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「 140文字の物語 」
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「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

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僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
これから先は少しは素直になるから。
最後の嘘だと気づかないで欲しい。
相手の笑顔のための嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と君に伝える。
こんなことしか言えないなんて。
我ながら最低だな、と思った。
心の中の叫び声を握りつぶして僕は微笑む。
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虹色の宝石を生み出すこの国も隷属することになった。
もともと武力がない国だったので、帝国に攻められたら、やすやすと陥落した。
帝国は虹色の宝石を求めた。
その秘密を知らなかったから、王女を差し出すと皇帝を首を傾げた。
王族の涙が虹色の宝石になるので、これからの未来に王女は震える。
『人の間』

『人間は人の間、と書くように他人がいなければ人間になれないものだよ』と懐かしい過去が伝えてくる。
淡々と告げられた言葉は思いのほか、あたたかく。
『だから、お前は人間でいてくれ』孤独な人は優しく頭を撫でてくれた。
だから、その人の分まで『人間』でいようと思った。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
君のためじゃない。
僕自身のためだ。
期待で耳に寄せた君に「世界で一番、大嫌い」と告げた。
もう、覚悟は決めたんだ。
世界が君を切り捨てようとしているのなら、僕は君を救うために離れ離れになる。
二十歳の誕生日を迎えた。
亡くなった父と同じ銘柄の煙草を買う。
身分証明書の提示を求められたが、すんなりと購入することができた。
コンビニの外に据え置かれた灰皿の前で、使い慣れないライターで火をつけた。
むせないように浅く吸う。
苦いだけのそれは、父が纏っていた匂いそのものだった。
読書中にそれは現れた。
この世界の柱の一つの化身だという。
「最初に言っておく。僕は読書の邪魔をされるのが最も嫌なんだ」僕は告げた。
「あなたしか、この世界を救えるものはいないのです」化身は言う。
「警告はしたよね」僕は佩いていた剣を抜刀して化身を刺す。
化身は残像のように消えた。
「ここから先、少し揺れるから」あなたが手を差し出した。
電車のつり革にも手が届かないチビの私にはありがたい申し出だった。
けれども、どうしても素直になれない。
「大丈夫」と私が言うと、電車が揺れた。
踏ん張れたもののよろけた。
嫌々ながらも、あなたの両手を折れんばかりに握る。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「幸せなんて、どこにもないんだ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

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僕は祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
「幸せなんて、どこにもないんだ」と。
君と一緒にいる時の感情を無視する。
君がいなくなっても大丈夫なように、嘘をついた。
本当は嘘だと見破ってくれたらいいのに。
そうしたら二人は手を繋いで歩いていける。
気になる本の続きを読んでいたら、すっかりと夜更かしをしてしまった。
スマホのアラームで目を覚ましたら、遅刻ギリギリの時間だった。
朝食を食べている余裕はなかった。
制服に着替え、電車に飛び乗った。
これで、どうにか間に合うだろう。
安堵感から空腹だったのを思い出す。
お腹が空いた。
鏡のように静まり返った水面。
そこに音もたてずに花びらが落ちてきた。
小さく波が立つ。
それを見た巫女姫は微笑む。
占いができないが美しい光景だった。
このままにしておきたいが、そうは言ってられない。
巫女姫は花びらをつまみ上げようとする。
花びらはすいっと抵抗する。
これが占の答えか。
黄昏色に染まった空を見ながら、一緒に帰った帰り道。
落ちていく夕陽が眩しくて、目を細める。
秋の中で一番、美しい時間だった。
ふれあいそうでふれあわない手。
そんなもどかしい距離の二人。
君がそっと、指を指先でつつく。
この気持ちは君も同じだったようだ。
僕は壊れないように手を包む。
少女はできるだけ憎たらしい口ぶりで、婚約者と初対面をした。
できることなら婚約破棄をしてもらいたい。
あるいは一歩譲って、婚姻の延期をしてもらいたかった。
結婚をするにはまだ少女は幼かった。
知りたいことはたくさんある。
「素直じゃないとこも可愛くてよろしい。よろしくな未来の妻よ」
あるところにいるお姫様は自分の美しさに苦悩していた。
誰も彼もがお姫様を美しいと称賛する。
お姫様の中身を評価してくれる人はいなかった。
花は散るもの。
今は美しくても、やがて醜くなっているだろう。
その時、周囲の人間たちは離れていくだろう。
ある日、お姫様の永遠を盗む人物が現れた。
政略結婚の二人の初夜は無理矢理なものだった。
花嫁は恐怖から両手のひらをぎゅっと握る。
怖い、の一言だった。
今、起きていることも。
これから始まるのも。
大事に育てられた花嫁には未知の領域で、絶望しかなかった。
花婿はそんな様子に加虐心が煽られた。
二度と逆らわぬように烙印を落とす。
スマホで撮った写真が増えてきた。
『整理しなさい。付き合うから』と君が言う。
君と一緒に見た風景、君と半分こにしたデザート。
ささやかな日常が写っていた。
『消去するのはもったいない』僕が言うと君は呆れたような顔をした。
『この瞬間の君が好き』と写真を見せる。
嬉しそうな笑顔だった。
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