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「 140文字の物語 」
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「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
・・・どうしようもないな。」

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
君に震えが気づかれないだろうか。
それは自分が傷つくだけの嘘だった。
「君にもらったものは全部返す」と。
君からもらった懐かしい日々も。
君から与えられた愛の日々も。
全部返す。
君が新しい明日を歩けるように。
僕は・・・どうしようもないな。
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「喉、乾いた」少年は言った。
少女には次に来る言葉がわかった。
だから先に言う。
「一口頂戴、なんて簡単に言わないで」少女の言葉に少年は「ケチ」と言った。
「自分の分は自分で用意しなさい」と少女は言う。
「だって一口でいいんだ。それでもダメ?」少年は言う。
我が儘を言う子供みたいに。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
・・・どうしようもないな。」

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僕は、愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だった。
君にどうしても笑って欲しかった。
だから僕は嘘をついた。
「世界は希望で溢れている」と。
同じくらい絶望に溢れているというのに。
こんな言葉で君が笑ってくれるはずがないのに。
・・・どうしようもないな。
「君が好きだ」と僕は告白した。
君はめんどくさそうな顔をした。
「あなたのことを知らないから、応えられない」と淡々と言う。
「これから知っていけばいいんだよ」と僕は言った。
「押しつけるの?」と君は哂う。
「この感情はどこに向かえばいいのかな?」と僕は君を見つめた。
君は逸らした。
震えるほど寒い朝だった。
新聞受けまで朝刊を取りに行くのが面倒なぐらいに。
それでも少女は家の玄関を開けた。
冷たい空気が入りこんで、少女は目を丸くした。
一面銀世界だったのだ。
いつの間に降ったのだろうか。
誰も踏んでいない雪が広がっていた。
柔らかな感触を踏みしめる。笑顔になる。
「ボールペン、持ってる?」と少女は青年を仰ぐ。
青年は和やかな笑顔を浮かべて、胸のポケットにさしていたボールペンを差し出す。
「どうぞ」と渡されたボールペンで少女は青年の手の甲に書く。
『私だけの手』と少女は書くと満足げに笑った。
「なかなか消えないんだよ」と青年は頭を撫でる。
お隣さんが引っ越すと、母から聞いた。
私はお隣のお兄さんの所へ行った。
いざとなったら言葉が出なくて。
私は泣きそうになりながら、自分の両手のひらを握る。
お兄さんは少し困ったような微笑み浮かべる。
そして、私の指を一本ずつほぐしていく。
「また、会えるよ」と優しく手を繋いでくれた。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

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僕は、情けなく笑って最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
こんな時、どんな顔をすればいいのだろう。
分からなかったから笑った。
「永遠を信じている」と。
そんなものはどこにもないことを知っているのに。
こんなことしか言えないなんて。
情けなさすぎて、涙も零れない。
「君のかわりに、泣いてあげる」と少年は言った。
「別に、悲しいことなんてないわよ」少女はカチンときて言い返した。
「君の心が泣きたがっているよ」少年は見透かすような目で言う。
「でも、君は泣くことを忘れてしまった。だから、僕がかわりに泣いてあげる」
少年は畳みかけるように言った。
苦労性なのだろうか、青年は思った。
それともマゾなのだろうか。
痛みに耐えながら神剣・神楽を握り締める。
流れた血はどうにか止まった。
あとは傷がふさがるのを待つだけだ。
街はすっかり朝の姿を見せていた。
結界が溶けていく。
外で待っていた少女が青年の姿を見て狼狽する。
その頭を撫でる。
彼女が怒り顔で、手のひらに指を絡める。
僕は怒られて当然だった。
二人の付き合って一年目の記念日だった。
そう記念日『だった』。
僕はすっかり忘れ去って、LINEすらも見なかった。
日付が変わる頃に彼女が家にやって来た。
紙袋の中にはご馳走が入っていた。
僕の家に入ると途端、彼女は怒った。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
どうか嘘だと気づかないで。」

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僕は、冷静であるように心がけつつ最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のためだった。
「怖いものなんてないよ」と。
君はほっと安心したかのように微笑んだ。
それを見て僕の心も安堵する。
どうか嘘だと気づかないで。
僕は天に祈る。
本当は怖くて仕方がない。
指先が震えるのをぎゅっと握りこむ。
僕は欠けた愛を探している。
愛が欠けたのは、いつからだろう。
僕と君の間に生まれた愛は、ひび一つなかったというのに。
気がつけば愛は欠けて、ボロボロになっていた。
以前ように戻れるだろうか。
そんな不安に駆られて、僕は探す。
見つけられたら最後、僕はもう欠けさせないと愛を君に誓う。
僕と君とはのんびりとした恋愛関係。
手を繋ぐのにも時間がかかった。
君はそれでいいかもしれないけれど、僕には不満だ。
今日こそ君にキスをする。
そう決意をしたもののタイミングを逸する。
君がわざと逃げているのだろうかと疑ってしまうぐらい。
それでも僕は今夜、君とキスをすると決意した。
映像には幼い自分が映っていた。
七五三か正月だろう。
着物を羽織る姿が映っていた。
兄からのお下がりだろう。
どこか悔しさを滲ませていた。
袖が余っている姿がいじらしい。
記憶にはない姿を見れて良かったと思う。
これで疎遠な兄との会話には困らないだろう。
DVDに焼いて持っていこうと思う。
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