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「 140文字の物語 」
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2025.09.20 Sat 01:27
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『「目を逸らしつつ、指を指先でつつく」キーワードは「昼間」』
白い真昼間に汗をかきながら、二人そろって公園のベンチに座っていた。
太陽から隠れるように設置されたベンチだったけれども、閉口するような暑さだった。
デートとはいえないようなデートだったけれど、君と一緒だと嬉しい。
君は目を逸らしつつ、僕の指を指先でつつく。
ピアノの鍵盤のように。
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2021.07.31 Sat 04:50
140文字の物語
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最後の嘘をつきました
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」
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僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
こんなことが君への最後の嘘だと思ったら、本当に馬鹿々々しく思えた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」と別れいく君に向かって言う。
嘘だと言えたら、どんなに。
嘘をつくだけじゃ楽にならないや。
2021.07.31 Sat 04:48
140文字の物語
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『はいはい、可愛い可愛い』
「可愛いでしょ」と私は貴方に指先を見せた。
帰りがけに、ずっと気になっていたネイルサロンに行ってみたのだ。
最初だったから、あまり派手にしないで、控え目にフレンチネイルにしてもらった。
左手の薬指だけにラインをあしらってもらった。
「はいはい、可愛い可愛い」と貴方は適当に言う。
2021.07.31 Sat 04:47
140文字の物語
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文中に『無視』を入れて【感謝】をイメージした140文字作文を書いて下さい。
「やっぱり駄目だったよ」と私は言った。
今日、私は意中の人に告白をした。
弱虫な私には『清水の舞台から飛び降りる』ようなものだった。
それを告げたら、涙が零れてきた。
ずっと好きだった人だった。
ずっと追いかけていた人だった。
それを知っている君は無視するように私から視線を逸らした。
2021.07.31 Sat 04:46
140文字の物語
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『月』と『手のひら』、登場人物が『滲ませる』というお題でツイノベを書いてみて下さい。
満月を閉じこめるように、満月に向かって僕は手のひらを向けた。
それを隣で見ていた君は淡い微笑みを滲ませる。
まるで洋墨を水につけたように、君はじんわりとした笑みを見せる。
「月が欲しいの?」君が尋ねる。
「いつまでも君と一緒にいられたい。だから満月が邪魔だったんだ」と僕は答える。
2021.07.31 Sat 04:46
140文字の物語
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『「上目遣いで、両手にしがみつく」キーワードは「子供時代」』
「ねぇ、このおかしかってよ」と上目遣いで、母親の両手にしがみつく。
「かってくれるまで、かえらない」そんな僕に根負けした母親は買い与えた。
僕は手に入れたお菓子を蟻の巣を探るのに使った。
決して食べたりはしなかった。
それはいまだに、母親はねちねちと言う。
よくある子供時代だろう。
2021.07.31 Sat 04:45
140文字の物語
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さよならと言えないあなたに。
「この先の君の涙は、すべて私のせいだ。」とさよならの代わりに君は言った。
それで納得してしまった。
それで理解してしまった。
そうか、もう君は――ここにはいないのだ。
僕は俯いて、こぶしを握りしめた。
蕩けた太陽が熱したアスファルトにぬるい滴が落ちる。
僕は君にさよならを言えなかった。
2021.07.31 Sat 04:40
140文字の物語
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文中に『消えた』を入れて【心配】をイメージした140文字作文を書いて下さい。
ある日、あの子が消えた。
きれいさっぱりと姿を隠したのだ。
大人たちはわらわらと出て、あの子を探した。
けれども、あの子を見つけることはできなかった。
そのことに、僕はホッとした。
あの子は見つかることなく、狭苦しい町を出ていくことができたのだ。
次は僕の番だ。
あの子のように消える。
2021.07.31 Sat 04:37
140文字の物語
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『風』と『嘲笑』、登場人物が『弾ませる』というお題でツイノベを書いてみて下さい。
吹く風すら嘲笑しているようだった嵐の夜。
天気が変わっていくのを伝える雷鳴。
季節はひとつ死んでいくようだった。
そんな夜にスマホが鳴動した。
約束があったから、こんな時間まで起きていたのだ。
外は強風だというのに、同じ強さで心を弾ませる。
彼からのそっけない文面に頬が緩んでしまう。
2021.07.31 Sat 04:36
140文字の物語
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『「恐る恐る、手のひらを折れんばかりに握る」キーワードは「路地裏」』
路地裏に隠れるように二人の姿があった。
「やるなら、とっとやってくれ」と青年は言った。
それでもなお躊躇するような少女にためいきをつく。
「時間がないんだろう?」と青年は急かす。
少女は恐る恐る、青年の手のひらを折れんばかりに握る。
青年の手の甲に血のように紅い文様が浮かび上がる。
2021.07.31 Sat 04:36
140文字の物語
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最後の噓をつきました
「iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
君は何も知らないままでいて。」
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僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。
それは本音とは真逆の嘘だった。
「怖いものなんてないよ」と、言った声が震えていた。
君に告げるのを、緊張しているのが分かった。
君とは、これで離れ離れになる。
君に忘れられるかもしれない。
それが怖かったのだ。
君は何も知らないままでいて。
2021.07.15 Thu 07:14
140文字の物語
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文中に『夕暮れ』を入れて【悔しい】をイメージした140文字作文を書いて下さい。
夕暮れの中、とぼとぼと歩いていた。
練習試合の帰り道だった。
練習試合はコーチ役の先生も慰めがないほどのボロ負けだった。
私は『絶対、強くなる』と夕焼けの中で誓った。
このまま、負けたままでいるのは悔しい。
みんなにも、そう思ってほしかったが、無理のようだ。
すすり泣き声が聞こえる。
2021.07.15 Thu 07:12
140文字の物語
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『対等』と『会釈』、登場人物が『見つめる』というお題でツイノベを書いてみて下さい。
会釈をされて、ついついその相手を見つめる。
見つめられた相手は途惑ったような表情を浮かべた。
それも、そのはずだ。
慌てて私も会釈をする。
対等に見てくれたのだと思ったら、心が弾んだ。
家族の中では、いつでも一番下扱いをされていたから。
社会に出るって良いこともあるんだな、と思った。
2021.07.15 Thu 07:11
140文字の物語
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『「遠慮がちに、両手のひらに触れる」キーワードは「廊下」』
渡り廊下の先は生徒指導室だ。
別に私が何かをしたわけではない。
むしろ、これから私のために先生が時間を割いてくれるのだ。
受験の面接の練習だ。
「大丈夫だって。それに本番じゃないんだからさ」と親友は元気づけてくれる。
私はそんな親友に遠慮がちに、両手のひらに触れる。
ありがとう、と。
2021.07.15 Thu 07:10
140文字の物語
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『君と一緒なら何だっていい』
僕たちは生まれ育った小さな町を出ることにした。
もう限界だったのだ。
逃げるように、最低限の荷物を持って最終列車に乗った。
「本当に良かったの?」と君は不安げに尋ねる。
君の小さな手を握り締める。
「君と一緒なら何だっていい」僕は君を慰めるように微笑んだ。
君の強張っていた顔が緩む。
2021.07.15 Thu 07:07
140文字の物語
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