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「 140文字の物語 」
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偶然君と修学旅行で同じ班になった。
僕はなんてラッキーなのだろう。
片想いとはいえ、好きな人と自由時間を過ごすことができる。
幸運はそれだけで終わらなかった。
修学旅行用のバスで隣の席になったのだ。
「よろしくね」と君は嬉しそうに、僕の手のひらを指先でなぞる。
文字を書かれたようだ。
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「iotuは、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をついた。
それは未来へと歩き出すための嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
半分嘘で、半分本当だった。
これからは毎日を、くだらなく過ごさない。
一日一日を刻むように大切にしていく。
君には悪いけれどもう、覚悟は決めたんだ。
好きだの、愛しているだの、くだらない。
そんなのは一瞬の戯れにすぎない。
永遠に続く愛なんてどこにもない。
それを知っていて神の御前で誓うのだ。
彼女が結婚式場のパンフレットを持ってくる度に、心の中で面倒だと思っていた。
彼女とは一緒にいて苦痛じゃない。
なんだ、答えはここにあった。
体育館の後ろの壁には、たくさんの落書きがしてあった。
何でもここに願い事を書くと叶う、というジンクスがあるのだ。
恋人たちが好きそうな噂話だった。
恋人たちの刹那の願いが書かれている。
「ずっと一緒にいられますように」か、と思わず口に出していた。
片恋の自分には高望みすぎる願いだ。
「ご褒美にこのお菓子をあげよう。だからどちらが水に浸かっていられるか勝負だ」と今の主が言った。
「まあ、面白いことですわね」と令嬢が言った。
隷属している身だ。
選択権はない。
私はまだ冷たい水の中に飛びこむ。
隣でも隷属している奴隷が飛びこんだ。
水は冷たく、早く上がりたかった。
ビルの屋上は思ったよりも風が強かった。
それだけで僕の決心は揺らぎそうになる。
ぎこちなく、君の腕を指先でつつく。
「本当に飛び降りるの?」僕は尋ねた。
「これだけの高さがあれば充分だと思うんだけど」君は固い決心を見せた。
この世に未練がないか、と問われれば嘘になるけど君と一緒だ。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
・・・どうしようもないな。」

------

僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
このままだと二人は、傷つき傷つけあうだけだと分かったから。
ここで別れた方がいい、と思って嘘をついた。
それは傷をいやすための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と。
強がりもここまで来ると立派なもの。
・・・どうしようもないな。
君は僕に何も言わずに消えた。
君が何を思っていたのか、君が何を抱えていたのか。
僕にはわからなかった。
ある日、突然僕の前から消えたのだ。
もっと話せばよかった。
もっと想い出を作ればよかった。
君がいなくなってから、僕はずっと独りぼっちだ。
他の誰とも代えられない君がいないのだから。
今日は夜空に瞬く銀河を見たくなって、仮眠をとった。
スマホのアラーム音で飛び起きる。
室内は当然暗くて、液晶画面に映し出された時刻も深夜だ。
いつもと違う時間に起きて、心臓がバクバクとした。
息を整えると、電灯をつけて着替える。
今夜は晴天だったらいい。
望遠鏡を背負って家を出た。
「iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
頼むよ、ごまかされてください。」

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僕は、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だった。
どんな時でも笑っていてほしい君だから、心が張り裂けそうな嘘でもつくよ。
「全部忘れていいよ」と。
今までの思い出が塵芥になるなんて耐えられない。
それでも願う。
君よ頼むよ、ごまされてください。
付き合って三年、長い春だったような気がする。
夜景を見ないか、と珍しい提案に私はうなずいた。
キラキラとした照明の中、彼は小箱を取り出した。
ビロードの箱を開けなくても中身は決まっている。
「結婚してほしい」と彼は言った。
「その場合の私のメリットは?」と尋ねた。
「一生分の幸せを」
青年は神剣・神楽を握り直す。
十字路に敵になった同胞を誘う。
妙齢な女性に傷をつけるのは抵抗があったが、そんなことを躊躇している場合じゃない。
殺さなければ殺される。
青年は腕時計を確認する。
もうすぐ朝になる時間だ。
闇の堕ちた同胞は日差しに弱かった。
そのことに安堵して心から笑う。
もうすぐ誕生日なのだからプレゼントのおねだりをしてもかまわないだろう。
なんといっても恋人同士なのだから。
私は勇気を出して「あのさ」と彼に声をかける。
できるだけ可愛らしく上目遣いで、彼の両手のひらに触れる。
「誕生日の丸一日、私のための時間にして」と言った。
彼は笑って頷いた。
メール音が鳴ったのは鍋で麦茶を作っている最中だった。
汗をかきながらスマホを手にする。
タップしてメールを開くと『チョコ買ったよ』と夫からの伝言だった。
絵文字も顔文字もない、そっけない文面が夫らしいと思った。
タイマーが鳴った。
コンロから火を消して扇風機の元へ向かう。
やがて灰になる運命だ。
それまでをどう繋いで生きていくのか。
それは人それぞれだった。
等しく灰になるのなら、等しい運命を与えてくれればいいのに。
そんなことを考えてしまうほど、生命には価値がつけられている。
僕は大切にされている方だと思う。
だから、僕は感謝の心を忘れたくない。
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