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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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夕方の神社の境内は、人気がなかった。
幼なじみが落ち葉を箒で集める音が響く。
「早く帰らないと、雨が降るよ」
「私も虹が見たかった」と私が言うと幼なじみはフフッと笑った。
「たまたま見られただけだよ」
「だからって写メで送ってこなくても良いじゃない。余計見たくなったよ」
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吐く息が白くなった。
季節は順調に冬に向かっていた。
乗り換えの駅で彼女と合流する。
「今日も寒いね」彼女は笑った。
「そうだな」と俺も頷いた。
彼女がそっと、指先を触れ合わせる。
自分とは違う温もりにドキリッとしながらその手を掴む。
それが日課だ。
満員電車は暑いぐらいだった
密室な音楽室でピアノを弾いていた。
コンコンと躊躇いがちなノックがされた。
私は扉を開いた。
見知らぬ人が立っていた。
「何のご用でしょうか?」私はドキドキしながら訊ねた。
男子生徒はヴァイオリンを見せる。
「練習室がいっぱいで練習が出来ない。邪魔はしないから良いだろうか」
「あなたの気持ちが分からないよ」と彼女は涙した。
その涙を拭う資格は持っていない。
それだけは分かった。
「どうして、あなたはそうなの!」悲痛な声だった。
これまで築いてきた関係がガラガラと崩れ落ちる。
いつの間にかすれ違ってしまっていた。
泣く彼女を抱しめたいと一瞬思った
鋭い痛みが右わき腹を襲った。
ナイフが刺さっていた。
刺した側が震えていた。
意味の分からない悲鳴とも取れる声を上げ、加害者は逃げていった。
致命傷にならないが、放っておくには大きすぎる傷だ。
どうしたものかと逡巡する。
魂ごと天に帰れれば一番なのだが許されないらしい。
怖い物がダメなままでは俺の人生は最弱な物語だ。
夜の12時になると首つり死体が見えると迷信がある屋敷に向かった。
住む人のない家屋はすぐにダメになる。
懐中電灯片手に屋敷の二階部分を歩く。
傷んだ廊下がぎーっと音を一歩一歩たてる。
部屋の中は埃っぽかった。
幽霊はいなかった
ワードローブから無作為に、服を引っ張り出す。
どうせコートを着てしまうのだから、流行に乗らなくていい。
バイト代から貯めた貯金をブリキの缶から取り出す。
女の子の好きそうな雑貨屋まで徒歩で行く。
自然とスキップになってしまう。
どんなプレゼントをしたら喜んでもらえるだろう
客の帰った朝のバーは気だるい雰囲気に満ちていた。
マスターはグラスを一つ一つ丁寧に磨いていた。
歌姫はカウンターに座り、本をパラパラとめくっていた。
無言の中、身じろぐ音が重なり合って、まるで愛し合う男女のようだった。
歌姫は本を閉じると、サティの有名な曲を口ずさんだ。
二人で鯨雲を見てから半年。
季節は冬になっていた。
夏は楽しかった記憶が詰まっているから、時々幻覚だったじゃないかと思ってしまう。
イルミネーションに彩られた街を独りで歩いていると、余計にそう思ってしまう。
風が肌を突き刺すように触れていく。
溜息は白く空に溶けていった。
「助けてください!」
雛鳥が親鳥の胸に飛び込んでくるように少女が飛び込んできた。
「神剣・神楽です」少女は刀を押し付けてきた。
「どうしてこんな物がここに」
「時間がないんです」少女は言う。
俺は決意する。
ポケットからヘアゴムを取り出すと中途半端な髪を結ぶ。
神楽を抜刀した
二人で遊園地にやってきた。
「今度は、あれに乗ろうよ」と友達が言った。
フリーフォールだ。
「うん、わかった」私は頷いた。
長い列を並んでとうとう私たちの番になった。
お互い顔を見合わせてはにかむ。
遠ざかっていく地上を見る。
浮遊感が起き、座席は落ちていく。
悲鳴が漏れた。
狭い村社会で大事件が起きた。
近くの森に遊びに行った幼女が帰って来なかったのだ。
大人たちは明かりを手に森に入った。
けれども幼女は見つからなかった。
メトロノームがカチコチと時を刻むように、不安は正しく増していく。
消えた幼女は今どこに?
その回答を知る者はここにはいない
門限を十分破ってしまった。
「ペナルティね」と姉が目の前に、緑色のタルトを出した。
味はピスタチオだろうか。
それではペナルティにならない。
フォークを手に取る。
「味は青汁だよ」と姉が楽しげに言った。
覚悟を決めて一口食べた。
美味しかった。
「抹茶味の青汁も良いでしょ」
時間外診察になってしまった。
早朝の病院は、それでも二、三人の人がいた。
めまいを感じて待合室の椅子に腰かける。
「お兄ちゃん、大丈夫?」付き添いで来てくれた妹が心配そうに見上げてくる。
「大丈夫だよ」と返す。
小指と小指が結ばれる。
妹の冷たい手が心地よかった。
幼なじみは上目遣いで、腕を折れんばかりに握る。
「絶対、秘密にしてよね」幼なじみは言った。
「わかったよ」俺は言った。
「約束だからね」と幼なじみは念押しする。
「誰にも言わない」噂をまくような話し相手もいない。
テニス部の部長が新しい彼女を連れて通り過ぎた。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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