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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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僕は薄情なのだろうか。写真の一枚でも残しておけばよかった。
君がいなくなってから、そういったものは全部処分してしまった。
元気だった君を思い出すと苦しかった。いつまでも鮮やかに思い出せると思いこんでいた。
それなのに、もう後ろ姿しか思い出せない。君の声すら忘れた。
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隣で眠っている存在がぬくもりを通り越して、熱かった。
驚いて飛び起き、カタカタと震える妻に布団をかけ直した。
寝ぼけ眼で体温計を探して「熱、測れる?」と妻に手渡した。
妻は関節痛に耐えるのだろうか。悲しいぐらいに可哀想だった。
その間に僕は解熱鎮痛剤と水を用意した。
まるで隠れ鬼。約束をした君を探して、目をさまよわせた。
雑踏の中、君をとうとう見つけた。思わず目が涙で潤んだ。
また雑踏の中に隠れてしまいそうな君の腕をつかむ。そして大切な言葉を言った。
「初めまして」と嬉しい気持ちをいっぱいに込めて。君は不思議そうな顔をしていた。
iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「幸せなんて、どこにもないんだ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。

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僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。それはきっと必要じゃない嘘だった。
僕は心底疲れて、諦めながら「幸せなんて、どこにもないんだ」と言った。
それに君は「そんなことないよ!」と言う。これが本音なら、楽だったのに。
事実は君が見るような夢ではないと知っている。
君と別れて、家に帰るのは、いつも夕方だった。
残照に照らされた君は綺麗で、目を離したら儚く消えてしまいそうだった。
だから君が泣きそうになりながら、両手にしがみつくのは意外だった。
初めてのことだったから、僕は途惑った。夕方の時間の中で何度『大丈夫』と言っただろう。
彼女の部屋で見た男物の革靴。まるで隠すように置かれていた。それが心の中で引っかかって眠れない。
ちっとも来ない眠気に、起き上がった。黄緑色のカーテンを開ける。まだ夜の領域だった。
キッチンでホットミルクを作る。鍋の中で蜂蜜入りのそれを沸き立たないように注意する。
最初は一番でなくても良かった。むしろ、少女は一番でないことに納得していた。
それが白金色の頭髪の少年と同じクラスになってから変わった。少しずつ。
それは少年がちっとも嬉しそうになく一番を取るからだろうか。
やがて、それは対抗心となっていった。少女は奥歯を噛みしめた。
iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
幼子というには大きいけれども、大人が庇護する子供には変わりなかった。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。涙を目の端に溜めた子供に「怖いものなんてないよ」と言った。
これが本音なら、楽だったのに。傷つきやすい心を守りたい。
ごしごしとお風呂場のタイルを磨く。掃除当番は姉だったはずだ。
それがいつまでたっても帰ってこないから、自分が掃除する羽目になかった。
手を泡だらけにしながら、次は浴槽をスポンジで優しく洗う。
怒り顔で、自分の両手を握り締める。姉の要領の良さは全く、見習いたいものだ。
「どっかに行こうよ」と少女が言った。「どこへ行くのですか?」少年は読書を中断して尋ねた。
「誰も知らない、誰もいない理想郷」と少女は真剣な表情で言った。
「すべてを捨ててでもですか?」少年は再度、尋ねた。
「一緒にいなくなってあげるから、許してね」と少女は笑った。
「さっきから全然、見えないんだけど」と君は唇を尖らせる。
今日は流星群、月も姿もそうそうと沈み、見やすい環境が整っていた。
「その内、見えるよ」僕は君をなだめるように言う。
これだけ好条件がそろった天体観測は、二度と見えないだろう。それだけに未練がましく、空を仰ぐ。
iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。

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人形遊びのつもりで造ったロボットは優秀だった。そんな二人の生活は穏やかだった。
僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。それは悪あがきのような嘘だった。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」と命令をした。
ロボットは俯いた。胸の痛みは消えやしないな。
君は僕のテキストに置かれた手をじっと見る。それから堂々と、指先を指先でつつく。
優しい感覚に「何の用?」と僕は顔を上げて君を見つめる。
「大きな手だな、と思っただけです。ぶっちゃけ羨ましいです」と君は怒ったように言う。
「君の手はあたたかい」と僕は思い出に微笑む。
にわか雨に降られて、慌ててカフェに入る。君はほんの少し濡れた髪をハンカチで拭く。
水滴に程度、ついただけの始まりの雨だったから、風邪は引かないだろう。
初めての店だったから、君はメニュー表をにらめっこする。
二人のこの関係に名前を付けるとするならば、腐れ縁だろうか。
定期購読している雑誌が映画特集だった。芸術の秋としゃれこむのも悪くない。
この3年、映画から離れていた。次のデートは学生時代に戻ったように映画を観に行くのも悪くない。
俺は雑誌を読む。できることなら幸せになるような映画がいい。彼女が好きだった監督の名を見つけた。
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プロフィール
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iotu(そら)
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性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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