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「 140文字の物語 」
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ハグもした。
キスもした。
それでも僕らはギリギリのラインにいた。
友だちだと言われれば、そうなのかもしれない。
恋人だと言われれば、違うものなのかもしれない。
僕たちは孤独に寄り添っていただけだ。
淡い関係は紐のようにするすると解けていくようだった。
それは恋なんてものじゃなかった。
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啄むようにキスをされた。
突然のことで、私は目を丸くする。
あなたは悪戯っ子のような笑顔を浮かべるから、怒るに怒れなかった。
付き合って、もう長いのだから、キスの一つや二つで動揺してはいけないのだろう。
それでも、少し残念な気分になった。
ファーストキスはもっとムードが欲しかった。
コンクリートでできた家は安心だったけれども、昔ながらの家の姿を喪ったようで寂しかった。
前の家にはたくさんの思い出があった。
それがすべて失われたような気がして、切ない気持ちになった。
そんなことを言い出せなくて我慢する。
家族みんなが喜んでいるのだから、これが正解なのだ。
昼下がり、僕はソファの上で微睡んでいた。
お腹はいっぱいで、窓から差しこむ陽光が気持ちよく、幸せな気分だった。
足音が近づいてきた。
ぼんやりと目を開けると、君は軽々しく、僕の両手のひらを握り締める。
「起きて。夕食の買い出しに行くんだから」そう言った君の声も子守唄のようだった。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

------

僕は、情けなく笑って最後の嘘をついた。
それは君から離れて、歩き出すための嘘だった。
これが最後の嘘になるように願いながら、僕は口を開いた。
「君がいなくても何も変わらないさ」と。
君が悲しい顔をするのは分かっていた。
だってもう、仕方がないだろう?
君は君の道を行くのだから。
愛する貴方へ宣戦布告です。
どちらがよりどちらを愛しているのか。
それを比べましょう。
負けるつもりはありません。
おや戦う前から白旗を上げるのですか。
貴方の愛はその程度なのですか。
私の愛はこれ以上ないぐらいに、強く、激しいのに。
まるで爆撃を落としたかのように、貴方が好きなのに。
熱を出した妹は氷菓が食べたいと言った。
熱いのだろう。
少しでも体温を下げたいのだろう。
こんな時、近くに24時間やっているコンビニがあることに感謝する。
自転車に乗ってコンビニに向かう。
妹が好きなレモン味のシャーベットと白桃のゼリーを買った。
早く元気になってほしいと思いながら。
神の慈悲なのだろうか。
水面に、ぽつりぽつりと落ちる涙が揺れないのは。
未来を映す水鏡は凪いだブルー。
何も映らない。
この国の巫女は目を潤ませる。
涙が後から後から零れてしまう。
この結果を国王陛下は、どう判断するのだろうか。
自我放棄になって戦を始めてしまうのだろうか。
巫女は見る。
課題をさぼった罰としてお風呂掃除を言いつかった。
スポンジで浴槽を磨いていると、双子の姉がやってきた。
さりげなく、私と姉の両手のひらを触れ合わせる。
「泡だらけになっちゃうよ」と言うと「もうなってるよ。私の半分さん」と姉は笑う。
「課題、見せてあげればよかったね」と姉は言う。
「iotuは、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「すぐに追いつくから、先に行ってて」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
君だけは無事に逃したい。
それを押し隠して僕は微笑んだ。
「すぐに追いつくから、先に行ってて」と。
本音は仕舞い込んだまま。
これで君の心配そうな顔を見るのは最期だろう。
だから、君の姿を目に灼きつける。
幸せになって、なんて嘘だよ。
俺を振って、別の男を選んだんだ。
世界一不幸せになってほしい。
俺を選ばなかったことを後悔してほしい。
それぐらい好きだったんだ。
それぐらい本気だったんだ。
それなのに君は俺に振り向いてはくれなかった。
その事実が重くのしかかる。
もう笑顔を見せられない。
「iotuは、特別に優しい声で最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、特別に優しい声で最後の嘘をついた。
それは独りでも前へ進むための嘘だった。
「まだ一人でも生きていける」と。
君へ強がりを言った。
見栄を張ったのは前へ進むため。
・・・泣いたりしないよ。
少なくとも君の前では。
僕は最後の嘘を抱えて、光を差す方向に向かった。
君を置いて。
少年は少女の小さい体を抱きしめた。
まるで生きていることを確かめるように、きつく。
自分よりあたたかな体温に安堵する。
少年は少女の柔らかな感触がする髪に、顔をうずめる。
「離してあげられなくてごめんね。もうしばらく、こうしていてもいい?」
少年は絞り出すような声で少女に言った。
君は顔と行動がちぐはぐだ。
怒り顔で、僕の指先を両手で包む。
まるで大切な宝物を守るように、そっと。
いつもよりも高い体温が伝わってくる。
こんな可愛い君をもっと酔わせたいと思ってしまうのは、罪作りだろうか。
僕もどうやら酔っぱらいみたいだ。
想いをこめて君の手をぎゅっと握り返した。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
本当に、ごめんね。」

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僕は、情けなく笑って最後の嘘をついた。
それは本音と真逆の嘘だった。
君を傷つけると分かっているのにささやいた。
「世界で一番、大嫌い」と。
本当に、ごめんね。
こうでもしなければ、いつまでもきみは僕の後ろをついてきそうだったから。
君には君だけの道を歩んで欲しい。
サヨナラは笑顔で。
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