忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

------

僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。
声が震え、握ったままの拳は開くことができなかった。
それは現実逃避のための嘘だった。
考えることを停止した頭で君に告げる。
「君が居なくても何も変わらないさ」と空から星が落ちてくるように嘘をついた。
本音は仕舞い込んだまま笑顔を作った。
PR
君はいつだって自分のことは後回し。
誰かのために尽くして、それで損をしても微笑んでいる。
君の柔らかな心は誰が守ってくれるんだい?
傷だらけの心に包帯を巻いてあげたい。
だから怖がらないで。
僕が、君を幸せにしたい。
そう言えばきっと君は、充分幸せだよと真っ直ぐに僕を見て笑顔を作る。
ひとひらの風が髪を撫でていった。
その風はどこから生まれてきたものだろうか。
遥か過去から吹いてきたものかもしれないし、身近な誰かの息吹かもしれない。
生ある身では計り知れない。
花びらのようにひとひら舞う。
それに私は震える。
明日を繋ぐ、今が風に揺れる灯火のようで儚かったから。
学校という窮屈な鳥籠に囚われている。
同じような制服を着て、同じようなカバンを持って。
監獄よりも厳しい言葉を浴びされて、自分の意志を持つことは夢のような空間だった。
黙っていれば何も起こらない。
そんないい子ちゃんを演じている。
両手を振り上げることなく、仕方なく、両手を握る。
『Lにゃんことの日々』

捨てられていた時は手のひらに乗るほどに小さかった。
鳴き声も小さく、目は半分濁っていた。
雨に打たれていた生命が潰えるのも、風前の灯火に思えた。
どこか似た者同士に感じた僕は子猫を拾った。
それが今やすくすくと育ちLサイズだ。
そんな日々は孤独を消し去った。
「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

------

僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。
それは君に対して最初で最後の嘘だった。
こんな嘘が最後の嘘だと思ったら悲しくなってきた。
君はどう思うだろうか。
「世界は希望で溢れている」と僕は言った。
君の沈んだ瞳が輝きを取り戻す。
こんな酷い嘘は、二度と吐けない。
本当に最初で最後だ。
あなたと付き合いだしてから、知らないふりが上手くなった。
あなたの本音を聞きたいけれども、あなたは誤魔化すだろう。
それが分かったから、あなたが苦しい時も知らないふりをした。
本当は甘いココアを淹れて、その悲しみを分かちあいたかったけれども。
あなたは私が気づかない方がいいのだ。
小指と小指に絡められた赤い糸。
私には不思議とそれが見えた。
切れそうな糸、しっかりとした糸、こんがらがっている糸、結びなおされた糸。
様々な糸が見えた。
自分以外の糸だったら、解してあげることもできた。
じっと自分の小指を見る。
消えかかりそうな色の糸が世界のどこまでも続いていた。
僕は高すぎる壁に絶望して、壁にもたれかかった。
これを乗り越えるなんて、今の自分には無理だと分かった。
ひとひらの風が頬を撫でていった。
壁は乗り越えるだけでない、と気がついた。
立ち上がり、壁を押す。
壁は重いものの動いていく。
正解はここにあったのだ、と気がつき僕は笑顔になる。
声をかけるのにも勇気がいった。
ぼんやりとしているあなたのだらしなく置かれた手なら大丈夫だろうか。
力強く、あなたの両手のひらを私の指先でつつく。
あなたは、ハッとしてこちらを見る。
穴があったら入りたい気分だった。
「次、当たると思う」と言い訳のような言葉を発する。
あなたは笑う。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

------

僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。
嘘をついてもいいのか、と迷いながら口に乗せた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」と寂しく思いながら言った。
君が嘘だと見破ってくれたらいいのに。
そんな自分勝手なことを僕は思いながら、君に微笑んだ。
政略的に結ばれた白い婚姻のはずだった。
花嫁はまだ幼く、子をなすには早すぎる。
同じ寝台で眠るだけの約束だった。
その代わり、花嫁以外の寵妃を持つことが認められていた。
けれども花婿は寵妃を持つことなく、歳月が経っていった。
ある日、花婿は花嫁を組み敷いた。
破られた不可侵条約だ。
生命はいつかついえる。
永遠なんてないんだ。
生まれた時から決まっていたおしまい。
そのことを君に説くけれども、君には通じない。
「でも、いつか生まれ変わるのでしょ?」と君は微笑む。
堂々巡りをしてしまう。
輪廻転生を信じるのは、悪くないかもしれないけれど。
記憶を維持できないだろう。
「罰ゲームだよ」と君は言った。
「そんなことした覚えないんだけど」僕は『無実だ』と告げる。
君は満面の笑みを浮かべながら、手のひらに触れる。
君の手はひんやりとしていて、暑さを感じさせなかった。
「私を寂しがらせた罰ゲーム」君は僕の瞳を見て言った。
こんな罰ゲームなら大歓迎だった。
「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

------

僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をついた。
それは自分が傷つくだけの嘘だった。
だからこそ、明るく言ったのかもしれない。
湿っぽいのは最後には似合わない。
「今とても幸せだよ」と僕は告げた。
次の瞬間、不幸せが訪れることを知っていても。
こんなことしか言えないなんて、僕は俯いた。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH