君は素直じゃないから、思っていることの反対を言う。
君は僕に対して「大嫌い」と言う。
それに僕は笑顔で受け止める。
「大嫌い」の反対は「大好き」だから。
僕は君の耳元で囁く。
「そんな君も大好きだよ」
僕の言葉に君はみるみる顔を赤くする。
「だから、そんなことを簡単に言う貴方が嫌い」
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帰りたい、帰りたいと心が言う。
暗闇の中、目覚めて縁側に座っていた。
止まることのない郷愁は二度寝をさせてくれそうにない。
心の奥底で幼子のように叫んでいる。
自分の体を抱きしめる。
少しでも、ここに馴染むように。
もう帰ることはできない場所を求めないように。
涙が零れないように。
あの日からずっと思っている。
君が消えた日から、僕に出来ることがあったのではないかと。
君は何も言わずに、小さな町から出て行った。
僕にすら教えてくれなかった。
君はいつも「どこか」を探していた。
だから、その「どこか」を探しに行くのだろうという予感をしていた。
一言ぐらい残してよ
君は「独りが嫌いなの」と囁くように言った。
僕たち二人ぼっち。
狭い世界の中で二人きり。
話すことは尽きて、無言の時間が漂っていた。
これでは独りなのと変わらない。
僕は話題を探して、頭をフル回転させる。
君に嫌われたくない。
それだけのために。
どうすれば君の笑顔を取り戻せるだろう。
いつになったら家に帰れるのだろう。
見知らぬ光景を見ながら僕は思った。
君に引きずられて帰り道を歩く。
君は興味が湧く方に進んでいく。
寄り道もいいところだった。
それが嫌じゃない僕もどうかしている。
君は僕が知らない世界を開いてくれる。
沈む夕日を見ながらついてきて良かったと思う。
君と手を繋いで歩く。
君が僕と同じぐらいの「好き」を抱えている。
それを伝えてくれた。
まるで夢心地だった。
夢ならいっそ覚めてしまえ。
こんな僕に都合の良いことが起きるなんて信じられない。
やけっぱちな気持ちになってしまう。
どんなに頬をつねっても夢は覚めない。
現実だと知って笑う。
君を大切にすること。
教科書には書いていない重要なこと。
君が悲しい時は傍にいて分かち合うこと。
君が嬉しい時は一緒に笑うこと。
だれも教えてくれない。
僕は君と出会って初めて知った。
他人をこんなにも愛せること。
自分よりも優先させることができること。
これからも知っていくのだろう。
君がいないと僕は独りぼっちだ。
他の誰かといても寂しさを感じる。
それぐらい君は大きな存在だ。
それなのに君は気づかず、僕を置いていく。
君に君の道があるように、僕には僕の道がある。
それを知らせるように、冷淡なぐらいに置き去りにする。
僕はまだ独りで立てないのに。
君が必要なのに。
僕の手はあまりに小さいから、全てを零さずに掬えない。
指と指の合間から滑り落ちてしまう。
それでも諦めずに僕は両手で掬おうとする。
君が零れ落ちないように。
一番はじめに救いたいのに零れ落ちてしまう。
どうすればいいのか分からずに掬おうとする。
全てか君か選ばなければならないのに。
君が微かに笑ったから、僕は道化師役をやめられなくなった。
まぁ、涙を知らない道化師役は退屈ではなかった。
僕の性に合っていた。
何より、君の笑顔を独占できるのは大きかった。
いつも寂しそうにしている君が道化師前では微笑む。
きっと君は他人には言えない悩みを抱えているんだろう。
閉じられた世界の片隅で僕は泣いていた。
小さな窓から零れる日差しに怯えていた。
ひたすら外が怖かった。
ある日、ノック音と共に君がやってきた。
僕とは正反対の君が僕の手をを取った。
「大丈夫だよ」と君は笑った。
僕の世界は開かれ、途方もない広さをみせていた。
最後の一粒が頬を伝った。
君の目に写る僕はどんな姿だろう。
少しは凛々しくあるだろうか。
弱音を隠していることがバレていないといい。
いつでも立派な人のように見えればいい。
君の前だけでも格好つけさせてよ。
君の憧れるような人物でいたいんだ。
そのためなら自分にも嘘を吐くよ。
辛い気持ちも幸せに変えるよ。
いつでも僕の隣で笑っていた君。
別れが来ることを知らなかった。
ずっと二人は一緒にいられるものだと思いこんでいた。
僕たちだけではどうにもならない事情で引き離された。
君は今、笑っている?
僕はうつむいてアスファルトを濡らしているよ。
離れていても、君には笑っていて欲しい。
贅沢かな
君の涙は雨になる。
遠く離れている僕に伝わるように。
静かに降る雨は君の悲しみを痛いぐらい伝えるようだった。
僕に翼があるのなら、すぐさま君の傍に飛んでいくのに。
そして「そんなことは大したことじゃないよ」と君の涙を拭ってあげるのに。
非力な僕にはできない。
早く雨が止みますように
夜闇を煌々と照らす月。
その裏側は地球にいては見えない。
まるで淑女のように地球に寄り添って月は輝く。
隠れた裏面を見てみたくなった。
裏を見ることで本当の月の姿を完結することができるだろう。
その夢まであと少し。
金さえあれば宇宙旅行を楽しめる時代になった。
心が躍りながら緊張する