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「 140文字の物語 」
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ささやかなすれ違いだった。
それが口論となって、謝るタイミングを逸して、重い沈黙が漂った。
このままお別れになるのは惜しい。
一言言うだけだ。
僕がそんなことを思っていると、君は上目遣いで、僕の手のひらを両手で包む。
そして「ごめんなさい」と言った。
「こちらこそ言い過ぎた」と謝る。
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「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
本当に、ごめんね。」

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僕は、冷静であるように心がけつつ最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だった。
君の笑顔のためなら、どんなひどい嘘でもつける。
早鐘を打つ心臓をなだめながら「永遠を信じている」と。
本当にごめんね。
そんなものはどこにもないことは君だって知っている。
けれども僕は嘘をついた。
悪戯心に火がついた。
カフェでまったりとしたデート中、私はわざと深刻な顔をした。
彼から視線をずらして「別れましょう」とつぶやくように言った。
スプーンを取り落とす音がした。
私は顔を上げて、笑顔になる。
「あのね嘘だよ、ほんとはね正反対」私の言葉に彼は目を丸くした。
「心臓に悪い」
あなたは「好きだよ」と言ってブレスレットをプレゼントしてくれた。
あなたは「愛しているよ」と言ってアンクレットをプレゼントしてくれた。
金属製のそれは手枷、足枷のようだった。
歪んだ恋をしているような気がして心がざわめいた。
次は「一緒に死んで永遠にしよう」と言いそうな気がした。
「iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

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僕は、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をついた。
それはたぶん最低なの嘘だった。
君に対して言うような嘘ではないことは、確かだった。
でも、この嘘を告げることで君が楽になるのなら、最低でも良かった。
「欲しい物は手に入れたから、もういいんだ」と。
僕の胸の痛みは消えやしないな。
私の名前は透子。
『曇りなく、いつまでも透明でいられますように』と両親が願ってつけてくれた名前だった。
たくさんの愛情を注いでくれた両親には感謝している。
母の日にはカーネーション。父の日には黄色い薔薇。
それを恥ずかしいと思わずに贈れることができる。
そんな自慢の両親だった。
平穏という湯船に長く浸かりすぎていたようだ。
それとも策士が策に溺れたといった方がいいのだろうか。
あるいは、自分を上回る策士がいたのだろうか。
抜け道だと思った細い道に鉄砲隊が配属されていた。
それに撃たれる。
相手の練度が低かったから、生命だけは助かった。
撤収を余儀なくされた。
ソファの上に寝転がりながら、自由な時間を満喫していた。
仕事で追われる日常から解放された休みの時間だった。
ドタバタと君が駆けこんできた。
君は泣きそうになりながら、僕の腕を握る。
「虫が!台所に」と声を震わせて言う。
「分かった。退治してくるから離してくれないかい?」と僕は言う。
「iotuは、特別に優しい声で最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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僕は、特別に優しい声で最後の嘘をついた。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
白いドレスに身にまとった義妹であり、かつての後輩である花嫁を見て微笑む。
「今とても幸せだよ」と。
白の礼装を着るのは自分ではなかったけれども。
「ありがとう」義妹は笑う。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
初めて好きになった人が、自分と同じ想いを抱いていることを知った時は嬉しかった。
二人は時を積み重ね、思い出を増やしていきながら、恋人同士になった。
そんな彼のことを好き、時々不安。
誰にでも優しい人だから、他の女性も彼のことが好きだって知っていた。
本当に私で良かったのだろうか。
白金色の頭髪の少年に勝たなければいけない。
そう思うことに、少女は疲れてしまった。
自分は自分なんだから、ありのままの自分を愛そう。
そんなことを考えるようになってしまった。
どれだけあがいても、少年に勝つことができないからだ。
「君も諦めちゃうの?」廊下ですれ違った少年が言った。
今日は法要があるからワイシャツを着た。
台所へと向かうと、テーブルの上には新聞が載っていた。
一面は惨殺な一家殺害事件だった。
青年は動揺する。
神剣・神楽を振るい、同胞を殺めても、こういう記事には慣れることができない。
「なにか?」少女が尋ねる。
「なんでもないよ」と取りつくろう。
僕たちは、またいつものように海へ来ていた。
わざわざ電車に乗り継いで、わざわざ電車に揺られながら。
いつもと違うのは、寄せては返す波打ち際を歩くのが君だけではないことだった。
たまには君の見ている景色を見てみたい、と僕が思ったからだった。
君は目を逸らしつつ、僕の指に指を絡める。
「iotuは、小さく笑って最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
・・・どうしようもないな。」

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僕は、小さく笑って最後の嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
「君が幸せなら、幸せだよ」と。
目を細めて僕は言った。
君だけが幸せじゃダメなんだ。
君と僕が一緒に幸せじゃないと意味がないんだ。
そう分かっていて、僕は君のために嘘をついた。
わがままな心は・・・どうしようもないな。
君が僕の夢の中に忍びこみ始めてから一年。
君と僕の接点は『クラスメイト』という微かな繋がりしかなかった。
君が僕の夢の中まで出てくるなんて恋をしたのかな、と思っていた。
それが夢を共有していることを知り、僕は驚いた。
だから、帰りの挨拶で、また夢の中で会いましょう。と君が笑った。
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