来た。
純粋な君は波打ち際を歩く。
僕はそれを遠くから見守る。
灰色の砂浜に君の足跡が残る。
波がやってきて、それを消していく。
何が楽しいのだろうか。
僕は鼻で笑う。
海で戯れるほど、子どもの時代は過ぎてしまった。
純粋なままの君を羨ましい、と思った。
変わらないで欲しい。
仕事に追われて、すっかりと忘れた記念日。
今日は君に告白をした日だった。
君は頷いてくれた。
そんな大切な日を忘れていた僕を君は責めなかった。
君は力強く、僕の両手を指先でつつく。
「次はプロポーズ記念日だね」と君は笑った。
仕事上の弱音が零れそうになった僕は、無理やりに微笑んだ。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

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別れ際だった。
大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
それは悪あがきのような嘘だった。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」と。
これが本音なら、楽だったのに。
これで嘘をつくのは最後だろう。
君は僕の笑顔を見て安心して旅立つ。
君がいなければ強がって嘘をつくこともないだろう。
大学に入って、独り暮らしを始めた。
当初こそ、家事に途惑っていたが、それにも慣れてきた。
何よりも嬉しいのは『帰宅が遅い』と怒る父の存在がないことだ。
物騒な事件もあるけれども、暗くなってからの帰宅は雷が落ちた。
いくら部活に入っていなくても、冬場は真っ直ぐに帰っても暗いのに。
多くの兵士たちは無惨な最期を遂げた。
栄華を誇っていた宮殿も荒廃していた。
朽ちていくのを待っているようだった。
やがて膨大に続く歴史の一頁に変わってしまうのだろう。
生き残ってしまった青年は風に吹かれ、跡地を見つめる。
冷えこんだのだろう。
あの時、負った傷が疼く。
溜息を零した。
少女が怒り顔で、青年の指先を指先でつつく。
ぼんやりとしていた青年は反応が遅れた。
それが火に油を注ぐ結果となった。
「せっかく海に来たのに!」と少女は子犬のように吠える。
電車を乗り継いできた海は特別だろう。
寄せては返す波は普段、見られないものだ。
けれども、ただの海だと思う。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

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ひどくためらいながら嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
最後の決断だった。
「君の全部を忘れたいんだ」と。
真っ直ぐ君の目を見ることはできなかった。
これを最後の嘘にする。
だって胸の痛みが消えやしないから。
君は僕の人生を色鮮やかに彩ってくれる存在だった。
明日から他人だ。
今日は燃えるゴミの日だ。
十月も終わりが近いせいか、外は暗闇に支配されていた。
収集所までゴミ袋を持っていく。
最近はゴミ出しのルールを守らない人が増えたせいか注意する張り紙が増えた。
ネットを上げてゴミ袋を放りこむ。
ふいに、小さな影を見る。
野良猫だろうか。
ネットにじゃれつく。
学校への最寄り駅。
君はいつもの時刻の電車に乗ってきた。
僕は「おはよう」と挨拶した。
毎朝の一コマのようだった。
けれども君からの「おはよう」がなかった。
君は上目遣いで、自分の両手のひらを握る。
「どうしたの?」僕は君に目線を合わせた尋ねる。
「貴方がいなくなる夢を見たの」と言う。
「iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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「これ以上関わらないでくれ」と言った声は、普段のものよりも堅かった。
無意識に緊張をしていたのだろう。
これ以上、一緒にいたらだめになる。
自分の幸せのための嘘なんて、最低だ。
それでも、これが最後の嘘だと思うと胸の奥からこみあげてくるものがあった。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
少女が猫のようにまとわりついてきた。
「ねえ、好きだって知ってた?」天気の話でもするように、少女は自然に言ってきた。
「何を藪から棒に」言われた青年は手にしていた本を落とした。
「冗談だよ」少女はふふ、と笑う。
「大人をからかうな」青年は言った。
「冗談じゃないほうが良かった?」
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