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「 140文字の物語 」
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今が、幸せでないというわけではないのに、それ以上の幸福を求めてしまう。
美味しいご飯を食べられるだけでも、幸せなのは知っている。
地球の裏側では、食事をまともに取れずに死んでいく子供たちが溢れている。
季節ごとに新しい洋服を買うことができる。
その洋服の値段で売られる子供もいる。
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塩を舐めたら、ほのかな甘味を覚えた。
時期外れの熱中症だろうか。
ここ数日天気が良かったから、あながちハズレではないような気がする。
残っていた塩分タブレットをかみ砕く。
そしてコップ一杯の水を飲む。
応急処置でできるのはこれぐらいだ。
体温計で熱を測る。
検温するまでの時間が長い。
黄金のロケットペンダントには、若かりし頃の祖父の写真が入っている。
それを祖母が大切にしているのは知っていた。
他界してしまった祖父のことを語る時は、ロケットペンダントを開ける。
私はそれを聴く時間が大好きだった。
そんなロケットペンダントを祖母は私に託す。
不安になってしまう。
修学旅行の自由時間に迷子になった。
乗るはずのバスと正反対に行くバスに乗ってしまったようだ。
少女は泣きそうになりながら、少年の指にしがみつく。
「大丈夫だよ。みんなと合流できるよ」と少年はなぐさめてくれる。
責任は少女の方にあるのに、決して責めたりはしない。
それが優しすぎる。
おばあちゃんは異界から箱舟に乗って、現世にやってきたという。
おじいちゃんに助けられて、この人なら一緒にやっていけそうと思い、求婚を受けたという。
だからか、わたしの七五三を楽しみにしてくれた。
おばあちゃんのいた世界ではないお祝いだそうだ。
七つまでは神の領域と。
「iotuは、特別に優しい声で最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

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僕は特別に優しい声で最後の嘘をついた。
それは自分が傷つくだけの嘘だった。
「世界は希望に溢れている」と。
だってもう、仕方がないだろう?
その正反対だとしても、僕にはどうすることもできない。
君には笑っていてほしいから、簡単な嘘をついた。
だから君よ、騙されていてくれないか?
予想通り、雨になったら良いのにと天気予報を見つめる。
今日は体育祭だ。
小規模とはいえ保護者を招いて、練習の成果を見られる日だった。
体育な苦手な少女にとっては、恥ずかしい結果を見せることになる。
雨が続けば順延になり、やがて中止になるだろう。
みっともない自分を見られたくない。
突然与えられた自由に少女は途惑う。
どの選択肢を選ぶのか試されているような気がしたのだ。
男性はトカゲでも見るような目をして、少女を見つめる。
管理付きとはいえ、せっかく与えられた自由だ。
漫喫してやろうじゃないか、と少女は思った。
その振る舞いが決して婚約者に相応しくなくても。
女性の記憶を事実と認めるために、当時の雑誌を洗いざらい見ることになった。
その冊数は半端ではなかったけれども、そこに真実があるのなら、と。
管理に当たった死神は雑誌から女性の記憶が正しかったことを拾う。
マッチするデータを見つかることができた。
女性は悔いを残すことなくなった。
平和という言葉が似合う公園に二人は逃げこんだ。
ベンチには老夫婦、遊具には幼子、砂場には子ども。
「行くぞ」と青年は相棒を見た。
「マジで」少女は顔を歪める。
青年は無理矢理、少女の腕を指先でなぞる。
腕は光を放ち二人以外の存在が消え去る。
簡易結界の完成だった。
敵がくるのを待つ。
「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は、さりげなさを装って嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
君の心を傷つけるような言葉だった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と。
もう、覚悟を決めたんだ。
君はいつも僕に対して誠実だった。
そんな君にひどいことを言ったという自覚はある。
これが最後の嘘にする。
最初から欠けていたのか。
それとも途中から欠けたのか。
どちらともつかない。
けれども、僕は半分に欠けた愛を探してる。
いつか、どこかで、もう半分に出逢えると信じて。
恋を重ねてみるけれども、まだ見つからない。
僕がするのは、愛ではないからだろうか。
胸の奥で鳴る音を元に今日も探す。
今日はついていない。
換気のために窓を開ければ、雨が降ってくる。
それも風も一緒のプレゼントだった。
床に雨粒が打つ。
あわてて窓を閉めた。
なんのために窓を開けたのか、分からなくなった。
読書に戻ろうとしたら、栞が床に落ちた。
どこまで読んだのか分からなくなった。
その上、栞が濡れた。
驚愕というのは言い過ぎだろうか。
驚いたのは本当だった。
黄身が二つの目玉焼きが運ばれてきた。
「双子だったようですね」と少女は笑う。
青年は白身を箸で刺す。
目玉焼きの黄身をよけながら、半分に切る。
「もう半分は君に」と少女の茶碗に載せる。
「いいんですか?」
「幸せは半分に」と言う。
路地裏に逃げたものの時間の問題だ。
すぐさま敵はやってくるだろう。
僕は仕方なく、君の腕を指先でなぞる。
文様ような赤い痕から光が零れる。
「君の腕は剣になり、僕の腕は盾になる」呪文を呟くと、二人は路地裏から飛び出した。
君は無数の棘が生えた剣で敵を屠る。
そんな君を守る盾になる。
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