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「 140文字の物語 」
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テレビを観ていたら、子ども時代にやっていたアニメの再放送が始まった。
テレビは一台しかなかったら兄弟とチャンネル争いをしたな、と懐かしく思った。
今頃、兄弟はどうしているのだろうか、追憶する。
観たかったアニメだというのに楽しくなかった。
もう帰ってこない過去を思って、唇を噛む。
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「ここから先、電車が揺れるから」とあなたは手を差しだしてきた。
その手を取るのには勇気が必要だった。
あなたと私は友だち同士。
その関係が変わってしまうような気がした。
電車が傾き始めた。
揺れるというのは嘘ではなかった。
仕方なく、両手のひらを折れんばかりに握る。
しかめっ面をした。
「iotuは、特別に優しい声で最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

------

僕は、特別に優しい声で最後の嘘をついた。
これから君に告げる嘘は辛いものだから、至極優しく。
愛を語った時のように。
それはたぶん最低の嘘だった。
「君の全部を忘れたいんだ」と。
言葉はどれほど、君の心を傷つけただろう。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。と僕は自分勝手なことを思う。
叶わぬ夢を追いかけ続けていた。
いつかは叶う日が来るとほんの少し信じながら、夢を見続けていた。
両親が許した時間までカウントダウンが始まった。
諦めるしかない、と分かっていながらすがりついていた。
夢ならいっそ覚めてしまえ。
まぶたを開け、現実を見据えて歩きだせ。
何故か涙が零れた。
少女は気分転換に、学校の周りを囲う森林を散歩していた。
白金色の頭髪をした少年を見かけた。
隣には愛らしい女の子。
少女は思わず、樹に身を隠した。
二人は親し気に語りあって、それからキスをした。
少女にとって衝撃的だった。
家族と挨拶のキスしかしたことがないのに、少年は慣れていた。
愛とは安らぎのはずだった。
他人を思いやり、広い心を持つことだった。
けれども、今の私は鎖で繋がれている籠の鳥。
小さな窓から外を眺めて、飛び出していきたいと願う。
変わってしまったあなたを思い涙を流す。
流れた涙で石の床に文字を書く。
『それでもあなたを愛している』と未練がましく。
人の動きが活発になったような気がする。
いつもだったら座れる電車内も、立つ乗客がまばらにいる。
人混みが苦手な君は、そっとためいきをつく。
急カーブになったレールを走る電車が揺れた。
吊革につかまれない背丈の君は他人と接触しそうになる。
君は恥ずかしそうに、自分の両手のひらを握る。
僕の向かい側に座った君はアイスコーヒーを飲む。
ガムシロップを少しだけ入れたアイスコーヒーを飲みながら微笑む。
その様子を僕はいつものように眺めていた。
「世界中の幸せを二人じめしているみたい」君は夢見るようにうっとりと囁いた。
僕も幸せな気分になったから「そうだね」と頷いた。
とっくのとうに成人式をすましたのに、いつまでも子供扱いする幼馴染。
わずか数年、早く生まれてきただけだ。
平均寿命を考えたら、誤差の範囲だ。
ヒールのあるパンプスだって、赤いルージュだって似合うようになった。
けれども、幼馴染は会う度、染色した髪を撫でる。
まるで子供をあやす様に。
自分は欲望のまま彼女に温もりを求めた。
赤子が乳をねだるように自然に。
まっさらに求めた先は、何も言わずに受け入れてくれた。
だから勘違いをしてしまった。
彼女は自分だけのものになった、と。
彼女は誰にでも平等だった。
自分以外にも温もりを与える。
その現場に居合わせて、相手を刺す。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
どうか嘘だと気づかないで。」

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僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
こんな嘘で幸せになれるとは思わなかった。
ただ言わずにはいられなかった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
君と過ごした時間にくだらないものはなかった。
どうか嘘だと気づかないで。
いっそ笑い飛ばしてしまいたかったのに、零れるのは涙。
滑稽な道化師のように、頬には水滴がへばりついている。
どうしてこんな結果になったのだろうか。
後悔ばかりが胸に去来する。
もっと素直になれたのなら、違った結果になったのだろうか。
私から去っていったあなたに問いかけたかった。
成人を迎えたのだから、これからは一人でしっかりしなきゃいけない。
もう両親を頼ることはないだろう。
逆に、老いていく両親を支えられるような人物になりたいと思った。
漫画やゲームに夢中にならずに、地に足をつけて生きていく。
そんなことができるのだろうか。
まだ夢現の中にいる自分が。
カレンダーの大安吉日に花丸が描かれていた。
週間天気予報でも、晴れが続いている。
花丸が描かれた日に、姉が純白のドレスを着て、永遠を誓う。
苦労してばかりの姉だったから、優しい旦那さんと幸せになってほしいと思う。
ドレスの試着に付き合った時に見た姉は美しかった。
思い出して微笑む。
心臓がドキドキと高鳴って壊れそうだった。
粗相がないように、と母親から何度も言われた。
俯いて寝台の上のちょこんと座って、夫になる人物を待つ。
重々しく扉が開いた。
私は顔を上げぎこちなく笑って、夫になる男性を見た。
男性は私の手のひらを軽く握る。
「緊張しなくても大丈夫だ」と笑う。
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