夜遅くなったからといって、車で最寄りの駅まで送ってもらうことになった。
女の子を守るのは当然といった様子だ。
「今度は昼間に乗ってみたいですね」と冗談交じりに言うと「今度の日曜日は空いているか?」と真剣な声が返ってきた。
私は頷いた。
約束の証だと手に跡をつけられた。
肝試しをすることになった。
場所は近所の墓場。
二人組になって、一番奥の墓石に用意してある花を持ってくる。
暑い夏を乗り切るには楽しいゲームだった。
組み決めで怖がりな幼なじみと一緒になった。
大丈夫だろうかと不安になっていると、幼なじみがそっと、腕を握り締めてきた。
「消灯の時間です」と言って、電気が消された。
ベッドの上で窓の外を見上げる。
今日も晴れていて、神様まで届きそうだった。
静かな病室の中、少女は半身を起こした。
祈りの形に手を組む。
今日が無事に終わることを。
明日も変わらずやってくることを。
雲一つない星空に向かって祈った
黄金色に輝く剣が肩の上に置かれた。
「終生の忠実を誓うか?」幼い声が問う。
跪いていた騎士は「誓います」と応えた。
ふーっと小さな溜息が零れた。
騎士は顔を上げ、幼い主を見上げる。
主は黄金の剣を鞘に仕舞っているところだった。
「これより我が剣になれ」と剣を騎士に手渡した。
彼の愉快な独り言はツイッター上に残る。
誰かが耳を澄まして聴いている。
あるいは濁流の中に流れていく。
独り言に宿る煌めきはいつまでも変わらない。
彼自身が変わってしまっても、ツイッター上の独り言は一切の変容を許さない。
今日も彼の独り言がツイッター上にツイートされる。
通学の時間や食事までの隙間の時間をぬって勉強した。
テスト前は睡眠時間を削って勉強にあてた。
白金色の頭髪の少年を抜くために、努力をし続けた。
廊下に貼り出されたテスト結果を見上げる。
今回も2位だった。
白金色の頭髪が揺れて、こちらに向かってきた。
思わず睨んでしまう。
壁一面の本棚から一冊のノートを引き抜く。
大学ノートには過去の自分が感じたことをそのままに書いてある。
ちょっとした短文から理不尽さを感じて書きなぐった長文まで。
今の自分には書けない文章が並んでいる。
それを読むのは少しセンチメンタルな気分になる。
過去の自分に苦笑する
貴方がいないと寂しい。
独りぼっちは得意じゃない。
貴方がいても寂しい。
貴方はいつも真っ直ぐに未来を見ているから。
私の方を見てくれない。それでも好きなんだから仕方がない。
今も二人きりなのに沈黙が漂っている。
雨音とキーボードの打鍵音が部屋の中で響く。
寂しさに俯いた。
雨の日は憂鬱だ。
傘を差していても濡れるし、じめじめとした空気は気分を重たくさせる。
それでも今日は月曜日だ。
ビニール傘を畳んでいると、笑顔いっぱいの君が「おはよう!」と言った。
梅雨の晴れ間みたいな笑顔だった。
これが見られるから、たとえ雨でも月曜日は楽しみだった。
僕は優しんじゃない。
君にだけ優しいんだ。
そのことに鈍感な君は気づかない。
当分はそれでいいけどね。
そのうち我慢が出来なくなるかもしれない。
力づくで僕を見させることをしてしまうかもしれない。
鈍感な君が気づくのが先か、僕の我慢が出来なくなる日が先か。
楽しみではある。
何の力もないから、君が悲しい時はせめて隣にいさせて。
涙を一緒に流そう。
その手を取って決して離さない。
君が悲しい時は僕は傍にいると決めたんだ。
独りで我慢しないで欲しい。
僕がここにいる理由を忘れないでいて欲しい。
二人で悲しみを半分こにしよう。
君が涙の時には隣にいる。
仕事が終わり、携帯電話の開いた。
液晶画面には10件を超す着信履歴とメールを知らせる文字列が並んでいた。
妹からのものだった。
動悸が激しくなる。
表面上は取り繕って職場を後にした。
妹が独りで暮らしているアパートに急ぐ。
鍵を開けると、窓辺に立つ妹がいた。
手首を捕まえる。
親友の足跡を追った。
虹色の世界の中で、そこだけモノクロームだった。
色のない世界で親友は何を見ていたのだろうか。
今となっては分からない。
解っていれば結末は変っていたのだろうか。
涙がポロポロと零れる。モノクロームの道はまだ続く。
いつか虹色に変わればいいのにと思う。
真夜中に幼なじみがやってきた。
用事は特にないらしい。
眠れないから付き合って欲しいと言われて完徹を覚悟した。
「手、貸して」と言われ、嫌々ながらも手を差し出した。
幼なじみは手のひらを指先をなぞる。
何か文字らしきものを書いたようだった。
あいにくと文字は判別不能だった。