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「 140文字の物語 」
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旅人は大地を踏みしめるように歩く。
所詮、流浪の民の一人だ。
目的地なんてない。
風が吹くように、気ままに歩き続けるだけだ。
進み続けたら十字路に出くわした。
どちらの道を選べればいいだろうか。
旅人は懐からコインを取り出した。
そして、慣れたコイントスをする。
きらりとコインが輝いた。
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「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

------

僕は、愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
この嘘が君の慰めになるように祈りながら。
それは切望のような嘘だった。
「まだ一人で生きていける」と。
君に寄りかからずに、一人で立っていられる。
そんな嘘をついた。
君は微笑みに紛れた嘘に気づかなかっただろうか。
・・・うまく笑えたかな?
木が鬱蒼と茂る森の中、一人で飛びこむ。
石畳があるから、この先に神社があることは確かだ。
木々は天高く伸びていて、日差しを遮って、道は薄暗い。
バサバサッと音がして私はびっくりする。
引き返そうかと思ってしまう。
鳥の羽ばたく音すら、怖かった。
けれども、ここまで来たのだ歩を進める。
あなたを私を置いてきぼりにして、ずんずんと進んでいく。
旅行というよりもオリエンテーションだ。
私はもっとゆっくりと観光したいのに、あなたは旅行計画通りにスポットを立ち寄る方が重要のようだ。
私は小走りについていく。
そして、何件目かの神社で上目遣いで、あなたの両手を両手で包む。
「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

------

僕は、心の痛みに堪えながら最後の嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
何故こんな嘘をつくのか、痛がる心に問うような嘘だった。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」と。
本当は数々の思い出を永遠に刻みこんでほしいのに。
嘘だと言えたら、どんなに。
痛みから解放されるだろう。
君は虚ろな目をして、部屋の片隅でうずくまっていた。
「明日なんて来なければいいのに。もう生きていることに疲れたの」君は呟く。
「明日の朝は一緒にご飯を食べよう。飛び切りのオムレツを焼いてあげる」僕は言った。
君が僕を見た。
「生きている理由なんて、そんなものだよ」と僕は微笑んだ。
あの日、別れ際に君の手を取らなかったことをずっと後悔していた。
だから、数年ぶりに帰ってきた君と再会して、どれほど嬉しかったことだろう。
今度こそ、君を手放さない。
「ここも変わったね」と変わってしまった君が言う。
「君がいなくなってから、僕も変わったよ」とそっと言葉をささやく。
みんなが気づかない神様に向かって、会釈する。
すると神様も和やかな微笑みを返してくる。
小さい頃から見えていたから、今さらビックリしない。
それどころか神様と通じあえることは嬉しいことだ。
「何しているの?」と隣を歩くクラスメイトが尋ねた。
「なんでもないよ」と僕は処世術で言った。
ようやくとれた休みで小旅行に出かけた。
街は閑散としていて、マスクをする人たちと時折すれ違うだけだ。
かくいう僕たちも使い捨てマスクだ。
日帰り旅行でも、厳重に注意しなければならない。
ふらふらと歩く君にハラハラする。
僕は目を逸らしつつ、君の指先をぎゅっと握る。
君を捕まえておく。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

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僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。
それは現実逃避のための嘘だった。
君のことを真っ直ぐには見つめられない。
僕は自分のためだけに嘘をつく。
「君を、信じきれなくてごめん」と。
今でも君が裏切ったなんて思っていない。
そんな滑稽な僕を太陽のようにいっそ笑い飛ばしておくれよ。
君は僕には勝てない。
勝つことにこだわって本質を見逃している君は目隠し鬼状態だ。
いい加減思い知れば良いのに、と僕は思った。
君は僕の言葉では動かないことは知っている。
より意固地になるのが分かっているから、僕は口を閉じる。
可哀想な君にしてあげられることはない、と思うと切ない。
生まれたての種を心の中に埋めた。
嬉しいことがあった日も、悲しいことがあった日も、毎日水やりをした。
あなたから分けて貰った種だったから、枯らしたくはなかった。
やがて種からは双葉が生えてきた。
それが嬉しかったから、あなたに「ありがとう」と伝えた。
あなたは不思議そうな顔をした。
クッキーが上手く焼けたから、幼馴染にお裾分けに行くことにした。
玄関のドアを開けたら雨が降っていた。傘を持っていくか、悩んだけれども『隣の家だ、大丈夫だろう』と判断した。
インターフォンを鳴らすと幼馴染が出てきた。
私の髪にふれて、水滴をハンカチで拭う。
「次からは傘を差すこと」
「怖いですか?」夫になった人物が優しく尋ねた。
「ほんの少し」私は緊張しながら答えた。
「大丈夫ですよ。もし嫌だったら言ってください。やめますから」夫は私の髪を撫でた。
「やめることなんてできるのですか?握っていてもいいですか?」
そして恐る恐る、腕を握り締める。
夫は微苦笑した。
「iotuは、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をついた。
必要な嘘、不必要な嘘、この場かぎりの嘘、永遠に続く嘘。
様々な嘘をついてきた。
それは君に対して最初で最後の嘘だった。
君に嘘をついたことがなかった。それだけだ。
「これ以上関わらないでくれ」と。
君の前で・・・泣いたりしないよ。
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