忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

受験校の校庭に張り出された紙。
友だちと真剣に受験番号を探した。
「あった!」と友だちが叫んだ、次の瞬間に私の番号を見つけた。
二人そろって合格した。
泣きそうになりながら、友だちと両手のひらを合わせる。
サクラサクだ。
これから、また三年間同じ学校に通うことになる。
私は嬉しかった。
PR
有給休暇を取った日に何故か恋人のアパートでキウイの皮を剥いている。
熱を出して、会社を休んだ恋人が『果実を食べたい』とLINEをしてきたからだ。
『リンゴ?ミカン?モモ?』と返信すると『キウイ』という答えが返ってきた。
小さい頃から風邪で寝こむとキウイを食べていたそうだ。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

------

僕は、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
それは最初で最後の嘘だった。
僕は君に対して真っ直ぐでいたから、嘘をつく必要性がなかった。
この時のために、嘘をとっておいたのかもしれない。
「君がいなくても何も変わらないさ」と。
こんなことしか言えないなんて。
君は信じたかい?
青にも種類がある。
空を表す蒼、海を表す碧。
同じ青だけれども、色がほのかに違う。
だから青とひとくくりにしないで、使い分けている。
そんな言葉を聞いてから、私もできるだけ、使い分けをしている。
幸せと幸いと幸福を。
あなたは気がついていましたか。
私にあなたが教えてくれたんですよ。
私とあなたのコンパスのサイズが違うから、どうしても遅れてしまう。
あなたは私の先を行き、木の葉を踏みしめた感覚を楽しんでいた。
それを見て、私は傷つく。
あなたにふさわしくないんじゃないか、と何度も思っている。
それを口にしたら、あなたを困らせるだけだと知っている。
唇を閉じる。
手を繋いで歩きたい。
そんなのわがままだよね。
あなたの手を見つめてしまう。
どんなぬくもりなのだろうか、どんなに大きいのだろうか。
そんなことを思っていたら、目が合った。
私は思わず目を知らしつつ、自分の両手のひらを軽く握る。
あなたにわがままを言い出さないように、と願って握る。
今年の春は早かった。
だから、と言うわけではなかったけれども、別れの季節も早かったような気がした。
校庭に植えられた桜の下で「これで最後だね」と君が言った。
「そうだね」と僕も頷いた。
再会の約束はしなかった。
できなかった、という方が正しいだろうか。
僕たちはこれから先、別々の道を歩む。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

------

僕は、冷静であるように心がけつつ最後の嘘をついた。
それは最初で最後の嘘だった。
どんな時だって、君に対しては嘘をついたことはなかった。
最初の嘘がこんな情けないものだとは思わなかった。
「寂しくないよ。大丈夫」と。
静かに僕は告げた。
君の視線で決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
どんな表情の君が好きだけれども、一番を上げるのなら、笑顔の君が好き。
苦しみも、悲しみも、辛さも、痛みも、君から遠ざけていたい。
君が笑うと、僕の心に薄紅色の花が咲くんだ。
その花を大切にしていたいから、君には笑っていてほしいんだ。
わがままだと分かっている。
それでもお願いだよ。
美しさは時に罪だ。
天女のように美しい姫君がいると聞いて、皇帝は隣国に攻め入り、隷属させてしまった。
良くある話だったけれども、姫君にとってはたまったものではない。
自分の行動一つで、民たちの生存が決まる。
そんな姫君の手を取る騎士がいた。
惑う姫君に、生命を賭けて逃そうとした。
「行っちゃ嫌だ」幼い妹が駄々をこねる。
上目遣いで、僕の手のひらにしがみつく。
僕はすっかり困ってしまった。
なんといっても、僕は歳の離れた妹が可愛くてしかたがない。
真っ直ぐに甘えられると、無下にできない。
僕よりあたたかい手を振り払うことなんてできない。
僕は困り果ててしまった。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

------

僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
それは本音とは真逆の嘘だった。
嘘をいうものは常に心とは正反対のものなのだから、当然なのかもしれない。
「これ以上関わらないでくれ」と。君に告げた。
だってもう、仕方がないだろう?
もう君を傷つけたくないんだ。
それなら方法は一つしかない。
古臭いかもしれないけれど、初めての給料は両親へのプレゼントだった。
ゆっくりと温泉にでも行って欲しいと、旅館代と交通費を包んだ封筒を用意した。
それが無駄になってしまった。
血まみれの家族の姿を見て、茫然としてしてしまった。
それからの記憶はひどく曖昧で、記録といった方がいい。
新聞の見出しの『一家殺人事件』という文字が目に飛びこんできた。
血まみれの家族の姿がフレッシュバックした。
あの日、バイトから帰ってきたら、家族は息をしていなかった。
「どうかしましたか?」と少女が青年に尋ねた。
「お腹が空いたみたいだ」と青年は取りつくろう。
今なら気がついた。
君と出会ったのは、春だった。
受験番号が張り出されたボードの側で、友だちと笑いあっていた。
それが始まりだった。
三年という月日を積み重ねて、別れの季節も春だった。
見知らぬ他人から恋人という関係になっていた。
その君が優しく、僕の指先をぎゅっと握る。
春なのに君は笑っていなかった。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH