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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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 悪意が流し込まれたような淀んだ空気の中、少年は歩いていた。
 カリッカシャン。
 乾いた音が空虚に響く。
 亡者たちの白山を越え、絶望を踏み潰しながら「もう少し」と少年は呟く。
 屍の山の一部となるのも知らず、少年はただ歩いていく、希望という名の新しい絶望に向かって。
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あなたの足音は幸せリズム。心が弾む。
-
二つあるものなら一つずつ。
一つしかないものなら半分こ。
あなたにあげられることが嬉しい。
君からもらえることが嬉しい
-
 僕たちの気持ちを不完全な愛だという人もいるだろう。
 それでいいじゃないか。
 完全な愛なんて神様ぐらいしか持てないのだから。
「ねえ迷子さん。手を繋がない?」
差し出された猫婦人の手は足りないものが多すぎた。
ここは夜と昼の真ん中、彼誰の時間。太陽も月も沈んだ世界で猫婦人は微笑む。
「ここで終わりのようね」
川岸で陽気に言う。
「さようなら」
私は言った。
猫婦人はにゃぁおと楽しげに川の向こうへと渡って行った。
 黄昏の底に沈みし時代のこと。
 今は遠く、新月の闇に落ちた刻。
 彼が在りし日々、時間は日輪のごとく赤々と輝いた。
 紅葉よりも鮮やかな血と怨嗟に彩られた彼の歩みし結末は、神の怒りを買ったのか、御座には爪先分足りなかった。
 彼の腕は伸ばしたまま、失われたのである。
 太陽は星のごとく落ちた。
 薔薇よりも麗しいと賞賛された踊り子がある日を境に消えた。
 異国の王族に見初められた、常連の伯爵に強引に連れ去られた、同僚に妬まれて大怪我をした。
 地方紙は毎日賑わった。
「おはよう、面白いニュースあるの?」
 妻が尋ねる。
「いいや。君よりも面白いものはないよ」
 僕は答えた。
「宇宙で一番好き」彼女はプリン片手に呟いた。
「プリンが?」
「プリン。確かに好きだが」
スプーンを握りこんだまま器用に蓋を開ける。
ぴりりりと開いて「プリンは魅力的だ」と一口食べる。
「世界よりも上だな」と言うと
「最少公倍数とπの違いだろうか」と俺を見て微笑んだ。
-
 毎日が一大事なの。
 だから、毎日会って、毎日おしゃべりしてよ。
 電話なんかじゃ足りないし、メールなんてもっと足りないんだから。
 毎日会わなきゃ恋してるって言えないよ。
 私のこと大切なの?
 24時間ってとても長いんだから。
 私、会ってない間は生きてないみたいで寂しいの。

++++

 毎日が一大事。
 付き合いたてなんだから一緒にいたいし、俺だって顔を見たい。
 仕事でくたくたになって電話するのは面倒だし、朝のおはようメールに夜のおやすみメールの他に、二桁のメール返信。
 会って解決するんだったら、デートのが楽。
 でも、こういうの我慢するのも愛だよな。
-
「僕たちはこんなに気が合うのに、どうして」
「恋人同士じゃないかって? 簡単なことよ」
「?」
「あなたが意気地なしだから」
「じゃあ、勇気を奮ったら恋人同士になれるのかな? 君は意地っ張りみたいだけど」
「大丈夫。だって私たちは」
「こんなに気が合うんだから?」
「そうよ」
-
 血液型占いなんて非科学的だよ。
 人間がたった4つのタイプの性格しかないなんてナンセンス。
 ある地方ではB型ばかりだし、ある地方ではO型ばかり。
 この日本だってA型ばかりだろう?
 同じ血液型でも色々な性格がいる。
 だから、僕と君の相性が悪いなんて当てにならないじゃないか。
-
 本当のことなんて砂漠に落ちた一粒の砂金みたいなものだ、と砂漠を歩いたことのない君が呟く。
 本当に見つからないものなのか、今度一緒に砂漠に行ってみないか?
 見つからなかったら君の勝ち、見つかったら僕の勝ち。
 単純な賭けだろ?
 大丈夫、僕は見つかるまで君と砂漠を歩くよ。
 不愉快そうに唇が物語るは、復讐。
 幻想と狂気の虚夢の世界の土台は、現実から拾う事実の欠片。ゼロの空に放り投げては、また拾う。
 連れてってと囁く子どもたちには毒の硝子片を、楽しそうねと笑う大人たちには悪意の剥片を。尽きせぬ憎悪と限りない愛情と同じ皿に載せましょう。
-
 たとえばそれは冬枯れの庭のように。
 氷の欠片を宿しながら、春を待つ。
 来ると信じながら待つ春は長くとも、ほのかに甘い。
 孤独が寄り添うモノクロの庭で、踊る影を見つめながら、その時々の風にすら目を細める。
 淡々とした彩りの中、やがて来る季節に思いをはせる。
 8時28分ホームルーム間近の教室の俺の机の上は自称異世界人に占拠されていた。
 どよめく教室もなんのその、見た目だけは愛らしいそいつは俺の平穏を打ち砕くために口を開くのだ。
「あなたと私は運命共同体! 喜びなさい地平人」
 何故、日本語なのだろうかと尋ねてはいけない。それがやつらのやり方なのだ。
「シティセスめ! ――くんが貴様の契約を受けるいれると思っているの!?」
 何故か俺の隣の席の女子生徒が叫びだしたが、やはり無視。春になると出てくるのは虫だけではない。
 それに彼女はもともとそういった性格だった。
 あれはまだ俺が5歳だった頃まで遡る……暇はないので、省略。
 自称異世界人と敵対しているらしい女子生徒の会話は絶好調だ。
 俺は自分の座席に座りたいだけなんだが、割って入るのも憚られる。
 女性の会話に割り込んで無傷にいられるのはイケメンと先生だけだろう。残念ながら俺はどちらにも該当しない。
「――、机に座っている女性は君の知り合いか?」
 いつの間にか教室に入っていた担任が笑顔で俺に尋ねてきた。
「いいえ、赤の他人です」
 俺は答えた。
 言い終わる前に、自称異世界人と隣の席の女子が怒鳴り始めた。
 俺の弁解は担任には届かなかったようだ。仕方がない。
「――、あとで職員室で話を聞こう」
 担任は笑顔のまま言った。
 ……俺は平穏を愛している。
 こんな日常はもう嫌だ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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