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「 140文字の物語 」
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「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。」

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僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは現実逃避のための嘘だった。
それぐらいの夢を見せてほしい。
これを最後の嘘にするから。
「まだ一人で生きていける」と。
君がいなくても大丈夫、と嘘をついた。
本当の願いは、どうせ叶わないから。
せめて、強がりぐらい言わせてほしい。
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どんな傷であっても完治する肉体を生まれ持った少年。
夢の中で見る夢は必ず実現する少女。
二人の出会いは少年が少女を助けたところから始まった。
最初はひそかな噂だった。
それが神殿の神託のように広まるほど、世界は滅びに向かっていた。
どんなことがあっても、世界は彼らを手放さない。
外出ついでに、洋菓子店に立ち寄った。
こじんまりとした個人運営のお店だが、お手ごろな値段と確かな味で、ひそかに人気があった。
青年は迷った末、苺のショートケーキと抹茶のロールケーキを買った。
出迎えた少女に紙袋を見せると、真ん丸な笑顔を見せた。
思わず守りたくなるような笑顔だ。
植林を追いかけるドキュメンタリー映画を家で観ていた。
知らないことばかりで、それなりに楽しめた。映画が終わる時間がちょうど眠る時間だった。
家族に『おやすみ』を告げて自室に戻る。
布団にもぐったけれども眠れない。
映画の中の木は家になるために伐採された。
痛くはなかったのだろうか。
幼馴染に背後から抱きついた。
「暑い。くっつくな」と幼馴染は私の手を叩く。
それがいつもよりも冷たい様子だった。
離れてみると、寂しさが募った。
私は泣きそうになりながら、自分の両手を軽く握る。
その気配を感じたのか、幼馴染が振り返った。
「なんて顔をしているんだよ」と頭を撫でる。
旅行先で何が一番、楽しいかというとお土産を買うことだろう。
お留守番をしてくれた夫のために地ビールを購入した。
味が複数あったので、全部購入した。
呑んべの夫はどれが美味しかったか、判定を下すだろう。
酒の肴は柔らかな春キャベツ。
酒の邪魔をしないという。
夫の帰りを待つ。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、情けなく笑って最後の嘘をついた。
それは悪あがきのような嘘だった。
嘘でもいいから、とすがりつくような渇望だった。
「すべて夢でも構わない」と。
本音は仕舞い込んだまま。
僕は君を優しく抱き寄せた。
君がこの腕の中で、雪のように溶けてしまえばいいのに。
そんな栓のないことを思う。
後宮三千人、麗しい佳人であっても、なかなか皇帝にお目通りできない。
一夜の夢を賜ったとしても、それきりになることも少なくない。
院子に咲く花のように、姸を競い合う。
その中、皇帝から愛され、男御子まで授かった。
身分の低さが気に食わず、他の妃からいじめにあうことになってしまった。
新緑の中、ガーデンパーティを開くことになった。
私は薄紅色のドレスの裾をいじりながら、時間が止まってしまえばいいのにと思っていた。
今日、初めて婚約者に会うのだ。
そんな私の緊張に気づいたのか、兄が優しく私を頭を撫でる。
「とっても素敵な方だから、大丈夫だよ」と私に微笑みかける。
通学路の途中、僕はようやく君を見つけた。
僕は怒り顔で、君の腕を握り締める。
夕方の残照の中、君は悲しいぐらい美しかった。
君が先に帰って僕を置いていったことを忘れ去るぐらいに。
一緒に帰ろう、という約束を破って、僕が怒っていたことを忘れるぐらい。
夕陽に照らされた君は美しかった。
君が僕の肩をつつく。
「現実逃避できるお香だって」君は小箱を手に取る。
「売れ残っているんだから、欠陥品なんじゃないか?」僕は言った。
「試してみない?」君は目をキラキラと輝かせて言う。
「どうせ効かないと思うよ」と僕の言葉に君は小箱を棚に戻した。
現実逃避中なんだから。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
嘘をつくことでしか、君を祝福できない。
なんて滑稽な茶番劇だろう。
「君の全部を忘れたいんだ」と。
本音は仕舞い込んだまま。
震える声に気づかれないように願いながら僕は言った。
君は泣きだしそうな顔をした。
お互い傷つけあうだけ傷つけあって、その痛みを抱えた。
本音をぶつけあって、心の底までさらけだす。
それでも二人は離れられなかった。
同じ孤独な匂いがしたからだ。
寒い夜でも寄り添うことも難しい二人だった。
とても歪で、不毛な関係だった。
あなたはそれを、恋といった。
愛ではなかった。
今日は楽しみがあって、残業もそこそこ、早めに帰ってきた。
テレビの前に、缶チューハイと無塩のミックスナッツを用意して、そそくさと座る。
今日はテレビで地元を特集する番組がやるのだ。
どちらかというと地味な地元がテレビに出るのは珍しい。
それが嬉しくって、放映前に帰ってきたのだ。
夜ひとりの時間になると、机の引き出しを開ける。
そこから万年筆と原稿用紙の束を取り出して、机の上に置く。
万年筆で読み手のいない長編小説を書き始める。
鉛筆でも、シャーペンでも、ボールペンでもないのは文豪へ対しての意地のようなものだ。
傑作を書けないことに、ささやかに抵抗する。
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