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「 140文字の物語 」
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顔をいくらでも化粧という仮面で隠せた。
体形はちょっとした仕草で女らしく見せられた。
偽りの自分で、今日も過ごしていた。
「君が好きだ。恋人になってくれないか」と落ち着いたバーで囁かれた。
私がどんな女かも知らないで、男たちは群がってくる。
「束縛されるのは嫌いなの」と私は笑った。
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星のように輝く少女が妬ましかった。
どうして自分じゃないのだろうか。
悔しくて眠れる夜を幾度、過ごしただろう。
一番暗いと言われる六等星でいいから星になりたかった。
そうすれば、あなたの瞳に映ることができるだろう。
あの少女ではなく、私を見つけてくれるだろう。
東の空が白々とした。
与えられた部屋はすすだらけだった。
明かりがあるだけのマシの部屋だった。
あたたかい部屋で寝たいと、涙が自然と零れた。
それを拭うと、手のすすが移る。
きっとそれを義妹は嘲笑するのだろう。
どこにも行く当てのない私だから、すすだらけの部屋で我慢する。
王子様が来ないことは知っている。
僕はぎこちなく、君の両手を両手で包む。
そこに雫が一滴が落ちた。
君の体温と同じように、あたたかな水滴だった。
僕は君を見ると、君はうつむいた。
雨のように滴が落ちる。
これで、君とお別れなのだと、僕の心臓はきゅーっとつかまれたように痛くなった。
それなのに僕の目からは涙は落ちない。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「幸せなんて、どこにもないんだ」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

------

僕は、祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは君に対しての最初で最後の嘘だった。
「幸せなんて、どこにもないんだ」と。
初めてなのに、そんな悲しい嘘をついた。
君との幸せ探しも、もうおしまいだ。
君の瞳は動揺するような光を宿していた。
残酷な嘘をついた僕は・・・泣いたりしないよ。
僕よりも君は先に死んではいけない。
君に残された泣き虫の僕は、盛大に泣くのだろう。
君にもその様子が想像できるだろう。
だから、君は僕よりも一秒でも長く生きなければいけない。
だって、子や孫の前で大泣きする僕は、みっともないだろう。
最果ての約束だ。
お願いだよ、笑って頷いてくれ。
期末試験も終わり、やっと自由を手に入れた。
ここでテストの点数を落としたら、お母さんから雷が落とされるのだろうな。
そんなことを思いながら、ゆっくりと帰路につく。
ガーデニングに力を入れている家が多いから、蕾を綻ぼした花を見ながら帰れるのが嬉しい。
春の足音は間近に迫っていた。
意外と虹の中身は知られていない。
世界の秘密の一つだ。
虹の前に必ず雨が降るように。
神様が泣く竜を優しく抱きしめているから、雨が降り止み、光が差す。
竜は誰かが悲しいことがある度に、雨を降らす。
大空に虹をかけるために。
そのことを知っている人は少ない。
今日も誰かのために雨が降る。
普通に歩いているつもりだった。
それは勘違いで、白線からはみ出していた。
向かい側からスピードを上げた乗用車が走ってきていた。
ふいに白線の内側に引き寄せられた。
乗用車はスピードを下げずに走っていった。
危機一髪だった。
命を救ってくれた君は泣きそうになりながら、僕の腕を軽く握る。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

------

僕は、冷静であるように心がけつつ最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
「怖いものなんてないよ」と。
君はそんな僕は見透かして「本当に?」と尋ねた。
だから僕は微笑みを浮かべて「本当だよ」と答えた。
これが本音なら、楽だったのに。
君を喪う未来が怖かったというのに。
稚い瞳が見つめる先。
どうか綺麗なままでいて。
君が世間の言葉に惑わされたりして、鵜呑みにしないでほしい。
君のために用意された世界は綺麗なものだよ。
たとえ雨が降っても、虹がかかるように。
たとえ辛いことがあっても、笑える未来が待っているよ。
だから、傷つかないで笑っていてほしい。
僕は気がついたら、君から目を離せなくってしまっていた。
キラキラと輝く瞳が見つめる先を一緒に見て見たいと思ってしまった。
簡単に僕は君に恋に落ちてしまったのだ。
君が気になって仕方がない。
できるなら死が分つまで、一緒にいたいと思ってしまう。
そんなことできるはずがないというのに。
君はグラスに入った水を見つめる。
言葉を発することなく水だけに視線を送る。
僕は話しかけるのも飽きて、スマホを眺めていた。
かばうわけじゃないけど、こうなったら君は水を見続けるだろう。
こだわり症の君だから、諦めるしかない。
僕は透明人間になったつもりで、砂のような時間を過ごす。
臆病な君が泣き顔で、僕の腕をぎゅっと握る。
風に紛れそうな小さな声で「行かないで」と言った。
それはどれだけ勇気のある行動だっただろう。
だから僕は腕を握る指を優しく一本一本ほどいていく。
「大丈夫だよ。必ず帰ってくるから」と笑顔を浮かべて君に告げる。
君の大きな瞳から涙が落ちた。
夏の間、眩しいぐらいの若草も紅葉の時期を経て、寒紅の花を咲かす時期になった。
毎日、天気予報を見つめる。
風が強く吹く地域だからか、今日も空は青い。
雲ひとつない空を悩まし気に仰ぐ。
寒紅に染まった花には、雪が似合うだろう。
気温だけは雪が降ってもおかしくない数字を示す。
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