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「 140文字の物語 」
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奴隷の少女はがりがりに痩せていた。
顔色も悪い。
長袖のワンピースは汚れていた。
「脱げ」と青年は命令した。
少女の瞳は不安げに揺れていた。
「誰がご主人様だと分からせられたいのか?」青年は言った。
少女はビクビクしながらワンピースを脱いだ。
白すぎる肌に打撲と切り傷の痕があった。
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君と別れてから、こんな寒い日は心の傷が疼く。
早くあたたかな季節になるように祈る。
赤い糸が結んだ『運命』なのだろうか。
君と邂逅した。
偶然でもいい。
僕は『運命』だと名づけて、歓喜した。
もう二度と君から離れないと誓う。
こんな痛みを抱えるのはごめんだった。
今度こそ君を大切にする。
失くしてしまった恋にベッドの上で泣いていた。
何もかもを失った気分だった。
そこへ、幼なじみがやって来た。
一部始終を知っている唯一の相手だった。
「運命の相手じゃなかったんだよ」と穏やかに言う。
私は泣き顔で、幼なじみの両手を指先でなぞる。
小指のところで止める。
「僕でいいの?」
「iotuは、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

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僕は、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
君を傷つけると分かっていた。
それ以上に、君に振り回されるのに疲れていた。
「世界で一番、大嫌い」と、嘘をついた。
君の瞳は見る見る涙を湛える。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。
傷つけて思った。
赤い薔薇だろうか。
白い百合だろうか。
黄色の向日葵だろうか。
青いスターチスだろうか。
花のような君に似合う花は、どんな花だろうか。
どんな花も君の前では色褪せてしまうんじゃないかと僕は思った。
僕が精いっぱい考えた君に似合う花を抱えて、君に会いに行くよ。
僕の想いを伝えるために。
姿見の前でスーツに身を包む。
ネクタイを縛って、出社の準備はできた。
「良く似合っているよ」と姉が背を叩く。
本当は上の学校に進みたかった。
就職はもっと後だと思っていた。それが狂わされた。
我が儘を言えるほど豊かな家ではなかった。
奨学金も考えたが、あまり現実的な計画ではなかった。
掛け時計が深夜を知らした。
「子どもは寝る時間だぞ」と青年は言った。
少女はそれを無視してTVを観ていた。
青年はリモコンを取り上げ、TVを消した。
少女はようやく青年を仰ぐ。
「大人も寝る時間だよ」と少女は言った。
「明日も仕事なんでしょ?」少女は炬燵から出てTVの電源を入れる。
何かあったわけではない。
思春期だったら誰でも通る道だろう。
家出をしてきた少女を青年は匿った。
そのうち家が恋しくなって帰るだろう、と思っていた。
けれども少女は帰らなかった。
少女はベルの音にひどく怖がった。
上目遣いで、青年の腕にしがみつく。
家に戻されるのが怖かったのだろう。
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「いなくなったりなんてしないよ」、と。
本当に、ごめんね。」

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僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは本音と真逆の嘘だった。
君の泣き濡れる瞳から涙を拭って優しく言う。
「いなくなったりなんてしないよ」と、嘘をついた。
本当に、ごめんね。
僕も君を置き去りにしていく。
でも、今だけは優しい嘘の中で揺蕩っていて。
目が覚めるまで。
一生のお願いを使い果たしてしまったのかもしれない。
学校一美しいと評判の女子に恋の告白した。
女子はOKしてくれた。
不敵な顔をして「私は高いわよ?」と確認した。
金の切れ目が縁の切れ目、と言われているだけある。
「大丈夫。君の好きな物は何でも買ってあげる」と僕は有頂天になっていた。
君は旅行雑誌を広げて、計画を練っていた。
僕はというと曖昧な相槌を打つだけだった。
君が楽しければいい、と思っていた。
旅行というものに、あまり興味がないのかもしれない。
「浴衣の着せ替え体験だって!」君は弾んだ声で言う。
「浴衣って着たことがないから、一緒に着ない?」君は言った。
その日も冷たい風が吹いていた。
太陽の光が眩しくてサングラスをかけた。
常人よりも淡い瞳には、陽光は強すぎる。
ふらりと出かけた先で心を撃たれる。
清楚を絵に描いたような女性が微笑んでいた。
一目惚れなんてものがあるのが、初めて信じられた。
窓ガラスの先で女性は男性と話しあっていた。
『当たり前の失恋』

臆病だった僕は君に告白できなかった。
友達と呼ぶには近すぎる距離にいたから、関係を崩したくなかった。
そうこうしているうちに君には彼氏ができた。
お似合いの二人だったから、誰も彼もが祝福した。
僕は当たり前の失恋をした。
勇気があれば違った未来だっただろうか。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、冷静であるように心がけつつ最後の嘘をついた。
それは悪あがきのような嘘だった。
「君がいなくても何も変わらないさ」と。
本音は仕舞い込んだまま。
君は僕の太陽だ。
いなくなったら冷たい月の夜を歩くようなものだろう。
それぐらい君の寄りかかっている。
君を自由にするために嘘をつく。
久々の再会だった。
ショートカットだった髪も胸の位置まで伸びた。
「綺麗になったな」と彼は自然に言った。
「そんなお世辞を言わなくてもいいよ」と私は笑った。
二人が恋人同士だった時は言わなかった。
時間の流れを感じた。
「君につける嘘は、あいにく持ち合わせていない」と彼は真剣に言う。
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