君を想う時は独りきりのことが多い。
君が隣にいないから、君を想うのかもしれない。
二人の時は、それだけで幸せいっぱいだ。
でも独りきりの時は寂しさが募る。
君の声が聞きたい。
夜半過ぎに眠れずに、そんなことを考える。
こんな時間に電話をかけたら迷惑だろう。
君の声を思い出しながら眠る
嘘をつくのは簡単だ。
それで場が和やかになるなら、喜んで嘘をつく。
「君のことが好きだよ」僕は君の耳元にささやいた。
君は目を三角にして、僕を見つめる。
「嘘つきの言葉なんて信じられない」君ははっきりと言った。
「本当なのに」そのまま耳にキスをする。
嘘つきの本音なのに伝わらない。
君と一緒だと空気を吸いすぎてしまう。
その結果むせて恥ずかしい目に合う。
本当は君と楽しく話したい。
それなのに沈黙が漂ってしまう。
きっと君の足音すら愛しいと感じるせいだ。
君のすべてを耳で、鼻で、喉で、目で感じたいからだろう。
僕の鼓動は高鳴っている。
君と同じ空気を吸っている。
1月の誕生日にガーネットの指輪を貰った。
誕生石である宝石は学生でも買える手ごろの物だ。
バイトをしてお金をためて買ってくれたのだろう。
それが想像できて鼻で笑う。
これが4月生まれだったら用意できたのだろうか。
無理に決まっている。
月光の中では落ち着いて見える指輪は物足りない。
しとしと降る雨は貴方の涙を思い起こされる。
私の知らない場所で貴方は泣いているのだろうか。
それなら今すぐ貴方の元に向かう。
独りで泣いているなんて悲しすぎる。
貴方の苦しみを分かち合いたい。
だから、黙って泣いていないでほしい。
どうか伝えてほしい。
私は貴方のために強くなるから。
僕は君のふわりとした髪を撫でる。
「もう、子ども扱いやめてよ」君が抗議する。
別に子ども扱いしたわけではない。
髪にさわりたかったから、さわっただけだ。
それをストレートに伝えても通じないだろう、と思った。
残念な気分だったが、髪にふれる回数を減らそうと思った。
嫌われないために。
君は僕がいないと何もできない。
そのことをいい加減思い知れば良いのに。
君ひとりで成し遂げたことがあるのかい?
成功させるのに、僕が隣にいただろう?
そのことにいつになったら気がつくのだろう。
君は僕がいないとダメなんだ。
でも、同じくらいに僕も君が隣にいないと寂しくてダメなんだ。
君に翼をあげよう。
君が好きな人のところへ、君が飛んでいけるように。
もしここへ帰ってくる羽目になっても大丈夫。
目印になるように鮮やかな花を持って待っていよう。
だから、安心して飛び立ってくれ。
無力な僕ができる唯一のことだ。
君が独りじゃなかった証に見送るよ。
さぁ羽ばたく時間だ。
純白は無惨に散らされた。
運命とは不思議なもので、加害者と被害者がひっくり返ることがある。
美しい乙女は涙を耐える。
嵐のように起きた事件に流される。
抗いひとつあった方がこちらは楽しいものだ。
二度と消えないように所有の証をきっちりとつける。
この暴行に乙女は何も言わなかった。
僕と君の関係はひどく曖昧だ。
でも一緒に帰って、一緒にご飯を食べて、それぞれの家に辿りつく。
この関係に名前をつけるとするならば「恋」がいい。
僕はそれぐらい好きだし、君もそれぐらい好きでいて欲しい。
特別扱いをするのは、僕が君に恋しているからだ。
だから君も素直になって欲しい。
「サヨナラ」は別れの言葉ではない。
始まりの言葉だ。
太陽が沈んで、また昇ってくるように。
また出会うための魔法の言葉だ。
だから、そんな悲しそうな顔をしないで欲しい。
別れ難くなってしまう。
絶対に会えると知っていても、君の涙は胸を痛ませる。
どうか笑っていて欲しい。
贅沢な願いだ。
君が僕を愛する以上に、僕は君を愛している。
一方通行な想いでもかまわなかった。
気持ちが届かなくてもよかった。
一人で抱えこんでいるだけで充分だった。
それは孤独ではなかった。
君のことを考えるだけで胸が熱くなった。
幸いというのはこういうことを指すのだろう。
想いを抱えたまま歩く。
僕と君の二人だけの世界だった。
僕は君以上に君のことを知っていた。
君も僕以上に僕を知っていた。
第三者のいない閉じた世界の中で、僕たちは愛しあった。
二人きりで完結した世界の中で外を見ずに閉じこもっていた。
それが「愛」だと思いこんでいた。
独りになってその歪さを初めて知ったよ。
今日は撮りためたDVDの鑑賞会だ。
ソファの上に座って、行儀よく見ていた。
感動の大作、と銘を打たれた映画がTVに映し出された。
ダメだ。
すでに胸の貯水池はいっぱいになってしまった。
泣き顔で、手のひらをぎゅっと握る。
涙で画面は歪んで見えた。
鼻水をすすると、もっと涙があふれてきた。