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「 140文字の物語 」
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旅行先だと気分が高揚する。
普段はできないこともしてみたくなる。
スマホ片手にふらふらと写真撮影をしている君の手を繋ぎたくなる。
けれどもそれは君をビックリさせてしまうだろう。
僕は遠慮がちに、自分の両手を握り締める。
旅行を満喫している君の邪魔をしたくないから、ぎゅっと握る。
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街の緑化運動の一環として、植木鉢が無料で配られることとなった。
どうせただなら貰っておこう、と思った人は少なくなかったようだ。
想像したよりも人出があった。
テントの中の植木鉢は、まるでバイキング形式の料理のように、たくさんの種類が並んでいた。
どの鉢を貰って帰ろうか。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
・・・どうしようもないな。」

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僕は、内緒話をするように声を潜めて君の耳元に最後の嘘をついた。
それは君と別れて、前へ進むための嘘だった。
「永遠を信じている」と告げれば、君の瞳は期待で輝く。
そんなものはどこにもないと知っていたのに、君が俯いて歩くものだから希望を持たせてしまった。
・・・どうしようもないな。
君は僕に対して優しすぎる。
まるで砂糖を煮詰めた甘さの君は、今日も僕を甘やかす。
君の水あめのような、カラメルような甘さから、僕は抜けだせなくなる。
どちらも駄目になりそうな関係にもつれこんでしまうような気がする。
だからお願いだよ、これ以上僕のコップに砂糖を溶かしこまないで。
貴方が遠い目をしていたから、現実に戻ってきてほしくて「どうしたの?」と尋ねた。
「なんでもないよ」と貴方は目を瞬かせた。
私はごまかされたという事実に打ちのめされる。
「今日のお味噌汁の具はなにがいい?」できるだけ明るい口調で訊いた。
貴方と話せればどんな話題でも良かったから。
病気になって以来、白尽くめの四角い部屋が僕の居場所だ。
長く患っているせいだろうか。
入院当初は頻繁に来てくれていたクラスメイトも見舞いに来ることが稀になった。
一人の例外を除いて。
「はい、今日のプリント」学級委員長の君は律儀に通ってくれた。
僕は目を逸らしつつ、君の腕に触れた。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
君は何も知らないままでいて。」

------

僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
それは自分のための嘘だった。
君のためについた嘘ではない、と自分に嘘をつく。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」と。
いつまでも覚えていて欲しかったのに、笑顔で僕は言った。
君は何も知らないままでいて。
それが幸せだから。
蒸し暑い季節になった。
動くと、ほんのり汗ばむ時期の到来に少女は憎々しく思った。
夜の時間が短くなっていく。
それは勉強にあてられる時間が減っていく、ということと同意義だった。
少女は白髪の頭髪の少年を思い出し、心の炎を燃やし始めた。
今度こそ、一位になって驚かせてみたい、と思う。
つらつらと考え事をしながら歩いていた。
だから木の根が張っていることに気づかずに転んだ。
それが木まで嘲笑しているような気がして、うつぶせのまま憎んだ。
いっそのこと伐採してやろうか、そんな物騒なことを思った。
何もかもが思い通りにならない人生を許さない。
それぐらいの意志だった。
いつの頃からだろうか。
私は私以外として生きた人生を薄っすらと夢も見るようになった。
最初はおぼろげなものだったけれども、今は映画を観るようにはっきりとしている。
だから、彼との突然の出会い驚いた。
このままでは、赤の他人としてすれ違ってしまう。
遠慮がちに、彼の腕にしがみついた。
梅雨なんてない砂漠を渡る人たちは楽器を携えるという。
星が降るような夜に陽気な歌を唄い、寂しさを紛らわす。
歩き続けて、果てのない空の下、見聞きした噂話を語り伝える。
それが使命だというように。
砂原が熱い風によって零れていくように、旅人は同じ姿ではあり続けられない。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「いなくなったりなんてしないよ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

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僕は、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
それは君の傷をいやすための嘘だった。
切りたての髪で僕の傍にいる君。
「いなくなったりしないよ」と。
僕は君に嘘をついた。
僕も時期にいなくなるだろう。
その時、君に胸を貸す相手がいないことが辛かった。
胸の痛みは消えやしないな。
僕を選ばなかった君に最後に「幸せになって」と言った。
君は飛び切りの笑顔で「ありがとう」と言った。
だから、君にすがりつくこともできなかった。
幸せになって、なんて嘘だよ。
僕の隣にいない君は寂しくなってほしい。
それでも、不幸になってほしいと思えないほど、君のことが好きだった。
気がついたら昼だった。
たまの休みだったから、したいことはたくさんあったのに。
疲れて昏々と眠ってらしい。
目覚まし時計代わりのスマホのアラーム音を止めた記憶がうっすらとあった。
どうして起きられなかったのだろう。
まだ昼だ。
これからでもできることはあるだろう。
まずは昼飯の調達だ。
林は人の手を入れなければ、すぐに荒廃する。
定期的に木を間引いていかなければならない。
そこが森とは違うところだった。
けれども林業の従事者をかばうわけではなけれども、限界に近づいていた。
後継者不足で、海外から安い材木が手に入る。
そんな世の中では、いたしかたがないかもしれない。
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