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「 140文字の物語 」
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「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
それは現実逃避のための嘘だった。
「君が幸せなら、幸せだよ」と。
・・・うまく笑えたかな?
君が幸せを祈る気持ちに偽りはない。
君は幸せになるべき人物だ。
ただただ、君の隣で一緒に幸せになりたかった。
この気持ちは最後の嘘だから許して。
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気分は最悪だ。
数合わせに呼ばれた合コンは、ちっとも楽しくなかった。
せめての元を取ろうとお酒を呑んでいたせいだろうか。
吐き気がせり上がってくる。
やっと合コンから解放されたのに、これでは明日の朝は二日酔い決定だろう。
せっかく休みをもぎとったのに。
合コンに行かなければよかった。
外で振動音がした。
結界を張られた時の音だ。
青年も少女ものんびりと昼下がりを満喫していたところだった。
敵に回った同胞が挨拶代わりに、青年の腕を切り裂く。
少女が小さく悲鳴を上げた。
神剣・神楽は寝室だ。
青年は少女を抱えると寝室に向かう。
その間にも斬撃は襲ってくる。
時間が欲しい。
夕陽が眩しくて長く伸びた影が濃かった。
沈みゆく太陽のように君が消えてしまいそうだった。
君は上目遣いで、僕の両手のひらにしがみつく。
君の手は紅葉のように小さいのに、どこにそんな力があるというの。
「消えちゃやだ」と君が言う。
消えそうなのは君なのに。
だから安心させるように笑う。
『注がないものが溢れるわけがないのだ』

君は空のグラスを用意する。
そこへ透明な水を注いでいく。
グラスはいっぱいになる。
透明なグラスに透明な水が溢れていく。
「注がないものが溢れるわけがないのだ」と君は言った。
それは『愛』への教訓のようで僕に教える。
溢れかえった水は綺麗だ。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
これ以上、君の面倒を見ていられない。
僕と君は二人で一つのような感覚がした。
だから離れ離れになるべきだ。
それが二人のためだ。
「まだ一人で生きていける」と。
本音は仕舞い込んだまま。
僕は君に告げた。
「私たちの関係って中途半端よね」と君が言った。
「友達って言ったら、深すぎるし。恋人じゃないし」君は曖昧な笑みを浮かべた。
「好きだ、って言ったら逃げるくせに」と僕はぼやいてしまった。
「だって、あなたの好きは軽すぎるんだもの」と君は困惑するような顔をした。
「本気ならいいの?」
いつか君を喪う日が来ることが怖かった。
時は僕たちを置いて流れていく。
僕よりも一秒でも長く生きて欲しかった。
君を看取る日が来ることが怖かった。
それなら自分が先に死んでしまった方がマシだった。
お願いだよ。
僕を置き去りにして息を止めないでよ。
優しく微笑んでこの世を去らないでよ。
一生に一度の誓いの日。
親友にカメラを任せる。
腕前のほどは知っている。
きっと花嫁を綺麗に撮ってくれるだろう。
花婿は添え物でいい。
今日という日は、何度も思えかえす日になるだろう。
純白なドレスをまとった君に惚れなおす。
君は本当に美しい。
そんな君の隣に立てることが誇らしかった。
「iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。」

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僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。
それは相手を守るための嘘だった。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と。
何度も裏切られていく世界で、君は生きていかなきゃいけない。
だから、冷たい言葉を放った。
本当の願いは、どうせ叶わないから。
君にも知ってほしかった。
君は僕の精神安定剤。
どんな恐怖も、どんな苦しみも、どんな辛さも、君がいれば大丈夫だった。
僕の揺れ惑う心を落ち着かせてくれる。
だから、いつまでも一緒にいてほしい。
あたたかな手で僕の手を握っていてほしい。
そうすれば僕は強くいられる。
暗くてみじめな今日から、明日に希望を持てる。
君はカレイドスコープを覗く。
色とりどりのビーズや紙切れの入ったそれは美しいだろう。
君は器用な手つきで、くるくると回し楽しむ。
「あなたも見てみる?」と君は気軽に言った。
僕は生まれつき色弱で赤と緑の差がわからない。
色とりどりの世界は灰色に見える。
君と同じような目が欲しかった。
古めかしいロケットペンダントをつけたいと花嫁は言った。
純白のドレスには、それはあまりにも不釣り合いだった。
花嫁の母親代わりだった叔母は「みっともないからおやめなさい」と言った。
僕は「サムシングフォーと言いますし」と君をかばう。
ロケットペンダントには母親の写真が入っている。
君は意地っ張りだから、謝ることはしない。
たとえ、君の方が悪くても。
僕はそんな君に慣れてしまって、謝るのは僕のほうになっていた。
けれども、その日は僕の機嫌は悪かった。
君は堂々と、僕の腕を指先でつつく。
それを無視していると、君はうつむいて小さな声で「ごめんなさい」と謝った。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

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僕は、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
君という呪縛から離れるための嘘だった。
「君の全部を忘れたいんだ」と。
君の顔が見られなくて、僕は俯いたまま言った。
胸の痛みは消えやしないな。
これが最後だとわかっていても、泣き出しそうだった。
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