君は僕を置いて大人になっていく。
僕は立ち止ったままだ。
君は誰と恋をするのだろう。
置いてきぼりにされた僕ではないのは確かだ。
どんどん綺麗になっていく君に出来ることはあるだろうか?
僕の手から離れていく愛しい人よ。
どうか幸福でいて欲しい。
君が涙に暮れることがないことを祈る。
貴方には何色が似合うだろうか。
自分以外の誰かを思って選ぶのは楽しい。
そんな単純なことを貴方は教えてくれる。
貴方と過ごす日々は新鮮だった。
モノトーンの世界を彩ってくれた。
貴方は星のように輝いている。
それも全天の中で一番の一等星だ。
貴方のことを忘れることはできないだろう。
ずっとさまよっている。
完璧な愛を求めて。
僕の持っている愛は歪だ。
真円になるように人の群れの中を歩いている。
見つからないのだろうか。
僕は欠けた愛を探してる。
パズルのピースのように、ぴったりを当てはまる愛を抱えている人を探してる。
そんな人はどこにもいないだろうか。
諦め始めた
雨が鎖のように降る。
私を閉じこめるように、ずっと降っている。
どこか遠くに行きたいのに、雨の街は暗い。
結局どこにも行けずに、家の中で雨が降るのを見ている。
いつから雨は降っているのだろうか。
記憶が引っかかる。
この街に越してきてから降っている。
まるで逃げ出すのを防ぐように。
疲れて帰ってきた用だった。
ご褒美用だった。
楽しみに帰ってきて冷蔵庫を開ける。
買い置きしていた菓子は姿を隠していた。
へなへなとその場で座りこんでしまった。
菓子を食べた犯人は「ごめん、ごめん」と軽く謝る。
涙が出てきそうだった。
食べるのを楽しみにしていた。
謝られても許せない。
季節がら、よく雨が降るようになった。
あちらこちらに水溜まりができていた。
鏡のように空が映りこんでいた。
少女は水面を踏む。
レインブーツと少女の重さ分、水が跳ねる。
空がかき消える。
それが楽しいのか、少女は水溜まりごと踏みしめる。
少年は跳ねた泥水をよけながら、少女の後に続く。
彼が私の薬指に指輪をはめる。
「これが契約の印だ」低く彼は言った。
どこか満足そうな様子に悲しくなる。
私たちはこれから契約結婚をする。
期間は3年間。
外に恋人を作ってもOK。
結婚をしたいう事実だけが大切なのだ。
指輪よりも愛がいい。
そう思っても、彼が私を愛することはないだろう。
いつか来る別れの日々におびえていた。
始まりはいつも鐘を鳴らすように、心臓を震わせる。
幸せな毎日が長く続くことを祈っていた。
それでもやってくる「サヨナラ」の日。
せめて笑顔で別れよう、と約束したけれども守れそうにない。
離れていく君の背中を見送りながら涙を零した。
声を殺して。
想い出が追いかけてくる。
君の足音のように。
もう僕の後をついてくることはないのに。
二人で決めた「サヨナラ」。
出会えて良かったね、そう言えるようになるまで、この痛みを抱えていくのだろうか。
いつまでも僕の後ろを歩いてくるのだと信じていた。
こんな結末を迎えるなんて想像しなかった
前をとぼとぼと歩く君にかける言葉が見つからなかった。
アスファルトの反射で熱くなった空気が喉をふさぐ。
どうすれば良かったのだろう。
一つの恋を終わらせた君は、夏の終わりの向日葵のようだった。
僕はそれを見つめるだけだ。
君のためにしたいのに出来ることは少ない。
せめて涙を拭いたい
仕方ない。
心の中でくりかえす。
仕事をしなければ生きてはいけない。
どんなことをするのにもお金は必要だ。
職場では信頼厚いらしい。
断れない案件を頼まれることもあるだろう。
それでも、と思ってしまう。
二人が一緒の時間が短くなっていくのが寂しい。
我が儘だって承知だ。
我慢ができない。
学生時代から付き合っていた彼氏と別れた。
原因は彼氏の浮気だ。
しかも初犯ではない。
くりかえされる浮気にとうとう怒りが爆発した。
やけ酒に友達を呼んで、どれだけ我慢したのか語った。
「本当に泣きたいの?」友達は尋ねた。
「正直、分からない。すっきりしたような気がする」と答えた。
あんなに愛し合ったのは夏が見せた幻だったの?
永遠だと信じたのは私だけなの?
それなら二人が出会えた意味も、誓い合った愛も偽りだったの?
蝉時雨の中、燃え尽きる愛だったの?
どこにでもある夢だったの?
この恋が最後の恋だと思ったのは間違いだったの?
貴方にとって都合の良い恋だったの?
「サヨナラ」ダケガ人生ダ 、と昔の人は言った。
その通りだと思った。
二人で見上げた桜も散って、葉桜になっている。
君も僕から離れていくのだね。
幾度くりかえしても別れに慣れない。
上手に最後の言葉を紡ぐことができない。
本当は「サヨナラ」なんて言いたくない。
君にだけは言いたくない。