今日も花屋さんで、花を一輪、買い求めた。
喜ぶ顔を見たくて、店員さんと相談しながら選んだ。
花言葉なんて、貴方は知らないんでしょうね。
それでもいい、と思った。
いや、花言葉を知らないからこそ、自由に選べる。
知っていたら、恥ずかしくて選べないだろう。
だからそのままでいて
君と別れてから季節がひとつ巡った。
君がいないと生きていけないと思ってた。
けれども今は君がいない生活にも慣れた。
あれほど愛し合っていたのに、慣れというのは怖い。
これからの人生君以上に愛せる存在に出会うことができるのだろうか。
そんなことを思いながら日々を過ごしている
空は雲ひとつない快晴。
日差しも暖かく、吹く風も穏やかだった。
まるで二人の別れを彩るように、美しい季節だった。
君は嬉しそうに、僕の指を握る。
だから、僕も想いをこめて握り返す。
いつも通りの光景も、これでおしまいだと思うと愛おしい。
君と過ごした時間はとても貴重だった。
「君のことなんてどうでもいいんだ」といえたら、どんなにいいだろうか。
とっくの当に、僕の世界の中心は君になっている。
君がいなければ生きている価値もないような気がしている。
だから、そんな君に「どうでもいい」なんて嘘でもいえない。
君が存在しているだけで僕は嬉しいんだ。
生まれて初めて「告白」というものをされた。
そのことが嬉しくて、付き合うことにした。
好きじゃないのに「恋人が欲しい」という気持ちだけで。
お付き合いをすることになって、一通りの儀式をした。
誰もがうらやむカップルになった。
幸せなはずなのに、気持ちはゆらゆらと揺れる。
僕は君からさいごの手紙を貰った。
白い封筒に入った白い便箋に、黒インクで書かれた手紙だ。
几帳面に整った文字は君らしい感じがした。
白い便箋には別れが綴られていた。
誰も責めない言葉選びは、さいごだということを知らせる。
もう二度と僕は君に会うことはできない。
それを伝える
君の孤独を癒せる人でありたい。
寂しさに寄り添っていたい。
君には僕がいる。それは君の世界では救いにならない。
どれだけ僕が想っていても、それは伝わらない。
君は独りぼっちで影を追いかけている。
手に入らない物へ、必死に手を伸ばしている。
傷つくことが怖いのに、茨の上を歩く
君が明日死ぬとして、今日の僕は何もできない。
静かに見送るだけだ。
そんな僕を見て、君は笑うんだろうな。
いつもと変わらない笑顔を見て、僕の胸は痛むのだろうか。
僕を置いて、君は自由になる。
君のいない世界で僕はどうすればいいのだろう。
どうせなら一緒に連れて行って欲しい。
どんなに頑張っても万年2位の位置にいる。
1位を取った白金色の頭髪の少年は張り出された紙を無表情で見上げていた。
彼にとっては当たり前の成果なのだろう。
少女にとっては屈辱的な結果だった。
どうしても少年には勝てない。
今度こそは、と少女は努力をする。
次は勝つと意気込む。
「好きだよ」と心の中で、何回つぶやいたことだろう。
「私たち、ずっと友だちでいようね」と君が言う。
卑怯だ。
ほらまたそうやって笑うから、何も言えなくなる。
いつまでも友達というボーダーラインを越えられずにいる。
僕は君に初めて会った時から好きなのに。
「そうだね」僕は言う
「あなたにそれだけ思われていた。きっと幸せだったんでしょう」慰めの言葉も尽きてきた。
少女の涙は止まることを忘れたように流れ続ける。
小さな箱に収められた骨だけになった物を大切そうに抱えている。
「泣かないでください。きっとあなたの笑顔が好きだったと思いますよ」と言う
君は「もう一つ、ちょうだい」と言う。
本当に欲しくて言っているわけじゃないことを僕は知っている。
口実が欲しいだけだと気がついている。
でも、そんな君のおねだりに僕は応える。
「これ以上、食べると太るぞ」と忠告と一緒に菓子を分け与える。
「ありがとう」と君は屈託なく笑う。
ずっと一人だった。
それを辛いとも、寂しいとも思わなかった。
君に逢うまでは。
「これからは二人だね」と僕は指輪を渡しながら言った。
君は、はにかむ。
返事には充分だった。
家族ができるということは幸せなことなのだ、と知った。
一人だったら気がつかなかっただろう。
君に感謝を。
裏切り者の始末という任務が下された。
かつては背中を預けて共に闘った相手だった。
どうしてこうなる前に、相談をしてくれなかったのか。
それだけの関係だったのだろうか。
これが最後の仕事になるだろう。
そう分かっているのが辛かった。
これを期に引退するつもりだ。
闘いはごめんだ