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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「昔から冷え性だからかな?冷たいよ」君は手を差し出した。
僕はぎこちなく、君の指先を両手で包む。
蝉時雨がうるさいぐらいの夏なのに、君の手はひんやりしていた。
「ね。冷たいでしょ?」君は笑う。
「心の優しい人は手が冷たい、っていうぐらいだ。君は優しいんだね」と僕は言った。
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ゆめみたいなんてゆめみたい。
念願が叶うとそんなものかもしれない。
にわかに信じられない。
まだゆめの中にいるような感じがした。
ゆめを叶えた後に、待っていたのは現実だ。
ゆめの続きはゆめの連続だ。
新しいゆめの始まりだった。
本当に起きているのだろうか。
ゆめの中を歩いている気がした。
汗をかきながら学校に通った日々。
出席日数さえ足りていれば、赤点を回避してくれる。
そんな言葉を信じて、嫌な思いをしながら通った。
大人はたやすく裏切るものだ。
そんなことを忘れていた。
返ってきた通知書は知りたくない数字が並んでいた。
まだ大人になりたくない、と思って鞄にしまった。
古書にとって日差しは天敵だ。
空調が管理された部屋で古書たちは眠りについている。
いつか役に立つことを待ちながら。
仰ぐほど溜めこまれた古書たちは、代々受け継がれてきたものだ。
一代ずつに増えていく古書は、青年の代で途切れそうだった。
情けないことに後継ぎ候補がいない。
残念だ。
少女は本当は一人で立ちたかった。
けれども、足に力が入らない。
差し出された手に縋りつきたくなかった。
そんなか弱い女の子みたいなことはしたくなかった。
立てないという事実がのしかかる。
仕方なく、少年の両手のひらを握る。
すんなりと立ち上がることができて、少女は癪にさわった。
毎日の日課だ。
今日あったことをメールにしたためる。
面白かったこと、嬉しかったこと。
日記のようなメールだ。
いくらメールを書いても無駄だということは知っている。
これは届くことのないメールだ。
送るメール主は、すでにこの世の中にいない。
解約できないままの携帯電話があるだけだ。
いつもより酔いが回るのが早かった。
それだけ疲労をしていることだろうか。
アルコールを止めて、ソフトリンクに切り替えたが頭がふらふらとしている。
きちんと家まで帰れるだろうか。
前科があるだけに怖かった。
あの時はコンビニの店員さんに迷惑をかけた。
今回はそれを避けたいと思っていた。
少女は青年にもたれかかる。
青年は嫌な顔を一つせず、読書を続ける。
少女は幸福だなと思った。
水晶のような氷が溶けるのを見ながら、いつまでも続けばいいのに、ぼんやりと願った。
つかの前の平和だということは気がついている。
青年は神剣・神楽の使い手だ。
程なく戦いが再開されるだろう。
お風呂掃除をしている途中だった。
タイルに溜まった洗剤で足を滑らせた。
頭をぶつけるほどではなかったが、おしりを盛大にぶつけて、洗面器が派手な音をたてた。
青年が顔を出した。
「大丈夫か?」手を差し伸べる。
少女は目を逸らしつつ、青年の腕を握り締める。
「大丈夫です」少女は答えた。
神社に来ると心強さを感じる。
日常がマイナスだから、ちょうど足し算をされるようだ。
ふらりと立ち寄っただけれども神社では大祓が行われていた。
そういう意味でも、運が良い。
天にいる神様も祝福してくれるのだろうか。
今年受験なのでお守りコーナーに立ち寄る。
どれがいいだろう。
「少しはこっちのことも察しろよ、馬鹿。」苛立つようにあなたは言った。
「そんなことを言われても言葉にしてくれなきゃ分からないよ」私は小さく言い返す。
「俺がどれだけ我慢しているのか、気がついている?」あなたは壁に手をついた。
退路は断たれた。
「ごめんなさい」と私の心臓は跳ねる。
何でも普通が良い。
目立つことはするな。
制服の着かた。
テストの成績。
交友関係。
普通を押しつけられて、つぶれそうだ。
そんなに普通のが良いのだろうか。
髪を染めてみたい。
たまには赤点を取ってみたい。
不真面目な友達を作りたい。
「あなたは、いつまでも普通でいてね」母の言葉に縛られる。
すれ違いざま良い香りがした。
香水だろうか。
それが知りたくて、追いかける。
けれどもコンパスのせいで逃す。
香水の主は背が高く、一歩が大きかった。
女性が好みそうな甘い香水を纏っていたから、理由を知りたかった。
でも、これでいい。
見知らぬ他人に急に声をかけられたら驚くだろう。
繋いだこの手を離したくなった。
だから優しく、両手のひらを折れんばかり握る。
「痛いよ」君は言った。
「ずっと繋いでいたいんだ」僕は言った。
「そんなに強く握らなくても、私は逃げたりしないよ」君は笑った。
少し力を緩める。
君の言葉を信じて。
すると、君は僕の手を握り返してきた。
『好きだよ』何回、心の中で練習したことだろうか。
できるだけ自然に、できるだけスマートに。
君に伝えたかった。
君が僕の名を呼ぶ。
新しい遊びを見つけたのだろうか。
満面の笑みだ。
ほらまたそうやって笑うから、何も言えなくなる。
僕の口は固まったように動くことができなくなる。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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