出会いを求めて、らしくなく合コンに出た。
当然、盛り上がる級友とは別に、ちびちびとジュースを飲んでいた。
そんな中、君と目が合った。
運命の相手だと、直感が告げていた。
「そろそろ帰らなきゃ」と君は席を立った。
僕は無理矢理、君の指先を軽く握る。
「駅まで送っていくよ」と僕は言った。
PR
『毒薬口に甘し』
この恋は、しびれるほど甘い毒薬だった。
惹かれてはいけない人だと知りながら、惹かれていく。
一緒に呷るお酒は甘美な酔いをもたらす毒薬だった。
『愛している』という言葉は虚しく、終わりを見つめながら囁く合言葉。
目を目を合わせて、共に奈落に落ちていきましょう。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」
------
声が震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
君の幸福のためだった。
「まだ一人で生きていける」と作り笑顔を浮かべて言った。
どうか君よ。いっそ笑い飛ばしておくれよ。
そんなことはできないと見抜いてほしい。
そんなことを思いながら最後の嘘をつく。
いつもいじわるをしてくるクラスメイトが声をかけてきた。
またいじわるをされるのだろうか。
怖くなって硬直をしてしまった。
「もう夜も遅いだろう。送っていく」とクラスメイトは言った。
親切心からだろう言葉は普段と違って気持ち悪かった。
帰り道に新しいいじわるをされるのだろうか。
君は泣きそうになりながら、僕の両手のひらを折れんばかりに握る。
痛かったよ。
手のひらも、僕の心も。
君が泣くのを我慢している様子を見て、僕は非力さを覚えた。
勇気を出して、自分の気持ちを伝えることすらできなかった。
そんな僕は弱虫だった。
ただ君を慰める言葉を吐くしかできなかった。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」
------
こんなことは許されるのだろうか。
僕はひどくためらいながら最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と。
だってもう、仕方がないだろう?
君は僕以外の誰かを好きになってしまったのだから。
僕らはこれ以上、一緒にいても傷つけあうだけだ。
「魔法ひとつ使えないくせに。偉そうなんだよ」と言われた。
殴られると思った。
この世界では魔法の強さで序列が決まる。
その中、魔法も使えずに生まれてきた自分は、最下位だ。
目を閉じて、衝撃に耐えようとした。
「誰のものだとお思いで?」師匠の声がした。
この世界で最も強い魔女の声だ。
「脱げ」と命令された。
優しい私だけの王子様はどこへ行ってしまったのだろう。
今や心まで氷になってしまった皇帝がいる。
「私の話が聞こえなかったのか?」皇帝の言葉に私は洋服を脱ぐ。
胸元には魔女の烙印が鮮やかに押されていた。
「もういい」皇帝は言った。
確認をしたかっただけのようだ。
優しく、手のひらを触れ合わせるだけで幸せだった子供時代。
手のひらが大きくなればなるほど欲望は大きくなっていく。
君のほっそりとした手を握りしめたい。
手を繋いで、どこまでも行きたい。
そんなことを考えるようになってしまった。
純粋だった子供時代が懐かしい。
今は欲望の渦の中にいる。
『初恋は貴方がしてくれればいい。』
私は初恋なんてしない。
だから、初恋は貴方がしてくれればいい。
その恋がどんな顛末を迎えたか。
初恋が終わったら、そっと教えてくれればいい。
それを胸に、初恋をしなくて良かったと思うだろう。
私は傷つかずにすんだことを喜び、貴方を慰める。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」
------
僕は情けなく笑って嘘をついた。
自分で自分を傷つけるだけの嘘だった。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と。
だってもう、仕方がないだろう?
これ以上、君とは一緒にいられない。
君の笑顔を見る度に揺らぐ心を抱えて生きていくのは辛いんだ。
これで最後の嘘にするから、笑って別れよう。
「分っているから何も言わないで」と君に言われてしまった。
君より年長だから、くどくどと説教すると思われたのか。
それとも責められるかと思ったのだろうか。
そんな無粋なことをするつもりはなかった。
目の前に恋で傷ついた少女がいるから、慰めの言葉をかけたかっただけだ。
拒絶された。
小間使いのような日々を送っていた。
父の顔色を窺い、母の機嫌を取っていた。
同級生が寄り道をして帰る中、教室に残って宿題を片付けていた。
もちろん塾に通わせてもらうことはできなかった。
みんなが楽し気にしている中、青春を消費していた。
今度生まれ変わるのなら普通の家庭に生まれたい。
次回の構成を考えながら、メモ帳にボールペンを走らせていた。
ふいに歌声が聞こえてきた。
こんな夜更けに、どこの酔っぱらいが歌っているのだろうか。
つたない歌声に、リトルマーメイドが思い出された。
次は童話をモチーフにするのも悪くない。
感謝の気持ちで歌声の主を見る。
若い女性だった。
公園のベンチに並んで座っているのも気恥ずかしかった。
君と一緒だと思うと心臓は駆け足になる。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか。
君は堂々と、僕の手のひらを指先でつつく。
「お弁当、作ってきたの。一緒に食べよ」と笑いかける。
僕はそれだけでも天使がここにいる、と思ってしまった。