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「 140文字の物語 」
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「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

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僕は、冷静であるように心がけつつ最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
君から距離をとって、これ以上ささやかなことで傷つかないためについた嘘だった。
「君にもらったものは全部返す」と僕が言うと君の瞳が揺れた。
当たり前かこれは別れ話だ。
胸の痛みは消えやしないな。
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君は僕から視線を逸らした。
「吐いた嘘を見抜いてしまう、貴方が嫌い」と呟くように言った。
だって仕方がないだろう。
君は致命的の嘘を吐くのが下手なのだから。
きっと誰もが気がついて、知らない振りをしているのだろう。
そんなことで君から『嫌い』と言われた僕の心は痛む。
君は拗ねていた。
雷鳴が轟く度に小さな体が僕に抱きついてくる。
僕は「大丈夫だよ」とその度に言う。
君は潤んだ瞳で僕を見上げる。
「怖いものは怖いの!」と悲鳴のような声で君は言った。
頼られるのも悪くない。
僕はできるだけ表情に出さないように照れる。
また雷鳴が轟いた。
君は僕の体にギュッとしがみつく。
初めてのデートいうことで僕も君も緊張していた。
恋人同士なんだから、手を繋いだ方がいいのかな。
きっかけがつかめないけど。
どうすれば自然に手を繋げるのだろう。
そんなことを僕が思っていると、君がぎこちなく、僕の腕を指先でつつく。
「手を繋いでもいいですか?」君が赤面しながら言う。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。
それは最初で最後の嘘だった。
嘘をつくような環境にいなかった。
どれだけ恵まれていたことを初めて知る。
だから嘘を稚拙なものだった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と言った。
輝かしい毎日を送っているのに。
・・・泣いたりしないよ。
少しはこっちのことも察しろよ、馬鹿。
察することができないから、馬鹿なのか。
いつでも有頂天の馬鹿には分からないか。
僕は心の中で悪態をついた。
口にする勇気はなかった。
そんな馬鹿に助けられている一面もあったからだ。
持ちつ持たれつの関係というのは厄介だった。
僕は溜息を噛み殺した。
「疲れたって言うの、やめてくれない?こっちまで疲れてきそうだから」と君は何も知らないまま、言葉を投げつけてきた。
反射的に僕は「じゃあ、僕の前から消えてくれる?」と冷たい言葉を吐いた。
何もかもに恵まれた君には分からない。
そんなことはとうに僕は知っていたのに、言ってしまった。
今の主は、お腹を空かせて路地で縮こまっていた俺を拾うだけでなく、ラーメンという魅惑の食べ物を食べさせてくれた。
冷たくない食べ物を食べるのは、いつぶりだろうか。
慈悲深い御仁に救われたものだった。
巡り会わせに感謝しながら一杯のラーメンを食べつくした。
それに主は笑みを浮かべる。
それはもう半年前の冬のことだった。
雪がちらついた日のことだった。
いつもの私だったら、雪が降っただけで喜んだことだろう。
けれども、その日は違った。
泣き顔で、自分の手のひらを握る。
体温と同じ頬を流れる滴はすぐさま冷たくなった。
そんな私にあなたは、真新しいハンカチを差し出した。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

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僕は、君から目をそらしながら最後の嘘をついた。
君の真っ直ぐとした視線に、嘘だと見破られそうだったから。
だからさりげなさを装って嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
「今とても幸せだよ」と砂を噛むような感覚を味わいながら言った。
これが本音なら、楽だったのに。
そうじゃない。
「今度こそ大丈夫」少女は呟いた。
「何が?」と返事が返ってきた。
独り言のつもりだったので、驚いた。
しかも白金色の頭髪の少年だったから、余計に。
表情にあまり感情が乗らない少年は、悠々と教室に帰っていく途中だったのだろう。
それで結果が分かってしまった。
次こそは勝つと少女は思う。
会釈する程度の関係でも、正月には脇差しを腰に佩き、挨拶しなければならない。
自慢するように互いの脇差しには見事な彫り物がされる。
たとえ、そのために刀としての強度が落ちるとしても。
上司はお金持ちだ。
素晴らしい脇差しを佩いているだろう。
けれども何の飾りもない脇差しに引っかかる。
コトンッと物音がした。
私は訝しげに感じ、ドアノブを回す。
部屋の前にトレイが置かれていた。
皿の上に、おにぎりとお味噌汁があった。
私は泣きそうになりながら、それを堪えるために、両手を軽く握る。
受験勉強をしていた私は、ありがたくいただいた。
堪えた涙の分だけ、塩辛い夜食になった。
「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
頼むよ、ごまかされてください。」

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僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。
それは本音とは真逆の嘘だった。
君を傷つけるだろうか。
そんな心配をしながら口を開いた。
「君の全部を忘れたいんだ」と崩れそうな笑顔のまま言う。
頼むよ、ごまかされてください。
僕の強がりを気づかないでほしい。
君とはここでお別れなのだから。
僕は天涯孤独になってしまった。
マッドサイエンティストと陰で叩かれていた祖父が天寿を全うしてしまった。
穏やかな死に立ち会えたから、寂しくはあったが痛みはなかった。
遺品整理をしていると棺サイズの木箱が出てきた。
蓋を開けると機械音がした。
「どんな私がお好みで?」機械人形が言う。
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