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「 140文字の物語 」
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「これは罰ゲームなんだからね」と君が可愛らしく言う。
君は優しく、僕の両手をぎゅっと握る。
「今日いちにち、手を離したら行けないんだから」
その様子に、こんな罰ゲームなら何度でもやりたいと思った。
でも、そんなことを言ったら君の機嫌を損ねてしまうだろう。
だから僕は口をつぐんだ。
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「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
決して、君のためのものじゃなかった。
我儘の延長線にあるような嘘だった。
「永遠を信じている」と。
そんなものはどこにもないことぐらい知っていた。
本音は仕舞い込んだまま。
僕は最後になるだろう嘘をついた。
機種変更して携帯電話からスマートフォンになった。
ショップでは返却するか訊いたけれども、携帯電話は持ち帰ることにした。
もうかかってくる電話はスマートフォンだけれども、学生時代の思い出が詰まっている。
二度とかかってこない番号の電話を眺めながら、少しだけ感傷的になった。
「今度の休み、どこかに行きたいところはあるか?」青年が尋ねた。
「え?」少女は瞳を瞬かせる。
「いつも家事をしてくれる礼だ」青年は言った。
「それなら海に行きたいです」少女は喜ぶ。
そして、電車を乗り継いで海へやってきた。
和やかな雰囲気だった。
このまま永遠が続けばいいと思った。
「手を繋いで帰ろうよ」君が言った。
「暑いから嫌だ」と僕は照れ隠しに断った。
「そんなこと言って、実は恥ずかしいんでしょ」君が図星を指す。
「そんなこと、あるわけないじゃないか」僕は慌てて言う。
君は無理矢理、両手に指を絡める。
春にしては暑い日だったけれども頬まで真っ赤になった。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
それは現状打破のための嘘だった。
君にもたれかかっている僕は情けない。
君から立ち上がるための嘘だった。
「全部忘れていいよ」と。
僕は心の中で『大丈夫』をくりかえして言った。
君は僕を見を見つめた。
僕は・・・うまく笑えたかな?
僕の向かい側に座って、カフェオレを飲む君。
学校であった他愛のない話をする。
ゆったりとしたソファ席で、話が弾む。
ゆっくりと話していたら、僕の飲んでいたブレンドはぬるくなっていたし、君のカフェオレは氷だけになっていた。
お別れの時間が迫ってきていた。
僕はこの瞬間の君が好きだ。
君の瞳が濡れていた。
それがどうしようもないくらい哀しかった。
僕にできることは、何ひとつないのだから。
ポロポロと溢れる涙を拭って、君は笑おうとする。
けれども意に反して、涙は大粒になっていく。
僕はそれを眺めていた。
ズボンのポケットにはくしゃくしゃのハンカチ。
差し出せなかった。
新緑の葉がかじられていた。
犯人探しに、新緑の葉を一枚千切り、ブロック塀に置く。
気配を隠して犯人が来るのを待った。
すると、住宅地には珍しいリスがやってきた。
新緑の葉を盗むと、姿を隠した。
一瞬のことだった。
飼われているリスではないだろう。
まだこの辺りも田舎だということだ。
大きな手がほっそりとした手を取る。
軽々しく、指先を握る。
そして、手の甲に口づけをした。
それを見ていた私は苛々がMaxだった。
仕方がない風景だった。
ほっそりとした手の持ち主はこの国女王で、大きな手の持ち主はそれに仕える騎士なのだ。
でも、婚約者の前で見せるものじゃない、と思う。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
君は何も知らないままでいて。」

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僕は、愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だった。
君が離れていく事実があるのならせめて最後ぐらい笑顔で別れたい。
「寂しくないよ。大丈夫」と。
自分の心を知らんぷりして僕は笑った。
君は何も知らないままでいて。
大丈夫、僕も何も知らない振りをするから。
「結婚、やめにしない」と私はブライダル雑誌を読んでいた君に言う。
「何か、あった?」君は尋ねる。
「愛しているか、分からなくなっちゃったの」私の姿が迷子のように見えたのだろう。
君は優しく頭を撫でた。
「あくまで僕が、あなたを愛していたいんです。そのための結婚式だよ」と君は言う。
ボイスチャットというのだろうか。
まるで電話をかけるように、彼は楽し気に話していた。
私と喋っている時よりもワントーン高い声だった。
海外のユーザーなのだろう。
英語で会話していた。
学校の授業も散々たる成績だった私には話している中身の意味が分からない。
思わず、私は歯噛みする。
記念日を忘れていた僕に、君は遠慮がちに、僕の腕に爪を立てる。
子猫のような鋭さが、君を幼いものにする。
もっと我が儘を言ってもいいだよ、と思ってしまう。
けれども、君は「次はないからね」と言って、わずかな痕を残して、手を引っこめる。
僕らの大切な記念日だ。
もう二度と忘れないよ。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
それは相手を守るための嘘だった。
君の手を取り、笑顔を浮かべる。
「ずっと君と一緒だよ」と。
先に天国で待っているから、君はゆっくりと来てくれてかまわない。
もう、覚悟は決めたんだ。
最後の嘘に騙された君は、嬉しそうに微笑む。
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