「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」
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僕は、震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
それは本音と真逆の嘘だった。
君の瞳を見つめて「永遠を信じている」と。
人間は刹那の生き物だ。
別れがいつくるか分からない。
永遠なんてものはなく、一瞬一瞬を生きている。
信じている君に嘘だと言えたら、どんなに。
解放されて楽になる。
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永くも短い人生を歩んでいれば、嫌なこともあれば、苦しいこともある。
毎日が生きているだけで精一杯になることもある。
私は日記帳に今日、発見した小さな幸せを書くことにしている。
振り返ってみれば案外幸せに囲まれていることに気がつく。
辛かったことは書かない。
後で読み返して辛くなる。
宝石は持ち主に災難が降りかかろうとしていると濁るという。
母から譲り受けたアメジストの指輪が霞むような気がした。
「絶対、大丈夫!」と私は言った。
これは祖母の教えだ。
言葉には言霊が宿るから、良い言葉を使えば使った分だけ良いことが戻ってくる。
私は再びアメジストの指輪を見つめる。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
こんなことしか言えないなんて。」
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僕は、震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
それは心に負った傷をいやすための儚い嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と。
夢のような幸運に、こんなことしか言えないなんて。
嘘をつくにも、もっと気が利いた言葉は出てこないものだろうか。
夢でなくて真実だったらどれだけいいだろう。
青年は寡黙だった。
最初は怒られているのだろうか、と思っていたが言葉にするのが不器用なのだと知った。
それからというもの少女は安心した。
玄関のドアが開く音がしたから、お出迎えに向かう。
青年は無言で花束を差し出した。
(そんな不意打ち、ずるくないですか)少女は突然のことに驚いた。
春の情景だった。当たり前のように風に吹かれて、ひらりと花弁が舞った。
『散るからこそ、美しい』と言うけれども、いつまで散ってほしくない。
咲くのを楽しみにしていたから、その想いは余計だった。
最後につかんだ花弁は、本の中で押し花になっている。
季節を悼んで栞にするつもりだった。
幼少の頃からある思い出は根深い。
確かに母の言ったことを守らなかった私も悪いだろう。
けれども、そんな私は黙って置き去りにしたのだ。
家に帰る方法も分からない、そんな幼子を置いていったのだ。
私は泣きながらひたすら歩く。
『お母さんは私が嫌いなんだ』とそう思いながら私は歩き続けた。
『今度、遅刻したら罰ゲームね』と君が言った。
僕も頷いたけれども、案の定遅刻をした。
ずっと待たせていた君は怒ってなかった。
罰ゲームができるからだろうか。
「ごめん」僕は謝った。
「じゃあ、罰ゲームね。手を貸して」と君は言った。
さりげなく、僕が差し出した両手を折れんばかりに握る。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
本当に、ごめんね。」
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僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。
裏切るような気持ちがして、君の目を見つめられなかった。
見たら最後、嘘を見破られるような気がした。
それは本音とは真逆の嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と。
西から昇ってくる太陽のような大噓をついた。
本当に、ごめんね。謝った。
たった今、失恋した。
玉砕覚悟の告白だったから、最初から答えは決まっていた。
想いを伝えられただけでも、充分だった。
虫が好すぎるのだろうか。
ついてきてくれた幼馴染の胸に顔をうずめるのは。
落ち着いた鼓動が私に涙を誘う。
「よく頑張ったよ」と幼馴染は言ってくれた。
頭を撫でられた。
現在、時刻は古めかしく言えば丑三つ時。
昔と違うのは街の明かりは明るすぎて、隠れて呪うということができなさそうなことだ。
蛾のようにコンビニに惹かれる。
真昼よりも明るい店内で缶ビールを買う。
こんな時、独り身だということが辛い。
愚痴ろうにも友だちは故郷だ。
僕は静かに心で泣く。
「どうしてついてきたの?」君は学校の屋上で尋ねた。
君の真っ直ぐな瞳が強くて、僕は言葉に詰まった。
僕は目を逸らしつつ、自分の手のひらを折れんばかり握る。
「もしかして、ここから飛び降りると思った?」君は微苦笑をする。
背よりも高いフェンスが鳴った。
「あまりにも現実的じゃないわ」
小さな頃のお友だち。
色なき風にふわりと現れた妖精と『こんにちは』と挨拶をする。
キラキラの粉を撒いて小さな翼を羽ばたかせて色づいた花に着地する。
妖精は微笑んで魔法の粉を私にかけてくれる。
一面の花畑が広がる。
私の背に翼が生えて一緒に空を飛んでいく。
大人になるまで。
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」
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僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
これが夢なら、とっておきの悪夢だろう。
早く目覚めてしまいたい嘘だった。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と。
君と距離をとるような言葉を放つ。
嘘だと言えたら、どんなにいいだろう。
悪酔いするような夢だ。
君は構って欲しいから、隠れ鬼を始めた。
君は隠れ鬼の天才だ。
突拍子もないところに隠れる。
皆が君を探し回って、見つからないから僕が呼び出された。
僕は直感を信じて君の影を探す。
程なく見つけた君はうずくまって、静かに泣いていた。
僕は君の隣に座って、しばらく君に付き合うことにした。