忍者ブログ
ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ガラスケースにしまわれた人形の目は澄んでいる。
濁ったおのれの瞳が映りこむ。
瞬きをしてから鏡を見る。
そこには人形と同じ澄んだ目が映っていた。
ほっと一安心して鏡を元の位置に戻す。
ふと視線を感じて振り返る。
人形がいつものように微笑んでいた。
澄んだ目に陰りが過った。
PR
この季節の太陽は慈悲深く感じる。
真夏の時は嫌悪していたのに、人間とは我儘にできていると感心する。
コンコンと窓ガラスがノックされた。開けると幼なじみがいた。
「おはよう」とまるで太陽のような笑顔を見せる。
息が凍る程寒いのに、暖かく感じた。
雪の影響で一限は休止になった。
やることもなく早朝の大学を散策する。
階段を下りていると、小さな悲鳴が聞こえた。
階段を踏み外したらしい。
白い太ももが見えた。
女性がこちらに気づいた。
「見てないから。声がしたから。傷になるといけないから医務室に」と言い訳を訥々とする。
彼女は恥ずかしそうに、両手に触れた。
ひんやりとした指先が可哀そうに思えて、包みこむ。
しばらく手を繋いでいると、二人の体温が溶け合ってちょうど良くなる。
「カイロ代わりにしちゃってゴメンね」と彼女は言った。
子供時代からこうして手を温めてきた。
あの頃と変わらない。
チョコレート売り場は駆け込み需要でにぎわっていた。
手作りに失敗した女の子や家族に買って帰る女性でざわめいていた。
明日になればホワイトデーコーナーになるのが面白いところだ。
客層もガラリと変わる。
恥ずかしそうな男の子や義理チョコのお返しを紙袋いっぱいに買う男性に。
たった一つの誓いを言い訳だと読んだのが間違いだったのだ。
発せられた言葉には、真があるだけで偽りはなかった。
けれども真っ直ぐな誓いを受け止められるほど少女の心は純真ではなかった。
決して長いとは言えない人生の中で、少女は何度も裏切られた。
この誓いも嘘になると思った。
「はぐれちゃうと困るから、手を繋いで歩こうか?」
「大丈夫」そう言った彼女は少し早足だ。
小さな段差で転びそうになったのを抱きとめる。
「やっぱり手を繋ごう」と手を差し出すと、彼女は上目遣いで、指先に爪を立てる。
「大丈夫だから!子どもじゃないんだから」と強がりを言う。
「どれでも好きなのを選んでいいよ」と彼にショーケースの前に連れて来られた。
ダイヤモンドが燦然と輝くリングが並んでいた。
透明な輝きは気高く、凛としていた。
自分には似合わないと思って、誕生石のコーナーに向かう。
一桁ばかり安い指輪を選んではめた。
私にはこれで充分だ。
現実は厳しい。
思い通りにいかない一日だった。
明日が来るのが怖いと思った。
ポケットの中の携帯電話が鳴った。
出ると故郷で就職した幼なじみからだった。
「顔を上げてごらん」と言われた。
いつの間にか俯きがちに歩いていた。
ハッとして見上げると、夜空に星が煌めいていた。
目覚まし時計が鳴った。
いつもよりも早い気がして、眠い目をこすりながらカーテンを開ける。
外はまだ朝日を迎えたばかりだった。
携帯電話を開く。目覚まし時計と1時間違う時刻を知らせていた。
犯人が部屋に乱入してきた。
「おはよう」と満面の笑みを浮かべながら、腕を軽く握る。
入学式を控えたある日、街まで出た。
同じ高校を受験した幼なじみと一緒だった。
それプラス両親。
家族ぐるみのお付き合いだったが、こうやって外出するのは久しぶりだった。
まず靴屋に向かった。
幼なじみとお揃いの革靴を買った。
運動靴ではなく革靴。
大人に一歩近づいたようで嬉しい
先ほどから子供が泣きっぱなしだった。
原因は分からない。
叔父夫妻が置いていった姪っ子は、いつまでも泣き止まない。
こういう時はお菓子でも与えて黙らせるのが一番だと、戸棚を漁るとクッキーの缶が出てきた。
ロングセラーを誇るクッキーは幼少の頃、お世話になった物だった。
男は置時計で時間を確認すると、白い錠剤を飲んだ。
ペットボトルの水をごくごくと飲む。
散乱とした机から体温計を探しだす。
体温計を脇に挟みながら、携帯電話を開く。
メールが何通か着ていた。
体を気遣う内容ばかりだった。
体温計が鳴った。
37℃。
少しは下がってきたようだった。
残業続きでイライラしていた。
彼女から続々と続くメールに返事をするぐらいなら、眠りたかった。
会社の椅子で寝落ちするぐらい忙しかった。
これが喧嘩の元になった。
デートの待ち合わせに遅刻した。
彼女は怒らなかった。
満面の笑みを浮かべながら、腕にふれてきた。
「仲直りしよ」
いつからだろう。
幼なじみと一緒に行動するのが嫌になったのは。
幼なじみは同性から見ても可愛らしくて、妖精のようだった。
私はその正反対。
女らしいところはなかった。
よく男の子に間違われていた。
それが悔しくて幼なじみと距離を置き始めた。
自分でも歪んだ感情だと思う。
PREV ← HOME → NEXT
プロフィール
HN:
iotu(そら)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
フリーエリア
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH