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「 140文字の物語 」
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少女と共に暮らすようになって、朝に起きるようになった。
独りきりの時は昼過ぎまで寝ていたのだから、驚きの生活だった。
少女が起こしに来るのが悪いと思った。
それで朝食が冷めてしまうのが悪いと思った。
スマホのアラーム音を切ると、枕元に合った神剣・神楽を見やる。
絶対に守ると思った。
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同僚とすれ違い会釈をした。
すると同僚の視線が睨みつけるという方が正しい鋭さを増した。
何か気に障るようなことをしただろうか。
「その脇差し」と同僚は怒りを抑えるような震え声で切り出した。
「上様から下げ渡されたものだと聞いた」同僚が静かに言う。
「確かに拝領したものだ」と答えた。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は声が震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
それは一人で歩き出すための嘘だった。
「まだ一人で生きていける」と君に告げる。
もう、覚悟は決めたんだ。
自分をだますための嘘であろうとも。
僕は君に寄りかからずに歩いていくと決めたんだ。
だから、君は笑って嘘を祝福をしてほしい。
死の舞踏会への招待状が届いたのは、朝ご飯の途中だった。
少女は眉をひそめる。
同胞との戦いは、圧倒的に夜が多かった。
人目をはばかる戦いなのだから、当然かもしれない。
相手もなりふり構っていられないということだろうか。
「悪いが、行ってくる」食事の途中だったが、青年は立ちあがる。
気分は最悪。
昨日「大っ嫌い!」と喧嘩したばかりの彼氏と同じ班の修学旅行。
自由時間がくるのが憂鬱で仕方がなかった。
親友は「仲直りのチャンスかもよ」と気軽に言ってくる。
目的の向かうバスに乗りこむと彼氏が手を差し出してきた。
吊革に届かない私は嫌々ながらも、手のひらにしがみつく。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

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僕は祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは現実逃避のための嘘だった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と。
今でも君を信じている。
君が僕を裏切るようなことをしないと思っている。
君が嘘だと見破ってくれたらいいのに。
そんな未来を切り捨てるようなことを僕は言ったのに。
少女と共に過ごす世界は和やかだった。
長らく独りでいたから、疑似家族だとしても嬉しかった。
『誰か』がいるのはこんなにも、あたたかいのだと知った。
青年は洗い物をしている少女の背に向かって「ありがとう」と言った。
「いきなりなんですか?」驚いて振り向く。
「照れるじゃないですか」
「危ない!」大きな声と共に、手を引かれた。
その一瞬後、本棚が傾ぐ。
少女がいた場所に重たい本たちが滑り落ちてきた。
危機一髪だった。
少女は顔を上げて礼を言おうとしたが、気が変わった。
目を逸らしつつ、救世主の両手に爪を立てる。
「怪我はない?」
「大きなお世話よ」と少女は言った。
デートの終わりは、いつでも寂しい。
『次に会える日は?』と質問しても『仕事が一段落したら』という曖昧な答えが返ってくる。
『最後のキスをして』と私はねだる。
あなたは困ったような顔をして、私の額にキスをする。
いつか唇にキスをしてくれるだろうか。
今日観た映画の主人公たちのように。
クラシカルだと思う。
けれども、これが自分に一番似合う。
万年筆が原稿用紙を進む。
書くという作業は、すべてここから生まれる。
雷鳴が轟くシーンがやってきた。
今まで滑らかに動いていた万年筆が止まる。
登場人物を怯えさせようか、果敢に進ませようか。
プロット通りにはいかない作業だった。
たまの休日。
ソファの上でくつろいでいた。
どこかに出かけることもなく、夕飯はどこかですませばいいかと思っていた。
すると満面の笑みを浮かべながら、君は指先に爪を立てる。
のんびりさせてはくれないようだ。
エサ入れを見ると空っぽ。
お腹が空いたらしい。
エサ入れを満たすとニャーと鳴く。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
それは自分が傷つくだけの嘘だった。
「世界は希望で溢れている」と。
絶望という暗闇の中だから希望が輝くことは知っている。
それでも、希望を信じたい。
君の前で・・・うまく笑えたかな?
僕はいくら傷ついてもいいから、君には笑っていてほしい。
都合の良すぎることだと分かっている。
別れの言葉を言ったのは私の方。
嫌いになったわけじゃない。
何となく違うな、と感じたから、距離を開けた方がいいと思っただけ。
君は「そっかぁ」と笑ってくれた。
二人はただの知人に戻った。
それなのに今さらになって『もう一度好きになって』と思う。
殺すのも、殺すことも、惰性になってきた。
人と同じ白い肌を斬るのも、人と同じ赤い血を浴びるのも、慣れてきてしまった。
神剣・神楽を初めて握った時の勇気はどこに行ってしまったのだろう。
自分の生命さえ、どうでもよくなってしまった。
それでも少女が涙だけは変わらない。
だから、戦える。
受験前の楽しみは修学旅行だった。
好きな人と同じ班になれたのは、飛び切りの幸運だった。
お姉ちゃんが言うところの徳を積んだおかげだろう。
彼にとって幼い頃に住んでいた街ということで「新鮮味がない」と零していた。
「ここの道、危ないから」彼は言う。
ぎこちなく、手のひらにしがみつく。
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