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「 140文字の物語 」
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家に一番に帰ってきて、少女がやったことは風呂の準備だった。
同胞の血に塗れた体を綺麗にできるのは、助かる。
リビングで「脱いでください」と少女が言った。
「今?」
「はい、洗濯しますから」
「脱衣所に置いておくよ」と青年は抵抗する。
熱い湯船に浸かりながら、痛手だったと後悔をした。
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君はさりげなく、僕の腕を触れ合わせる。
つつくような感触に、僕は君の方を見る。
君は嬉しそうに笑った。
他愛の子供時代の一ページだ。
もう、帰ってこない想い出の一つだ。
想い出の感触をなぞって、僕は思う。
君は今頃、何をしているのだろうか。
あの時のように笑っているだろうか。
空を仰ぐ。
「iotuは、穏やかに微笑んで最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

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僕は、穏やかに微笑んで最後の嘘をついた。
それは歩き出すための嘘だった。
僕たちは、これから先も歩み続けなければならない。
その最初の一歩のための嘘だ。
「君が幸せなら、幸せだよ」と。
だってもう、仕方がないだろう?
二人そろって、手を繋いで歩いていくわけにはいけないんだから。
いつもお姉ちゃんからのおさがりだった。
それが就職を機にスーツを何着か購入することになった。
私のサイズに合うように、メジャーで計って作ったスーツだった。
私だけのもの。
それがたまらなく嬉しかった。
これから先、お姉ちゃんのおさがりを着なくてすむのだ。
心の奥底で私は大喜びした。
涙が虹色の結晶に変わる種族の生き残りの少女は、牢の中に閉じこめられている。
ありとあらゆる苦痛を与えられてきた。
少女はもう肉体的な痛みでは、泣くことはなかった。
精神的苦痛を与えることにした。
「助けに来たよ」スーツ姿の青年が少女を抱きしめる。
その青年の首を落とす。
涙が散った。
盛装をした青年は跪いて、首を垂れる。
正式な礼をされたデビュタントしたばかりの乙女は驚く。
「どうか、その手を取ることをお許しくださいませんか?」青年は淀むことなく言った。
乙女は驚きながら、手を差しだした。
青年の手は大きかった。
乙女のほっそりとした手を取り口づけた。
「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
これ以上、気持ちを抱えていたら、僕の心は嘘で潰されてしまう。
「君にもらったものは全部返す」と。
初めて知った恋心も、眠れぬ夜を過ごす喜びも、君からもらったものは返す。
・・・泣いたりしないよ。
祝福を届けよう。
どんなものがいいだろうか。
お小遣いを出しあって、花束を贈ろうか。
想い出は今も色鮮やかなのだから、忘れることはないだろう。
愛する人と、僕と君と過ごした大切な時間だった。
愛する人が伴侶と共に永遠を誓う日がやってくるのだ。
だから、僕と君とで最大限の祝福を捧げる。
虚空にシャボン玉が吸いこまれていく。
透明な小さな泡はどこまでも飛んでいく。
風に吹かれて、生まれたての魂が舞っていく。
どこまで行くのだろうか。
シャボン液で泡が生まれていくのは不思議だった。
風よりも軽く、ふんわりと泳ぐように空に向かう姿は唄よりも軽やかだった。
終焉がくるのに。
まだ小さな君は、自分の感情を上手に言葉にできない。
喜びも、悲しみも、上手に表現できない。
ソファの上でくつろいでいた僕の元へとやってきた。
君は泣き顔で、僕の両手を握る。
小さなぬくもりは、柔らかな心が傷ついているような感じがした。
「もう大丈夫だよ」と僕は君の手を握り返した。
「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。
それはたぶん最低の嘘だった。
これから先、君とは離れ離れの道を歩む。
そのことを後悔しないように、嘘をつく。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と。
希望に告げる。
嘘だと見抜かれないように君の目を見つめる。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
「もう黙っていることに疲れてしまったんだ」と幼馴染の青年が言う。
「君と彼では釣り合いが取れていないよ」はっきりと言われて、少女はうつむいた。
「付き合う前から、ずっと思っていた。だから言わせてもらうよ」青年は言う。
「ごめんなさい」少女は言う。
誰にいったい謝っているのだろう。
「iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
君は何も知らないままでいて。」

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僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。
それは本音とは真逆の嘘だった。
そもそも嘘というのは真逆であって当然なのだろう。
震える手を拳として握りしめて「永遠を信じている」と君に言う。
まるで結婚式の誓いの文句のようだった。
君は何もしらないままでいて。
僕だけが地獄に行くから。
幼い少女は星に祈りを捧げる。
大好きなあの人が、誰のものにもなりませんように。
いつでも守ってくれる人は、そろそろ結婚を意識してもおかしくない年齢だった。
けれども少女はいまだ幼い。
できるだけ早く大人になるから、それまで待っていてほしいのだ。
白紙のように純粋な願いは時に残酷だ。
白金色の頭髪の少年に、いつか勝ってやる。
そのことを少女がもらしたら、親友が笑った。
「『いつか』って思っているから、1位になるないのよ」
イチゴミルクの紙パックを飲みながら親友は言った。
「今すぐに、勝つ。それぐらいの意思がなければ勝てないわよ」
親友は痛いところをついてくる。
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