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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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寄せては返す波打ち際を少女は歩く。
青年は浜辺に降りていく階段で座りながら、その様子を見守っていた。
電車を乗り継いで、海に来るのは何度目だろうか。
いくつの季節をまたいだろうか。
少女は海がお気に入りのようだ。
『どこへ行きたい?』と尋ねると、『海に行きたいです』とくりかえす。
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授業で使うコンパスを忘れてしまった。
隣のクラスの幼なじみは持っているだろうか。
休み時間を利用して、隣のクラスに向かう。
「奥さんが来たぞ!」呼び出してくれた少年はからかうような口調で言う。
「コンパス持っている?」手早く尋ねる。
頬を染める。
幼なじみはブルーのコンパスを手渡す。
クラスメイトから背後から声をかけられた。
板書が間に合わなかったからノートを貸してほしい、と頼まれた。
お安いご用だと口を開きかけたら、幼なじみがやってきた。
幼なじみは堂々と、僕の両手に触れる。
「あなたは私だけのものでしょ」幼なじみは断言した。
クラスメイトは「ごめん」と言う。
立派な浮気だと思うのは、私の心が狭いからだろうか。
みんなが平気にしているのが不思議だった。
そんな彼の新しい彼女はスマホの画面の中。
新しくリリースされたばかりのゲームだ。
現実の彼女をほったらかしにして、毎日ログインしている。
デート中でもスマホをいじっている。
浮気だと感じる。
水音がした。
青年は不思議に思って足を運ぶ。
神殿の奥近くに澄んだ泉があった。
そこでは美しい巫女姫が体を清めていた。
水面が波立って、こちらには気づいていない。
青年は見てはいけないものを見てしまったような気分になった。
早く立ち去らなければいけないのに、石になったように動けない。
少女は堂々と、青年の手のひらを両手で包む。
「紅葉よりも大きいですね」少女は笑った。
「君を守るための手だ」青年は真摯に言った。
「ありがとうございます」少女は礼を言った。
「こんな、あたたかい手に守られると思うと嬉しくなります」少女は青年を見上げる。
「君を守るのは当然のことだ」
夏休み前に、誕生日を祝ってもらえることになった。
本当に誕生日は夏休み中だったから。
前倒しでも祝ってくれる友だちの気持ちはありがたかった。
けれども、贅沢をいうのなら、恋人とふたりっきりでいたかった。
仲良しグループで騒ぐのも悪くはない。
でも穏やかに過ごしたいと思ってしまった。
残業でパソコンに向かっていた。
今日はコンビニで自分にご褒美を買おうと心に決めた。
甘いスイーツは刹那だけれども、疲れを癒してくれる。
キーボードを打鍵していると、デスクに菓子が置かれた。
「お疲れ様」と上司が笑っていた。
「食べてね」と断るのを許さない口調で言う。
私も微笑む。
昆虫の中には交尾中にオスがメスに食われる種が存在するらしい。
知っていて近づくのは、命がけの愛情表現だ。
それに比べて、僕は君に声ひとつ告げられない。
まるで空気のように漂っているだけだ。
君の目には映らない。
それは悲しいことだけれども、自分で選んだ道だった。
君の傍にいるだけだ。
魔法の短杖のために外へ出た。
どんな素材も短杖になるが、自分にあったものを見つけたい。
堅い木の枝が目に入った。
心惹かれるものがあった。
ナイフを使って、枝を切り取った。
手にしっくりと馴染む。
翌日、授業前にみんなに披露する。
けれどもそれ以上の短杖を持った者がいて打ちのめされる。
もう二度と会うことはないでしょう。
あなたにとって大切なものがあるように、私にも大切なものがあります。
その大切なものを守るために、離れ離れるになる。
悲しいことですが仕方のないことです。
そろそろ終幕の時間が訪れます。
サヨナラにくちづけをしましょう。
秘密を閉じこめるように。
霞の中、呻き声が聞こえる。
まるで泣き声のようだと思った。
出て行って『大丈夫だ』と抱きしめてやりたくなるが、それは命がいくつあっても足りない行為だ。
理性を持った人間は自分一人だけなのだろうか。
街には徘徊する人であふれている。
恐怖で心が撃たれる。
早く小さな娘を見つけなければ。
悲しい時は皿洗い。
それが母だった。
文句もつけずに、黙々と皿を洗う後姿を覚えている。
そんな私の気分転換はお風呂掃除だ。
黒ずみを落として、湯船をスポンジで磨く。
タイルを洗っていると、足を滑らさせた。
泣きそうになりながら、両手のひらを握る。
魔法は効かないようだ。
涙が溢れてくる。
海に行く夢を見る。
君は笑っていて、波打ち際を歩いていた。
そんな夢を見る。
海に沈めたあの日の思いが浮かび上がってくる。
君と別れて以来、海に行くことはなかった。
海に行けば、君の笑い声を思い出す。
僕の名を呼ぶ、その澄んだ声を思い出す。
そんなものは埋めてしまったのだから忘れたい。
水滴がついたグラスを揺する。
ゆらゆらと水が揺れる。
私の気持ちのように。
彼は俯いたままだ。
ここで別れ話を切り出せば、私はいい女になれるのかもしれない。
でも、まだ心の中では彼がいっぱいだった。
浮気だった、ちょっとした出来心だった、と言って欲しい。
本命の彼女は私だけだと。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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