明るく元気な少女はどこへ行っても可愛がられた。
気を引こうと意地悪する連中から守るのは自分の役目だと少年は思っていた。
幼稚園から高校まで一緒の進路を歩んできた。
少女は鈍感なのか、少年の想いに気がつかない。
少年も一歩の勇気が踏み出せなかった。
口唇にふれたいと思っているのに。
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王を止めることができたのは、この世でただ一人だけ。
美しい姿の中に聡明な魂を宿した娘。
隣国から嫁いできた王妃だけだった。
王が隣国の舞踏会で見初めた娘。
爵位は低いものの隣国で大切にされていた家の令嬢だった。
無理やりな形で王は娘を連れ帰った。
そんな王妃も病には勝てなかった。
最初は面倒事に巻きこまれたと思った。
平穏が崩れ去り、非日常が日常に移り変わった。
生命のやり取りをして、じわじわと自滅していく。
同胞の数は減る一方だった。
青年は神剣・神楽を前に問いかける。
妖刀からは答えは返ってこなかった。
最後まで戦うと決めたのだ。
無言の少女との約束だった
「お弁当を作ってくれるのは嬉しいけど、全体的に茶色なんだよね」男子生徒が言った。
「そんなことを言うなら、もう作ってあげない」女子生徒が頬を膨らませる。
「ごめん、ごめん」と男子生徒が謝りながら、こちらを見た。
「先輩は購買ですか?」可哀想な目で見られた。
「黙れバカップルが」
好きになった人には、好きな人がいた。
その姿に恋をした。
初めから実ることのない恋だった。
好きな人が片想いをしている様子を好きになるのは、複雑な気分だった。
自分のことを好きになってほしい気持ちがないわけではない。
もたもたしているうちに、好きな人は勇気をもって告白したらしい。
「嫌い、って言ってよ」最愛の少女が涙ながら言った。
「そんな嘘をつけないよ」少年は言った。
「だって、これ以上、私たちの行き場所はないのよ」少女は俯き、涙を零し続ける。
「だからといって嫌いになれないよ」少年は本心を言った。
二人は離れ離れになる運命だ。
どれだけ好きでも覆せない
「好き」という感情はどこからやってくるのでしょうか。
こんなにも幸せになる気持ちは、どこから生まれてくるのでしょうか。
貴方を好きになってから、世界が違って見えるようになりました。
繰り返しのような単調な生活を彩ってくれます。
貴方に会える。
それだけで明日が素晴らしく思えます。
晩ご飯はカレーだ。
ことことと材料に火が通って味付けをする段階に入った。
そこでカレールウがないことに気がついた。
火を止めて、慌ててコートを羽織る。
財布を握りしめ、コンビニに向かう。
お目当ての物はすぐに見つかった。
24時間、困ったときの強い味方。
でも休まなくて平気なのかな。
お会いしたのは初めてでしたね。
ネット越しでは饒舌な二人でしたね。
でも、実際会ってみると途切れ途切れの会話になってしまいます。
私が緊張しているように、あなたも緊張しているのでしょう。
もどかしい気分になります。
誠実な人柄に好きが降り積もっていきます。
無理やり奪って、今すぐに
明かりの中、手のひらをじっとみる。
肉刺もない綺麗な現代人の手だった。
少女と出会う前と変わらない。
神剣・神楽の治癒力に驚く。
成り行きとはいえ自分で選んだ道だ。
後悔はしたくない。
少女の期待を裏切りたくない。
それぐらいには少女への気持ちは大きくなっていた。
だから、と決意する。
他人よりも少しばかり傷つきやすい君。
他人よりも少しばかり優しい君。
ずっと隣で見てきたから知っている。
僕の傍で君はいつものように恋をした。
今度こそハッピーエンドになればいいと思っていた。
けれども君はシンデレラになれなかった。
報告に来た君に「僕が、君を幸せにしたい」と言った
君がいなくても僕は生きていけるよ。
でも、君がいてくれれば楽しいと思う。
君が僕の隣にいてくれれば嬉しいと思う。
君が僕のことを少しだけでも好きだというのなら、簡単に「死にたい」と言わないで欲しい。
その呪いの言葉は君自身を傷つける。
僕は君の気持ちが分からないから、願うだけだ。
自然公園は花見客で混雑していた。
屋台も出て、おいしそうな香りが漂ってくる。
百選に選ばれるだけあって駅から続く並木道も桜だった。
交通量が多いせいか花びらはほころんでいた。
「ほら」手が差し出された。
「また迷子になるぞ」痛いところを突かれた。
嫌々ながらも、指先をぎゅっと握る。
私のことが好きなら待ち合わせの時間を守ってほしい。
間に合わないのなら時間に余裕を持った約束をしてほしい。
あなたが約束の時間に現れることはないのはわかっている。
待っている時間の私の気持ちがわかる?
不慮の事故に巻きこまれたのか、出かけに身内の不幸があったのか。
考えてしまう。
硝子のような片想いをしている。
水のように透明で、熱が伝わってくるのに、直接ふれることはない。
脆く、壊れやすいのに、壊れたらその破片は鋭く肌を傷つける。
どこにでもあるのに一つとして同じ顔をしていない。
そんな片想いはいつか終わりが来るのを待っている。
シンデレラの靴のように。