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「 140文字の物語 」
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「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
まるで親からはぐれて迷子になったような顔をするから。
僕ができることをするだけだった。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
「もう、迷わないよ」と。優しく告げた。
君は潤んだ瞳で幼子のように僕を仰ぐ。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
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少女は泣き顔を無理矢理、笑顔にしたような表情を浮かべた。
どうせ悲しいなら泣いてほしかった。そうすれば慰めの言葉を一つでもかけられたから。
けれども少女は我慢をして笑顔を浮かべる。
そんな笑顔が見たかったわけじゃないのに。
青年は、少女の頭を撫でる。
それしかできないかったから。
時は流れていく。
季節は廻りくる。
去年と同じではない季節はやってくる。
同じ夏だというのに、その表情は違っていた。
変わった姿を見せる季節に、時の流れを意識する。
二度と出会えない季節の中で、僕たちは恋をする。
終わりが来ることを知りながら、一度限りの季節の中で恋の花を咲かせる。
君は純粋だから、無我夢中に片恋をした。
それを僕は結果を知りながら眺めていた。
君に忠告したところで、終わりは変わらないだろう、と思って。
君の恋は花のように散った。
それでも君は笑っていた。
でも僕は知っていたよ。
君が心で泣く姿を見守っていたよ。
だから、その背を労うように叩いた。
君の挨拶はそっけないを通り越して冷たい。
「おはよう。今日も可愛いね」と僕は朝一番の挨拶をした。
すると君はさりげなく、僕の両手に爪を立てる。
長く伸ばした君の爪が僕の手に食いこんで痛い。
僕が何をやったというのだろうか。
まるで気に入らない、と言わんばかりの歓迎に僕は溜息をつく。
手紙に託した想いの返事は情熱的なピアノの演奏だった。
まるでホタルが身を焦がして光るように、その演奏はいつもと違っていた。
最後の一音が夏の夜に溶けていった。
その余韻に顔を合わせられなかった。
それでも伝わったものがあるのだ、と分かりあえた。
返事はちゃんと返ってきた。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
それは君から離れて前へ進むための嘘だった。
「怖いものなんてないよ」と。
自分の心を裏切って、笑顔で言った。
こんなにも未来が怖いのに、君を安心させるために嘘をついた。
大丈夫だ。僕は君の前では決して・・・泣いたりしないよ。
「サヨナラをしましょうか」とあなたは言った。
「きっと君とは、幸せになれないから」とあなたは悲しいぐらいの笑顔で告げる。
幸福を待っているだけの幼い子どものようなあなたとは、幸せになれないだろう。
僕は「そうだね」とほろ苦いコーヒーを飲んだように了承した。
あなたとは他人になる。
雨降りの夜。
道端に開いた傘が置いてあった。
不思議に思い近寄ると、傘の下には段ボール。
その中には子猫がいた。
「お前も捨てられたのか」と子猫を抱き上げる。
「私の家に来るかい?」子猫に語りかける。
傘の持ち主は猫の飼えない家なのだろう。
でも子猫が濡れるのは哀れだと思ったのだろう。
「そんな悪い奴じゃない。根は良いやつなんだ」と兄が言った。
兄の悪友は、大切に育てていたシンボルツリーの枝を手折った。
そのことは絶対に忘れない。
「だからといって理由にならないよ」と私は反射的に言い返した。
この家に越してきて、庭に家族で植えたシンボルツリーは大切な樹だった。
気がつけば杯を重ねていた。
酔いが全身を周る前に帰らなければ、危険だった。
僕よりもジョッキを空けていた君は立派な酔っぱらいになっていた。
「帰るぞ」と僕が言うと「まだ飲み足りない」と君は駄々をこねる。
僕は恐る恐る、君の手のひらを軽く握る。
そして、その腕を引っ張って立たせる。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
それは自分が傷つくだけの嘘だった。
君を傷つけずにすむなら、それで構わないと僕は思った。
僕は「怖いものなんてないよ」と告げた。
本当は君が僕から離れていくのが一番怖いのに。
本心を隠して嘘をついた。
君が嘘だと見破ってくれたらいいのに。
まるで鎖に繋がれているようだった。
彼の束縛は強く、他の男性と話しているだけで、彼は苛立った。
世間話の一つもできなかった。
彼の拘束は、徐々に強まっていった。
休みの日は、彼の部屋は監禁されているようだった。
だから私は別れを申し出た。
だってこんなの、愛じゃないと気がついたから。
『幸せになりたい』それが君の口癖になったのは、いつからだろう。
君は恵まれている方だ。
君より不幸せな人はたくさんいる。
そんな言葉は、君の慰めにならない。
君が幸せでない、ことは少しも変わらないことだから。
僕は君を幸せにしてあげたいけれども、その方法がちっとも分からないんだ。
母は瞬く星の一つになってしまった。
幼い妹はそれが理解できなくて、母に会いたいと毎晩泣く。
どれだけ説得しても、妹の涙は枯れないようだった。
本当は僕だって声をあげて泣きたい。
泣いたところで母の死は変わらず、修正できるものではない。
生命は一つしかないのだ。
それは分かっている。
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