忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
本当に、ごめんね。」

------

僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
「世界で一番、大嫌い」と。
君には僕はふさわしくない。
もっと素敵な人がいるはずだ。
だから、鋭い言葉と柔らかな笑顔で、君とお別れをしようと思う。
本当に、ごめんね。
ひとときとはいえ君を傷つけるのは苦しい。
PR
あなたは憎ませもくれない、ずるい人です。
どんなにやんちゃなことをしても、あなたの笑顔を見れば許してしまう。
たとえ「二番目に好き」と言われても、好きになってくれただけでも嬉しいと思ってしまう。
一番じゃなくても、あなたが笑ってくれるのなら、恋の深みに、はまっていってしまう。
古式ゆかしく顔を知らない相手と文通することになった。
同じゲームが好きで、周りにハマっている友だちがいなかったからだ。
どんな相手なんだろう。
妖精さんが書いたように可愛らしい文字が、花々が咲く便箋に書かれている。
同じ女の子だといいなぁ、とぼんやりと思った。
返信をしたためる。
「あれ、お姉ちゃん。どっかに行くの?」と妹が尋ねてきた。
「どうしてそう思うの?」私は訊き返した。
「だって、ちゃんと化粧しているから」妹は笑う。
「でも、デートは室内の方がいいよ」
「どうして?」と問うと、妹が肩に手を置く。
「天気予報ぐらい見よう。今日は午後から雨だよ」と言う。
ようやくつかんだ連休で旅行に行くことになった。
といっても隣の県に温泉に行くだけだ。
それでも、心が浮き立った。
楽しみで仕方がなかったがハプニングが起きた。
一緒に宿を出た君とはぐれたのだ。
あちこち探しまわってようやく見つけた君。
泣きそうになりながら、両手のひらを指先でなぞる。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

-------

僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
それは現実逃避のための嘘だった。
嘘ですべてがごまかされたのなら、どんなにいいだろう。
君の涙をこれ以上、見たくないのだ。
「これ以上関わらないでくれ」と。
冷たく吐き捨てるように言った。
嘘だと言えたら、どんなに。
本当は君を抱きしめたい。
あの日、君は『大丈夫だよ』と言った。
その表情は全然、大丈夫ではなかった。
今にも崩れそうな顔をして、声だけは明るかった。
僕を安心させるために、浮かべた表情だということは分かった。
そんなに僕は、頼りなかったのだろうか。
あれから君を見ることはなかった。
君が吐いた嘘と本当だった。
七色のキャンバスが濁らずに華やかに描かれていた。
自分にはできない芸当だった。
それが分かって悔しい。
展覧会の一番目立つところに飾られた油彩を、見上げる。
どうすれば、こんな風に虹色を使いこなせるのだろう。
天才というヤツだろうか。
技量の差が苦しかった。
端に飾られた絵の自分には。
付き合っていることは誰にも秘密だった。
だから、学校でも赤の他人の振りをしていた。
一緒に帰ることもしないし、手を繋ぐこともない。
付き合う時『それでいい』と彼女の方から言ってきたのだ。
それなのに最近、恋人らしいことをしたいと盛んに言うようになった。
仕方なく、指先を両手で包む。
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「絶対にあきらめたりしないよ」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

------

僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
目覚めてしまえば覚えていないような、頼りのない嘘だった。
それは自分が楽になるための嘘だった。
「絶対にあきらめたりしないよ」と。
すでにあきらめているのに、口にした。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。
少なくとも夢に向かう君には。
「そんなことをすると、くすぐっちゃうからな」
「できるならどうぞ。倍に返してあげる」
今日もバカップルは教室だというのにお盛んだ。
私は大袈裟に溜息をついた。
それすら、かき消すようにじゃれあっている。
こちらは試験に向けて勉強中だというのに。
「黙れバカップルが」と言ってしまった。
「おい、いつまで寝てるんだ」
放課後、下校のチャイムが鳴ろうとしているのに、教室で爆睡をしている女子生徒がいた。
二人っきりだというのに、完全に安心しきっている。
それが少し悲しく、少し切なかった。
いつでも、面倒を見てきたせいだろうか。
今も机に突っ伏して女子生徒は眠っている。
青年は神剣・神楽を抜刀する。
するりと音もなく抜けた。
そのままの勢いで枝を切る。
何の抵抗もなく、枝は落ちた。
青年は斬れ先を睨みつける。
神刀というよりも、妖刀に近い。
青年は神剣・神楽を納刀する。
斬ってしまった花枝は少女に渡そう。
そうでなければ可哀想だ。
青年は花枝を拾いあげる。
好きな人が傍にいるということは良いことだ。
いつでも会える。
同じ学校の同じクラスの彼女に恋をした。
静かな彼女はいつでも本を読んでいた。
その本が羨ましいほど恋焦がれて告白した。
すると返事は良いものだった。
それからお付き合いが始まった。
手を繋ぐのもぎこちなく、指に触れるだけだ。
いとこにあたるお姉さんがお嫁に行くのだ、と聞いた。
青嵐の夜のことだった。
お姉さんが大切にしていた雛人形はどうなるのだろう。
雛人形ごと嫁いでいくのだろうか。
そんなことを思っていたら「七段飾りをうちに?」と母の声がした。
耳をそばだてる。
どうやら電話をしていたようだ。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH