忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

少女が持っていたプリントをクラスメイトが掠め取った。
「面白いことは何も書いていないよ」と少女は言った。
「それを決めるのは俺だから」とクラスメイトの少年は言う。
「今年は体育祭があるのか。楽しみだな」と少年は笑った。
「プリント返して、コピーしなきゃいけないから」少女は言った。
PR
君と出会って一年の記念日は、遊園地デートになった。
「次、あれに乗らない?」と僕はフリーフォールを指をさす。
すると君はそっと、空いている片手の指にしがみつく。
ジェットコースターは大丈夫な君だけど、フリーフォールはダメなのか。
君のことをまた一つ、知ることができた。
僕は笑った。
「iotuは、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

------

僕は、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
これ以上、僕にどうしろというのだろうか。
「君が幸せなら、幸せだよ」と寂しい気持ちを押し隠して笑顔で嘘をついた。
「ありがとう」純白のドレスを花のように纏った君は笑う。
胸の痛みは消えやしないな。
君との帰り道。
「夕焼けが綺麗だよ」と言って、僕は君の手にふれた。
本当は手を繋ぎたかったのだけれど、そこまでの勇気はなかった。
二人は沈んでいく太陽を見つめる。
君が僕の手を握った。
「頬が赤いのも気のせいってことにしてあげる」と君は笑顔を見せた。
恥ずかしくなって、僕は俯いた。
奥手の君は勇気を出したのだろう。
きっと勇気を総動員したのに違いない。
君が頬を染めて恥ずかしそうに、僕の指先を指先でなぞる。
ひんやりとした君の指先をふれていく感触が、僕はくすぐったけれども笑わなかったよ。
その代わり、君の指先を包みこむように握りしめた。
気持ちが伝わったかな。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

------

僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
いったい何が『大丈夫』なのだろうか。
そんな曖昧な嘘は最後にふさわしくない。
それは現実逃避のための嘘だった。
「ずっと君と一緒だよ」とできもしない嘘を甘く、君にささやく。
嘘を貫いてみせる。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
ふれあうだけの口づけでもドキドキするのに、深い口づけは心臓が壊れたかのように早鐘を打つ。
あなたから与えられる口移しの愛は、大きすぎて上手に受け止められない。
甘やかな快楽に身も心も溺れていきそうだ。
真っ直ぐに立っていられなくなって、あなたのシャツを私はぎゅっと握りしめる。
最初は小さな羨望だった。
それがいつの間にか、膨れ上がって対抗心になった。
敵うはずもないと分かっていても、少女は今度こそはと願う。
白金色の頭髪の少年が万年一位の座から転げ落ちたら、どんな表情をするのだろうか。
少女はそれを見てみたいと、意地悪な感情も入り混じることになった。
「両手を貸して」と君が言った。
僕は首を傾げながら、両手を差し出した。
君は堂々と、僕の両手のひらを指先でなぞる。
「ふふ」と君は笑った。
そんなことを堂々とできる君に嫉妬した。
両手のひらに一文字ずつ書かれた言葉は『ス』『キ』。
僕はお守り代わりに、優しく両手のひらを握り締めた。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

------

僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。
それはたぶん最低の嘘だった。
暗い瞳で宙を見つめる君の手に、僕は手を重ねる。
「世界は希望で溢れている」と、絶望の中にいる君に言った。
君は何も口にしなかった。
泣き疲れて乾いた瞳が僕を見つめる。
嘘だと言えたら、どんなにいいだろうか。
君と僕の物語をもう一度、紐解こうか。
想い出という名の過去になってしまった物語にも、懐かしいことがあるだろう。
新たな発見があるだろう。
だから、物語をもう一度、始めよう。
きっと君と僕は、微笑み交わすことだろう。
不思議と、そんな自信があった。
僕は、心の中のアルバムを取り出す。
君が病院の待合室で震えるから、僕は無理矢理、君の指先を軽く握る。
君はそろそろと視線を上げて、僕を見つめる。
僕は小さな声で「大丈夫だよ」と君に告げる。
指先から伝わってくる震えは収まらない。
どうしたものかと、ひんやりとした指先を握ったまま、僕は考える。
君が安堵する方法を探す。
連れてこられた屋敷には、アヴェ・マリアが流れていそうな雰囲気だった。
「椅子に座ってて待っていて」と屋敷の主であり、助けてくれた人が言った。
ほどなくマグカップを持ってきてくれた。
蜂蜜入りの生姜湯。
おばあちゃんが飲ましてくれたものと同じ。
とても懐かしくて涙が零れる。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

------

僕は、震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
声が震えて嘘だと君にバレて欲しくない。
だから、慎重に口を開く。
それは未来に向かって歩き出すための嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と楽しい毎日を送っている僕は囁くように言った。
君よ、いっそ笑い飛ばしておくれよ。
優しいだけのキスでいいの。
この先にある恋のステップを踏むのは、まだ早い気がするの。
もっとずっと先で良いと思うの。
いまだに手を繋ぐだけでドキドキして、赤面をしてしまうお子様ランチの私にはちょうどいいでしょう?
ゆっくりと恋の味を味あわせて。
だからキスの先はもう少し先でお願い。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH