小指を絡めて約束をしよう。
もう自分の気持ちを偽らずに伝える、と。
想像したよりもずっと一緒にいた。
悲しい時は静かに寄り添って、嬉しい時は笑顔で抱き合って。
これから先もずっと一緒にいるということを確かめ合おう。
そうしたら、僕ら最強に両思いだ。
他のカップルたちに負けない。
静寂を追い払うように神剣・神楽は律動していた。
戦いが近い証拠だと青年は知っていた。
同胞殺しの妖刀が歌うように震える時は血を求めている時だ。
日常に潜む非日常に投げこまれた青年はヘアゴムで髪を結ぶ。
中途半端に伸びた髪を切るのは全てが終わった後だと決めていた。
神剣・神楽を握る
二人最後の夜。
別れの言葉も、門出の言葉もかけられなかった。
それでも離れがたかったから、黙って空を見上げていた。
横たわる沈黙は重い。
何か話そうと思うのだけれども、こんな時に限って舌が固まってしまったようだった。
時間だけが過ぎていく。
焦れば焦るほど心臓はドキドキと緊張する。
僕の愛の形は歪だったから後ろ手に隠した。
デコボコしているし傷だらけだし、ちっとも綺麗じゃなかった。
愛と呼んでも良いのかな。
そんな形をしていた。
君が手にしていた愛はとてもキラキラと輝いていて美しかった。
だから僕は真っ直ぐに見ることができなかった。
交換するには不平等だった。
好きな人ができた。
クラスメイトで、どこにでもいるような男子。
自分でも、どうして好きになったのか分からない。
いつの間にか、視界の端に入るようになっていた。
同じ委員会に入っているから視線が合う回数が増えてきたような気がした。
ほら、早く言わなくていいの?
私から言っちゃうわよ。
生と死の間にはくっきりと境界線が引かれている。
正者は死者に逢うことはできない。
その逆も、そう。
どれほど逢いたいと乞うても、逢うことはできないのだ。
だから君と一緒にいる時間を大切にしたいと思う。
いつか死の誘いがやってきても後悔はしたくはない。
君とあれて幸福だったと言いたい
心の準備はいつでもできている。
どんな場所で、どんな風に、告白されても大丈夫。
シミュレーションはできている。
それなのに今日も何も言われなかった。
一緒に映画を観たり、水族館に行ったり、遊園地に行ったり。
そういうのはデートと呼ばないの?
ほら、早く言わなくていいの?
先着順なのよ
彼女はどこまでも透明だ。
まるで空気のように、まるで水のように。
色という色がついていない。
歳をとれば不純物が混ざっていく。
それはそれで美しい生きざまだけれども彼女の透明感には敵わない。
まるで硝子のように、まるで氷のように。
気がつかなければ消えてしまいそうな微笑みに見惚れる
「もっと勉強しないと良い大学に入れないぞ」
「最近、テストの成績が下がってきているじゃない」
「誰のためにお金を稼いできていると思っているんだ」
「あなただけはまともな仕事についてほしいの」
めんどくさいひとたちが口々に言う。
うるさい。
放っておいておしい。
自分だけの人生なのに。
小さな世界を守るために出陣した。
今日も無事でいられたのは餞別に渡されたお守りのおかげだろうか。
大きな瞳に涙を浮かべていた幼馴染を思い浮かべる。
優しい幼馴染は涙を零しながら「ご武運を」と言った。
残される方が何倍を辛いのに、それを微塵も見せなかった。
だから、無事に帰るのだ。
まるで水に浮かんでいるようだった。
心がゆらゆらと揺れる。
その正体を突き止めたくて、今日も布団の中で考える。
すると、また心がゆらゆらと揺れる。
たった一人の輪郭が瞼の裏に浮かび上がってくる。
その人のことを想うだけで、喜んだり、悲しんだりする。
他人をこんなに想ったことはない。
僕は毎日、君にキスをする。
それは口移しの愛だ。
肝心な時に言葉にできないから、行動で示す。
君は僕のたった一人の人。
いつまでも一緒にいたいと初めて思った人。
かけがえがない、最高で、無二の人。
想いの欠片でも伝わればいい。
そう思いながら、今日も僕は君にキスした。
愛が届けばいい。
戦い始めの頃は巻きこまれたことを呪ったものだった。
数少ない同胞と殺し合いなんて、不毛でしょうがない。
神剣・神楽に選ばれたのはどんな不運なのだろうか、と傷つきながら考えた。
でも今は違う。
小さな夢を叶えるために神剣・神楽で戦う。
それは希望と呼ぶにはささやかすぎるものだったが
それは音もなく忍び寄ってきた。
気がついたら好きになっていた。
ただの友達だと心に言い聞かせる。
それでも恋心は止まらない。
片想いの辛さを知った。
振り向いてほしいと願ってしまう。
友達面して親切にされてしまったら、ますます好きになってしまう。
一方的な想いは膨らむばかりだ。