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「 140文字の物語 」
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「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は君から目をそらしながら最後の嘘をついた。
それは悪あがきのような嘘だった。
「まだ一人で生きていける」と。
・・・泣いたりしないよ。
強がりだと君に、バレてしまうからね。
本当は一人ぼっちに耐えられないのに、そんな弱さを君に見せることはできなくて。
これで最後の嘘にするから。
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お腹いっぱいなところにケーキを突っこまれた気分だった。
愚痴の体裁を整えたのろけ話を聞かされたのは、何度目だろう。
「だから、今度こそ別れようと思うの」と親友は言う。
毎度の台詞だった。
「ちゃんと聞いている?」と親友は不安げに言う。
「黙れバカップルが」ついつい本音が零れ落ちた。
会議で意見がぶつかる。
それを聞いていたトップは微笑んでいた。
イエスマンだけでは組織は腐り落ちる。
それぞれに考えがあるのは、当然のことだった。
率直な意見を忌憚なく口に出す部下たちに感謝する。
どんな意見であろうと、やがては一つの意見にまとまる。
落としどころはどこにあるだろう。
虚栄を誇るように、木々の葉は黄緑色をしている。
もうすぐ街路樹は黄金色に変わるだろう。
そして、枝から落ちるだろう。
この季節にしか見られない光景だ。
その中を歩く。
庭先の名残の薔薇を小刀で切り取り、息を吸いこむ。
秋の香りがした。
空は澄んでいて、天国的な青だった。
季節を見送る。
「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

------

道化師のように。
僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をついた。
それは自分が傷つくだけの嘘だった。
「まだ一人で生きていける」と。
これが本音なら、楽だったのに。
道化師が笑顔で涙マークの化粧をするように。
僕は作り笑いを浮かべた。
君がこれ以上、心配することがないように嘘で固める。
君はガミガミと僕に言う。
うるさい、わかってるくせに。
僕はどんなに言われても変わることはない。
そして君は懲りずに説教をする。
ずいぶん前から、そのくりかえし。
君はいい加減、諦めたらどうだろう。
僕にとって君は大切だけれども大事にはしてあげられない。
僕の傍にいたいのなら覚悟して。
舌は正直だ。
美味しいものを味を知ってしまったら、それ以下の味をマズいと感じてしまう。
君が作ってくれた朝食は、どれもこれも美味しかった。
今日から一人分の小職を作ってみたけれども、君の味には敵わない。
紅茶ひとつ淹れられない僕は、君がどうしているのだろうか、と思いを巡らす。
万年筆で大切な手紙を書いていた。
便箋の途中で文字が霞む。
インクを引き出しから出す。
すると残りわずかだった。
楽観しすぎだったようだ。
買い物リストに、インクをくわえるように万年筆でメモに走り書きをする。
インク切れだということを忘れて。
仕方なく溜息をついてボールペンで代用する。
ちょっとしたすれ違いから大喧嘩に発達した。
本当は一緒にいる時間を大切にしたいのに。
君はだんまりを決めた。
こちらから謝るしかないのかな。
僕は仕方なく、君の両手のひらに指を絡める。
パッと君の顔が輝く。
君も喧嘩を後悔していたことがわかる。
僕はついつい顔をが緩んでしまった。
『あの恋にかえりたい』

優しいだけの恋でした。
あたたかいだけの恋でした。
そんな恋に飽きたのは私の方でした。
『別れたい』と告げるとあなたは微笑んで『いいよ』と言ってくれました。
最後まで、あなたは優しかった。
それから月日は経って、あの恋にかえりたい、と思うようになりました。
『暇ゆえに』

退屈な日々だった。
毎日は繰り返しで、驚くことも、楽しむこともなかった。
そんな私が恋をした。
理由は簡単。
暇ゆえに同僚と恋仲になってもいいかな、と思っただけだ。
恋はジェットコースター。
目まぐるしく日常を彩ってくれる。
もう二度と『退屈』なんて言わさせてくれない。
『月明りぐらいの希望』

煌々と照らす晧い月は明るい。
それがだんだん細くなっていき、心をも細らせる。
君と僕は月明りの中、どこまで行けるのだろうか。
微かな希望は繋いだ手の中にある。
『どこまでも行けるさ』と君の手を力強く引いていければいいのに。
月明かりが二人ぼっちを照らす。
このところ、君は僕に黙って帰っていくことが多い。
このままでは君との関係は破滅してしまう。
そんな時には共通の親友が頼りだ。
知恵を拝借したいところだった。
親友に尋ねると曖昧な言葉で濁らされた。
理由も分からず誕生日を迎えた。
君は恥ずかしそうに贈り物を渡した。
僕は思わず脱力する。
君は黙ったまま上目遣いで、僕の腕を痛いぐらいに握り締める。
どちらともなく『ごめんなさい』の言葉が出た。
ほんど同時だったから、僕は笑ってしまった。
それに君は怒る。
せっかく仲直りしたのに、すぐさま喧嘩になるところだった。
「だって、君が可愛くてしかたがないんだ」と僕は伝えた。
君の隣は心地いい。
いつまでも一緒にいたいと願ってしまう。
僕の隣で君は花冠を作っている。
君と野原でぼんやりと日差しを浴びていると『永遠』とはこんな感じなのだろうか、と思ってしまう。
過ぎ去った時間よりも、訪れる時間の方が長いのに。
君は出来上がった花冠を僕の頭に載せる。
「野原の王様ね」
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