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「 140文字の物語 」
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慢心していたのだろう。
君はずっと僕のことを好きだと思っていた。
君はいつでも笑顔で、僕を見つめていてくれたから。
それがある日、するりと君は僕の『愛』という名の抱擁から抜け出した。
君はいつものような笑顔で「別に好きな人ができたの。別れましょう」と言った。
僕は頷くしかなかった。
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君から新着メールが着た。
『窓を開けてみて』とメールの文面に、寒そうだなと思いながら、教室の窓を開ける。
木の葉で『大好き』という文字を書いていた。
僕は窓を閉めて、鞄をひっつかんで、君の元へと急ぐ。
「驚いた?」得意げに言う君を、僕は抱きしめる。
「今度は声にして」と僕は言った。
春は出会いの季節であるのと同時に、別れの季節でもある。
ソメイヨシノが乱舞する中、ここでも見慣れた景色が広げられていた。
君は泣き顔で、僕の両手を折れんばかりに握る。
その痛みが別れの痛さだと思うと、僕もセンチメンタルになる。
「たまにはメールしてよね」と君は泣きながら言った。
「iotuは、感情を抑えながら最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

------

俺は、感情を抑えながら最後の嘘をついた。
それは最初で最後の嘘だった。
精一杯の強がりだった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
神剣・神楽に選ばれてから平穏の尊さを感じていた。
それでも少女の前では弱音は吐けない。
もう、覚悟は決めたんだ。
弱音も泣き言も口にしないんだ。
僕は鈍感だったから、笑顔と嘲笑の差が分からなかった。
みんながニコニコしているのを見て、僕もニコニコしていた。
みんなが僕を構ってくれている。
みんなが僕の大切な友だちだと思っていた。
だから、君が刺すような瞳で僕を見ているのが不思議だった。
嫌われるようなことでもしたのだろうか。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「幸せなんて、どこにもないんだ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

------

僕は、ひどくためらないがら最後の嘘をついた。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
君を傷つけてしまうんじゃないか、と心配になりながら紡ぐ。
「幸せなんて、どこにもないんだ」と。
見えないだけで身近に幸せはある、と僕は知っている。
・・・うまく笑えたかな?
君に僕の気持ちが届いたかな。
「吐いた嘘を見抜いてしまう、貴方が嫌い」と少女に言われてしまった。
青年はどう切り抜けるか、と思考を巡らす。
少女は嘘が得意だ。
まるで空気のように嘘を吐く。
その嘘も他愛のないものだった。
自分のためじゃなく、相手のために嘘を吐く。
今だって嘘を吐いた。
嫌い、の反対だと知っている。
同胞たちは歪んだ遊戯に夢中だった。
自分の生命を賭けた死闘だというのに、楽し気にやってくる。
まるで死ぬ場所を探しているようだ、と青年は思った。
首を落とさない限り、いくらでも回復する体を持っているから、死は怖くないのだろう。
青年は神剣・神楽を抱えて、本日の戦闘の場所についた。
国語の授業は苦手だった。
特に教科書を読む順番が回ってきた時は最悪だった。
クラスメイトの嘲笑が耳の奥で反響する。
つっかえつっかえと朗読する僕は格好の笑い種なのだろう。
先生も分かっているのに見て見ぬ振りをしていた。
誰も僕を助けてくれないかと思うと、学校までの道のりが重かった。
思い出は甘く、切なく、色褪せない。
君に好きだと言えたらどんなに良かったのだろう。
僕と君が交差したのは文化祭の後夜祭だった。
キャンプファイヤーに照らされた君は美しかった。
フォークダンスの順番が回ってきた。
仕方なく、君の指先を握る。
それだけのことだったのに、僕の心は踊った。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
君は何も知らないままでいて。」

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僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
「ずっと君と一緒だよ」と。
『ずっと』なんて、どこにもないことは君も知っているだろう。
いつか必ず来る別れの時まで、君は何も知らないままでいて。
僕が君と『ずっと』一緒にいたいだけなんだ。
僕と君はよく似ている。
好きな季節、好きな色、好きな食べ物……そして好きになる人。
だから、いつも二人して振られるところも同じだ。
今度こそは僕を選んでほしいと思ってしまうが、サイコロはまだ投げられていない。
愛する人と、僕と君とでクリスマス会をすることになったのは、幸運だった。
ボールペンは滑らかに便箋の上を走る。
一緒にいられないことに慣れることができない。
『元気ですか?』の後に『私は元気です。』と書くことができない。
その代わりに深紅に染まった枯れ葉を一葉、封筒に忍ばせる。
風変わりな手紙は心配させてしまうだろうか。
声が聴きたくて静かに涙を流す。
夜が長いことを利用して、季節外れの肝試しをすることになった。
場所は近所の霊園。
街灯もなく、霊たちが静かに眠っている。
そんな場所で騒ぐのは罰当たりかもしれない。
くじ引きで決まった友人は顔が真っ青だった。
「怖いのか?」と尋ねれば頷く。
壊さないように恐る恐る、腕を両手で包む。
スーパーで柚子を見た瞬間、タイムトリップしたような気がした。
冬至は昨日だったはずだ。
柚子の入浴剤を湯船にいれた記憶は、しっかりとある。
とすると、これは売れ残りなのだろうか。
黄色い実を売り場に戻す。
「また明日」と声にならない声で囁いた。
いくら見切り品でも贅沢だ。
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