棘だらけの黄色の薔薇。
棘多くて触れない。
そんな花が君に似合う花だ。
綺麗に咲いているのに、手折ろうとするのを拒む。
君を手に入れようとするには、たくさんの代償を支払わなければならない。
痛みを知らずには僕の物にはならない。
そう言ったら、君はいつものように笑うだろうか。
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明日死ぬんだってさ、怖くないよ。
死は平等にやってくるものだ。
どんな金持ちも、どんな偉い人でも、死だけは公平だ。
大きな鎌を持った死神は困惑したような顔をした。
「未練はないんですか?」と尋ねてきた。
後悔のない毎日を送ってきた。
だから明日死ぬと分かっても恐怖はなかった
デートの待ち合わせ。
いつも君は僕よりも早く着いている。
僕を見つけると嬉しそうに笑顔になる。
この瞬間の君が好き。
会えない時間の分だけ。
これから一緒にいられる時間のぶんだけ。
好きなんだ。
僕は小走りになって君の元へ駆け寄る。
僕はどんどん君に夢中になっていくのが分かる。
戦いの終着は見えない。
ジリジリと圧されているような気がする。
神剣・神楽だけは楽しそうだった。
毎夜のように、外を出る。
不安げな表情の少女を連れて夜の街へ向かう。
無事に帰ってくると無言の約束をする。
泣き出しそうな少女にできる精一杯な強がりだった。
必ず生きて帰る。
スイッチを入れたように、恋に落ちた。
今まで意識したことがなかった。
仲の良い友だちだと思っていた。
一度、入ってしまった明かりは簡単に消すことができない。
今までのように仲良しの友だちではいられない。
どうしてもっと早く気づけなかったんだろう。
後悔ばかりが脳裏を回る。
今日は久しぶりのデート。
それなのに彼はきょろきょろと余所見ばかり。
話したいことはたくさんあるのに、生返事。
せっかくのデートなのに、悲しくなっていく。
さっきから可愛い女の子を見ている。
私は優しく、彼の腕に触れる。
ようやく、こっちを見てくれた。
彼は私の頭を撫でる。
自慢じゃないが、恋人が途切れたことがない。
二股三股は当然。
バレンタインデーはチョコレートを持ち帰るのが大変だ。
どんな女性も口説き落とせなかったことはなかった。
そう、君と出会うまで。
君だけが振り向いてくれない。
追いかける側に回ったのは初めてだから、勝手に途惑う。
君の涙が止まらないのも。
君の孤独が埋まらないのも。
君のためいきが零れるのも。
全部僕のせいにしていいよ。
辛い思いをしているのに無理矢理、笑おうとしている。
そんな君を見るぐらいなら、僕が悪かったことにしていいよ。
君には幸福でいて欲しいんだ。
だから我慢しないで欲しい。
風鈴に描かれた金魚は独りで寂しくないのだろうか。
風に揺れては鳴る風鈴を見ながら思った。
硝子特有の高い音色が悲鳴のように聞こえた。
透明な水に泳ぐ金魚は、どこへも行けない。
窓際で佇むだけだ。
強い南風が吹き渡り、風鈴を激しく揺する。
金魚を連れ出そうとするかのようだった
マグカップ片手にパソコンの前に座る。
スカイプ中に離席したことを謝罪する。
メカニカルキーボードの打鍵音がBGMになる。
返事がなかなか返ってこない。
コーヒーをすする。
「好きです」と唐突な言葉がモニターに表示された。
震える心を落ち着かせるために、マグカップを傾ける。
どんなに手を伸ばしても決して届かない。
夜空を彩る星のようだった。
公平に地表を照らしているというのに、裏側を見せない月のようだった。
いつかは隠れて見えない本当の心を見てみたいと思った。
今は自分のことで精一杯だけれども。
宇宙船に乗って地上からは見えない部分を見るのだ
僕から遠く離れていく君。
理由ひとつ教えてくれなかった。
大きな瞳からボロボロと涙を零して、ただ謝るだけだった。
僕は「それが君の幸せなら」と利口な言葉を紡いでいた。
幸せになって、なんて嘘だよ。
これ以上ないぐらいの不幸になればいい。
僕と別れるんだから当然だよね。
私と貴方は正反対。
初めて会った時は、こんなに惹かれるとは思わなかった。
いくつもの季節が二人の間を通り過ぎた。
器用なのに言えない私と、不器用だから気付かない貴方。
だから恋という甘い果実は実らないかもしれない。
今日も素直になれなかった。
不器用な貴方はまた謝罪をする。
今日、死にたくなったら明日死のう。
最後の一日は特別な日になるだろう。
白い便箋に別れの言葉をしたためて。
今まであったこと、喜びと悲しみを綴って。
誰にも言えなかった言葉で埋めよう。
美味しいお酒と美味しいご飯を食べて。
独り静かな時間を楽しもう。
きっと幸福で満たされる。
ここ数日、穏やかな生活が続いている。
神剣・神楽は退屈そうにしているが、ありがたいと思ってしまう。
生命のやり取りをしている生活が日常のように感じていた。
そんな異常な状態を普通と思っていたのは、心が麻痺している証拠だった。
このまま穏やかな生活が続けばいいと願う。