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「 140文字の物語 」
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眠りにつく幼い妹は可愛いおねだりをした。
「あのね。眠るまで手をつないでいて」とないしょ話をするように言った。
「いいよ。眠りにつくまで傍にいてあげる」と僕は言った。
恥ずかしそうにする妹の、指先を両手で包む。
僕よりもあたたかい手は、幸せな夢を見る準備を始めていた。
僕は微笑む。
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「iotuは、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
君は何も知らないままでいて。」

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僕は、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をついた。
それは心の傷をいやすための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と。
そんなことを言っても、痛みは変わらない。
それどころから傷は広がっているような気がする。
君は何も知らないままでいて。
悲しい顔は君には似合わないから。
待ち合わせ場所で10分前から待っている君。
そんな僕も5分前には到着してしまう。
僕を見つけて君が微笑む。
この瞬間の君が好き。
いつもうつむきがちな君が僕を真っ直ぐ見る。
僕だけのために笑ってくれる。
特別な瞬間は何度きてもいいものだ、と僕は思う。
独り占めの笑顔に僕も笑顔になる。
今日はテストの結果が廊下に張り出される日。
万年2位の少女は、今度こそ、と意気込んで廊下に向かう。
一番緊張する時間だった。
ゆっくりと白金色の頭髪の少年とすれ違う。
いつものように表情が薄い顔を見て、少女は結果が分かってしまった。
それでも諦めきれずに張り出された紙を見上げる。
秒針は規則正しく進む。
そろそろ集合の時間だ。
初めてのオリエンテーリングは楽しかった。
コンパスが示す矢印に向かって、歩いていく。
するとスタンプを持った先生が待っていた。
「お疲れさま。これで最後だよ」と先生はスタンプラリーのカードにスタンプを押す。
後はゴールを目指すだけだ。
「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「すぐに追いつくから、先に行ってて」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。」

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
それは君に対して、最初で最後の嘘だった。
「すぐに追いつくから、先に行ってて」と。
僕はこれ以上、君の悲しい顔を見たくないのだ。
君は振り返りながらダンジョンを進んでいく。
僕は安堵しながら見送る。
本当の願いは、どうせ叶わないから。
没落貴族とはいえ、贅沢な暮らしが染みついていた。
家が傾くほどの贅沢三昧が、没落に拍車をかけたのだろう。
レディとかしづかれていた女性は、裕福な商人と結婚することになった。
お相手は二度と見られないほど醜くはなかった。
むしろ女性が放っておかないような容姿だ。
「私は高いわよ?」
「iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

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僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
日々は苦しくて辛いものだけではなかった。
なにより隣に君がいてくれたから。
君は不安気に僕を優しく見つめる。
君が嘘だと見破ってくれたらいいのに。
ティッシュの箱を買いながら、思わず喜んでしまう。
花粉症万歳だった。
インドアの私と違い、アウトドアの夫は、私を置いて一人で遊びに行ってしまう。
それでもこの時期は違う。
家の中で私と一緒にいてくれる。
花粉症で辛そうだとは思うけれども、離れなくてすむのは嬉しい。
会計しながら笑う。
手元を見ると一振りの脇差し。
父から譲られたものだった。
想い出がたくさん詰まっている品だった。
できたら墓の中まで連れて行きたいものだった。
けれども、困窮している一家のために手放すことが決まっている。
惜別の時が迫っていると思うと、心の中で涙が流れた。
「ありがとう」と礼を言う。
意地っぱりな君は、なかなか素直になれない。
僕はそんな君も可愛いと思うけれども、周りは違うようだ。
「なんで別れないの?」と君と一緒にいる時、友だちに訊かれた。
友だちは悪気はなかったんだと思う。
「離れちゃ嫌」と君は無理矢理、僕の両手にしがみつく。
「こんなところ」と僕は笑う。
今年はあなたに会えないから、自分用のチョコレートを買った。
いつもよりも奮発したチョコレートを前に、涙が流れた。
甘党なあなたに、このチョコレートを渡したかったな。
「君も食べなよ」と勧めるあなたに一つだけもらって、一緒に食べたかったな。
チョコレートは涙の味がした。
「iotuは、小さく笑って最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、小さく笑って最後の嘘をついた。
それは悪あがきのような嘘だった。
「ずっと君と一緒だよ」と。
君を安心させるための嘘だった。
それは君も薄々感じ取っていたようだった。
これが最後の嘘になるのなら、君の悲しみを拭い去りたい。
だから僕は笑顔を作る。
君の前で・・・うまく笑えたかな?
スマホもパソコンもタブレットも持っていなかった。
アナログなコミュニケーションしか持ち合わせていない僕らだった。
だから君と離れる別れ道に来ると、足を止めてしまう。
今日は君から交換日記を渡された。
サヨウナラではなく「また明日」と君は微笑んだ。
だから僕も「迎えに行くよ」と言う。
なんでも彼女はスマホのカメラに収める。
青い空も、薄紅色の薔薇も、昼間に食べたラーメンも。
まるで自分の記憶は信じられないように、シャッターを切る。
そこかに投稿するわけでもなく「ただの記念だよ」と笑う。
いつか真っ直ぐ夢へ向かって進む僕を撮ってくれないか、と言うと勿論と言った。
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