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「 140文字の物語 」
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喧嘩をしてしまった。
お互い言えることを言いきった後、沈黙が落ちる。
同じ部屋にいるのが気まずい。
確かに僕も言い過ぎたところがあった。
今、この部屋から出たら、もっと後悔をするような予感があった。
でも、と逡巡していたら、ぎこちなく、君が両手のひらを指先つつく。
笑ってしまった。
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「私を好きなると、不幸になるわよ」寂し気にあなたは微笑んだ。
あなたにまつわる噂は了承済みだ。
「あくまで僕が、あなたを愛していたんです。関係ありませんよ」と僕が告げると、あなたと初めて視線が交差した。
まるで期待なんかしていない諦めた光を宿した瞳だった。
それを変えたいと思う。
あの日、自分の気持ちを秘密にして、少年に伝えなかったことを後悔した。
少女には、もっとふさわしい相手がいるのだろう、と少年が離れていったからだ。
『あなたのこと好きよ』と告げれば、運命は変わっただろうか。
少年の隣に寄り添って咲いていられただろうか。
一輪の薔薇のように明るく。
転落してから、亡くなった父がどれだけ優秀だったか分かる。
少女は刹那の虚栄の中で、生まれ育った。
それなのに、今は宮殿の掃除をするような下働きをしていた。
成り上がりの貴族にはふさわしい立場だった。
流転した運命に少女の胸は慟哭する。
少女はボロボロになった指先を見て目を潤ませる。
「あ!」少女が抱えていたプリントが一枚風にさらわれた。
少女は手を伸ばしたけれども、隣にいた少年の腕が止める。
プリントは主の代わりに、トラックの犠牲になった。
トラックが通り過ぎた後、少女は軽々しく、少年の手のひらに爪を立てる。
「危機一髪だったな」少年は少女を手放さずに言う。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

------

僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。
視線があってしまったら、嘘だと気づかれてしまうかもしれない。
だから、君を見つめることはできなかった。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と僕は呟くように小さく言った。
だってもう、仕方がないだろう?
叶わない願いばかりが増えていく。
諦めきれない夢ばかりが増えていく。
歳ばかりが重なっていく。
夢ならいっそ覚めてしまえ、と現実を見つめながら思った。
そう思いながら、忘れきれない夢を心の中で描く。
ここまで思っているのだから、一生抱えていくのだろうか。
長く息を吐き出して苦笑する。
夜の公園に人影があった。
ブランコが定期的に揺れる。
不審に思って僕は公園に入った。
少女がブランコに座っていた。
「どうしたの?」と僕は声をかけた。
ブランコが止まった。
少女は泣きそうになりながら、自分の両手にブランコの紐に絡める。
そして「帰れないの」と寂しそうに少女は言った。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

------

僕は、祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
どうかこの嘘を貫き通せますように、と僕は願った。
それは相手を守るための嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と戦場を渡り歩く僕は言った。
「あなたについていきたいのです」少女が純真の瞳で見上げる。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
不死の肉体を持った少年。
その少年の傷を癒すことができる少女。
二人は戦場の中で巡り会うべく出会った。
少年の瞳には諦めた光を宿していた。
少女の瞳は潤んでいた。
どちらも道具のように扱われる宿命。
それほど二人は政の中で無力だった。
世界は彼らを手放さない。
少なくと戦が終わるまで。
あなたが困ったことがあると髪を混ぜっ返す。
今でも、そのくせは覚えている。
それだけの時間、一緒にいたのだ。
その日も、あなたは髪をさわっていた。
私は覚悟をした。
「悪いんだけど、別れてくれる?」あなたは言った。
コンビニでサンドイッチを買うような気軽さで。
私は俯いて唇をかんだ。
少女は瞬く星を指をさす。
少年はそれを見て、ためいきを飲みこんだ。
人が死ぬ、と星になるらしい。
そんな伝説めいたことを少年が思い出したからだ。
満天の星空を見上げると、それだけ星たちには物語があるのだ、と思い目を瞑る。
すっかり秋めいた夜風が二人の間を静かに通り抜けていった。
とうとうこの日がやってきた。
長い時間待っていた。
二人が契り交わす夜は酔いの中、進められた。
どこか幼さを残す花嫁は、花婿に微笑む。
嬉しそうに、花婿の指先を握る。
「末永くよろしくお願いいたします」と決めごと通りの言葉を花嫁は告げる。
あまりに愛しかった花婿は花嫁を抱き寄せる。
人類は毎日、進化している。
それが滅びに向かう一歩だとしても。
人類は壊れそうになっている明日に向かって歩き出している。
遺伝子は常に生まれ変わり、新しい種を生み出している。
それが今の人類のお終いだとしても、変わっていく。
それが怖いと感じることなく未来への夢を描こう。
獅子座の隣に煌めく星は何座だろうか。
夜空という五線譜に描いた夢のように奏でる。
今宵は雨が降って、貴方が引くヴァイオリンは聞こえてこないけれども、厚い雲の上は晴れ渡って澄んだ空があると願っている。
星座とそれにまつわる物語を教えてくれた貴方が輝いていると信じている。
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